脱水のシグナルを見逃さない
脱水症状が進行すると熱中症になりやすい。運動中はこまめな水分補給を行おう
運動時間が長くなるにつれて、運動中でも水分・塩分補給が必要になってきます。身体を動かすことで汗を出して体温調節をしているのですが、汗には水分とともに塩分も含まれるため、失ったものを補う必要があるからです。失われた水分や塩分を適切に補給できないと、身体の中で電解質バランスが崩れて脱水症状を起こし、熱中症になってしまうことがあります。脱水のシグナルとしてわかりやすいものを挙げておきます。
1)尿の色と量
自分でわかる脱水症状の特徴としては尿の量や色を確認することがあげられます。普段よりもトイレに行く回数が減り、尿の色も濃いときは脱水予備軍になっている可能性があるため、意識して水分補給を行うようにしましょう。淡い黄色の尿であれば特に問題ありませんが、ビタミン剤や一部の薬などは尿の色に影響を与える可能性があります。
2)体重の増減
運動後には汗をかくことによって体重が減ってしまう傾向にありますが、運動の前後で体重差が2%以内におさまるように水分補給を行うことが推奨されています(たとえば60㎏の選手であれば、58.8㎏以内)。部室や更衣室などに体重計を置いておき、体重を測ってから練習に参加することを心がけると、普段の体調管理とともに熱中症予防にもつながります。運動前や運動中の水分補給は「こまめに」「少しずつ」飲むことがポイントですが、運動後については体重測定とあわせて、失われた水分量を補給するつもりで飲むようにします。ただし一度に大量の水分補給を行うと、その後の食事に影響することがありますので気をつけましょう。
3)喉の乾き
喉の渇きや口の中がネバネバしたような感じを覚えるときも脱水のサインととらえられます。「水が飲みたい」と感じていたら、身体はすでに軽い脱水状態にあると言われていますので、「水が飲みたい」と身体が水分を要求する前に、適切なタイミングで飲むことが大切です。
脱水症状が進行すると頭痛や疲労感、熱中症などの症状が出てくるようになりますので、まず自分でそうならないように自分自身のチェックを常に行うように心がけましょう。
文:西村 典子
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