スーパーボウルから見えるバックアップの準備力、フォールズと大阪桐蔭のあの選手が重なる!
先週行われたNFLのスーパーボウルでチャンピオンになったのはフィラデルフィア・イーグルスでしたが、その裏には一つのストーリーがありました。それがスーパーボウルMVPに輝いたクォーターバック(QB)のニック・フォールズ選手です。
実はフォールズ選手は本来のレギュラーQBではありません。シーズン終盤の第14週まではカーソン・ウェンツ選手がエースQBとしてチームを引っ張ってきました。そこまで13試合でタッチダウン33のチームレコード。今シーズンにリーグMVP候補にも名前が挙がっていました。しかし第14週(12月10日)の試合中にタッチダウンを狙ったプレーと引き換えに左膝の前十字靱帯を断裂。手術をすることになり、今シーズン絶望となってしまいました。
そこで第15週からQBとして出場したのがフォールズ選手です。何度も移籍を繰り返してきた苦労人で、今シーズンは古巣でもあるイーグルスでウェンツ選手のバックアップQBとして過ごしてました。
圧倒的な勝率でレギュラーシーズンを勝ち上がり、プレーオフ、スーパーボウルへと進出したイーグルス。しかし司令塔がウェンツ選手からフォールズ選手に代わったことで、どの試合でも相手の方が力は上(アンダードッグ)だという評価を受けていました。それを覆す活躍ができたのは、レギュラーシーズン中から常にいつでも出られる準備をしてきた賜物と言えるでしょう。そして、ケガで悔しい思いをしたウェンツ選手は、チームのためにサポートに徹し、フォールズ選手にも何度もアドバイスを送る光景が見られました。これぞチームスポーツです。
今年9月から始まる来シーズン、ウェンツ選手が復帰すれば、フォールズ選手はどうなるのか。再びバックアップQBに戻る、レギュラーQBを争う、はたまた移籍など色んな噂が今後立つかもしれません。
さて、アメリカンフットボールのQBは野球で言えば投手と捕手を足したものだと例えるとわかりやすいと思います。
例えば捕手に限定して、昨年の高校野球でケガで正捕手が出られず、バックアップの選手が出場して大活躍をした。誰か思い出しませんか?
ピンと来た方はさすが!
昨春の選抜を制した大阪桐蔭の主将だった福井章吾選手なんですね。本来正捕手の岩本久重選手が大会直前に手の有こう骨を骨折。さらに他の捕手も同様にケガをしたため、一塁手だった福井選手が急きょ捕手を務めました。結果は皆さんもご存知の通りの大活躍。福井選手は、しっかりと準備をしていたからこそ活躍できたんですね。練習試合後にも1人残ってキャッチングの反復練習をする姿を何度も見ました。
そしてその傍らにはケガで悔しい思いをした岩本選手がしっかりとサポート。[stadium]甲子園[/stadium]でも記録員としてベンチに入り、同じ捕手の視点、そしてベンチから見える客観的な視点で福井選手と言葉を交わしてリードに役立てました。まさに、スーパーボウルでのウェンツ選手とフォールズ選手のような関係を先に野球でやっていたんですね。
選抜で自信を掴んだ福井選手は、夏は正捕手として活躍。今年からは慶應義塾大学に進学します。そして、岩本選手はエースだった徳山壮磨投手と再びバッテリーを組むことを目指して、共に早稲田大学に進学します。今度は東京六大学の早慶戦で捕手ライバル対決として切磋琢磨する姿が今から楽しみです。
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(文:松倉雄太)