全国大会はなぜ甲子園だけで行われるの?複数会場での同時期開催はだめ?

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2018.01.12

 「高校サッカーでも話題になった過密日程、高校野球は日程とどのように向き合うべきなのか?」の続きです。

 甲子園大会の日程が話題になる時、『甲子園だけでなく、サッカーのように同時進行で他会場で試合ができないものなのか』という声を聞くことがあります。しかし、現状では主催者側でその議論になることはありません。

 阪神甲子園球場は全国中等学校優勝野球大会(全国高等学校野球選手権大会の前身)の開催を主目的に作られました。戦後最初の大会となった第28回大会はGHQに甲子園を接収されていたため、阪急西宮球場での開催。その後、出場校が増えた第40回大会と第45回大会は甲子園と西宮の併用で行われました。しかし28回大会はともかく、40回と45回大会は甲子園で試合ができなかったチームに対して不公平という声が挙がったため、以降は全試合を甲子園で開催してきた歴史があります。西宮球場は今はなく、歴史を受け継ぐことはできません。こういったことからも、甲子園以外での開催はあり得ないというのが今の考え方だと思います。

 もう一つ、複数会場での同時期開催の難しさについて述べてみます。

 それは京セラドーム大阪で秋に行われている社会人野球の日本選手権大会です。2010年、社会人野球チームの負担軽減と、新たなファン層の掘り起こしを目的として、1回戦16試合を第1ステージとして、10月最終週の土日に全国4球場に分割し、2回戦以降は2週後に京セラドーム大阪で実施する方式を採用しました。この時開催されたのは、日立市民球場(茨城県)、岡崎市民球場(愛知県)、わかさスタジアム京都倉敷マスカットスタジアム(岡山県)です。

 しかし台風によって一部試合が順延になり月曜日に開催されたことで観客減となりました。他にも日程が分割されたことで逆に1回戦勝利チームの負担が増える、予選の延長のような雰囲気となるなどのデメリットが指摘されました。翌2011年は5球場で第1ステージを行う予定でしたが、東日本大震災にともない夏の都市対抗大会を秋の日本選手権と同一大会として大阪で実施することになったため、京セラドーム大阪での1会場開催。そして2012年から分割開催を取りやめることになり、実質1回限りで廃止となった方式でした。

 結局、全国大会の別会場同時進行開催は野球では馴染まなかったんですよね。「複数会場での分割開催は結果的には失敗で、だから1会場開催に戻したんじゃないか」という声も一部で聞きました。

 夏の都市対抗は東京ドーム、秋の日本選手権は京セラドーム大阪。これが今の社会人野球に馴染んでいる形なんです。

 社会人野球と高校野球は違うという声があるかもしれません。でもこうした事実もあるんです。甲子園大会が日本選手権と同じ方式を取って、馴染むでしょうか。

 運営スタッフ、審判など、ボランティアで活動する人員確保も新たな課題として出てきますね。そして、観客への対応など甲子園だからこそ長年培ってきたノウハウもあります。今、いきなり京セラドーム大阪ほっともっとフィールド神戸で同じように開催したとして、応援団の入れ替えなど甲子園と同じやり方でできるでしょうか。

 高校サッカーは首都圏8会場、準決勝と決勝が国立競技場(現在は埼玉スタジアム2002)での開催が文化としてできあがっています。例えばこれを甲子園のように1会場で1日4試合やる方式にすると言えば、期間もかかりますし、他にも色々と問題が出てくるでしょう。

 長い年月を経て出来上がったシステムを変えるというのは口で言うのは簡単ですが、実際には大変なことだと思います。結局は今の形の中で、変えられるものと変えられないものをしっかりとすみ分けて考えていかないといけないのではないでしょうか。

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(文:松倉 雄太)

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