手首の痛み・TFCC損傷
手首の痛み・TFCC損傷
バッティング動作や手をついて手首を捻挫したとき、TFCCを痛めていることもある
スライディングで手をついてしまったり、バッティングの時に手首をひねったりして手首を痛めた経験のある選手もいると思います。一般的にはひねったり、くじいたりすることを捻挫(ねんざ)といい、このようなケースは手首の捻挫として対応することが多いと思いますが、手関節に大きな衝撃が加わったことによって関節内部では炎症が起こったり、関節周辺部の靱帯や軟部組織を痛めたりしたことによって痛みが現れます。また小指側の手関節部分にはTFCC(三角線維軟骨複合体)と呼ばれる軟骨状の組織が存在し、特に小指側に手を曲げた時(尺屈)に痛みが強くなるようであれば、TFCC損傷を疑う必要があります。TFCCを痛めているかどうかについては医療機関を受診し、レントゲンやMRI検査などの結果をみて医師が診断します。
TFCC損傷した場合、しばらく手関節を固定をして痛みが軽減するのを待ちますが、TFCCを含む手関節部分は太ももや腕などと違って身体の末端に位置するため、血流が乏しく、一度痛めてしまうとなかなか痛みが軽減しにくいことがその特徴として挙げられます。また、まれに骨の構造上の問題(小指側に位置する尺骨が親指側に位置する橈骨(とうこつ)よりも長く、手根骨を圧迫しやすい構造になっている)が存在する場合、手術によって尺骨を短くするなどの治療を行う場合もあります。軽度の場合はプレーを継続することも可能ですが、この場合についてもテーピングなどで関節を固定し、なるべく手関節に大きな衝撃が加わらないようにすると、痛みや炎症のコントロールがうまくいく傾向にあります。
プレーを行った後に痛みが強くなるようであれば、RICE処置を行い、痛みや炎症が拡大しないようにしましょう。また痛めてからしばらく時間が経った状態(受傷後2~3日の急性期を過ぎた場合)では、患部周辺を温めて血流をよくし、傷んだ細胞の修復や細胞の活性化を促すようにしていくことも大切です。温めるときは蒸しタオル(濡れたタオルをしぼって、電子レンジで1分程度温めると簡単にできます。おしぼりの要領)を使ったり、入浴時を利用してお風呂のお湯を利用したりすると比較的簡単にケアができます。また手関節部分につながる前腕の筋肉をストレッチしたり、軽くほぐしたりすることもよいでしょう。手首の捻挫が長引いたり、痛みがどんどん強くなるようであれば早めに医療機関を受診するようにしましょう。
文:西村 典子
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