コールドスプレーとアイシングについて学ぼう!
コールドスプレーとアイシングについて学ぼう!
デッドボールや自打球で登場するコールドスプレーはあくまでも一時的なもの。痛みが続く場合はRICE処置を。
デッドボールや自打球などが身体に当たったとき、他の選手やコーチがコールドスプレーをかけて対応しているシーンをよく見かけます。コールドスプレーは一瞬にして皮膚表面を冷却し、当たったときの衝撃や痛みを「冷たさ」で置き換えるということを行っています。しかしコールドスプレーはあくまでも表面的なものであり、本来は打撲や突発的に起こったケガに対してアイシングを含めたRICE処置が不可欠です。プレーを続行するために一時的に痛みの感覚を和らげる、鈍麻させるというのがコールドスプレーの役割です。
実際にボールが身体に当たると程度の差こそあれ、痛みを伴うことが多いと思います。そのままプレーを続行していてもどんどん痛みが増してくるようであれば、プレーを中止し、応急処置を優先させるようにしましょう。単なる打撲と思っていても実は骨折していたというケースも少なくありません。骨折に至るほどの大きな衝撃が身体に加わった状態では、コールドスプレーの冷却は単なる気休め程度にしかならず、RICE処置を行いながらすぐに医療機関を受診する必要があります。
突発的に起こるケガはスポーツ外傷と呼ばれ、デッドボールや相手選手との交錯による打撲、スライディングによるケガなど、その場で原因の特定ができるケガのことを指します。この場合、急にケガをしたことによって痛みが出る、患部が腫れてくる、内出血がみられる等の炎症症状が起こります。
氷などを使ったアイシングは、こうした炎症症状をなるべく最小限度にとどめる目的で行われます。急性期の炎症症状はおよそ48時間~72時間程度(2、3日)続くといわれ、炎症症状が落ち着くまでの期間は患部を冷却します。コールドスプレーではこうした炎症症状を抑えるほどの冷却力はありませんので、あくまでも試合や練習時の一時的な応急処置ととらえ、RICE処置を含む物理療法へと切り替えていくようにしましょう。
文:西村 典子
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