エルゴメーターを使って野球に必要な筋力を高めよう!
ランクアップジャパン 代表 吉見一弘氏
トップクラスの野球選手が導入している「エルゴメーター」。もともとはボートの選手たちがトレーニングで使っていたものですが、昨今は野球選手も筋力と持久力を高めるために使用しています。
今回は、ランクアップジャパン 代表 のトレーナー吉見一弘氏にエルゴメーターで、野球が上達する体を作る方法や目的を教えていただきました。
【 野球における背筋力アップの重要性 】
――エルゴメーターは、背筋力をアップするためにも有効なトレーニング機器ですが、そもそも、野球において背筋や体幹がなぜ重要なのか?
「吉見一弘トレーナー」 背筋力がある選手の方が、打球の飛距離もすごく伸びるんです。データ的に背筋力を測定したり、ハイクリーンやデットリフトという種目で測定するんですけど、高校生であればデットリフトが180キロ、背筋力の測定では200キロが理想ですね。それを超えてくると、ほとんどの選手がバットの芯にあたれば、60キロ~65キロの選手でもホームランが出る可能性が高まるんですね。
背筋が150キロしかない子が、いくら芯にボールが当たってもセンターオーバーしないというのは、もちろん足の筋肉とかもあるんですけど、やっぱり背筋力は重要になってきますね。
野球で一番重要なのは、足や腕の力で飛ばすのではなくて、体幹といいますか、中心部の一番大きなパワーを体の末端の腕とかバットとか、ピッチャーならボールに伝えるという意味で、背筋力は一番測定した時に分かりやすく、目安となりやすい数値になりますね。
――背筋力の他、エルゴメーターでトレーニングを積むことで、どんな筋力がついていくのでしょうか。
「吉見トレーナー」 ウエイトトレーニングの場合は、リスト(手首)をやるとか、二頭筋をやるとか一部分だけのトレーニングになってしまうのですが、エルゴメーターで一番良いところは全部を使うことが出来るという点です。
とくに、エルゴメーターで速いタイムを出そうと思うと、背中、次にセンターから動いていって、足でキックして上半身が反ってきて、最後に足が伸びきる時に腕をバネによって引っ張るという動作が、ピッチャーが球を投げる時でもゴルフをする時でも同じ動作なんですよ。
エルゴメーターというのは、体の中心から外へ力が発揮できるような機械なんです。他のウエイトに使うバーベルやマシンの場合は、そういう動作が少ないんですよ。背中をもたれて使ったりしますからね。唯一、近いのがハイクリン。下からバーベルを持ち上げるトレーニングですね。そういう面ではエルゴメーターは似ているんですよね。
ただ、エルゴメーターの場合は、ひとつの機械で簡単にそういった動きが出来るのと、負荷を自由に変えられるのがいいですね。
【 正しいフォームで漕ぐことで高まる効果 】
――エルゴメーターの場合は、結果が数値で分かるので、選手たちも手を抜くことができないと言われてます。強豪チームの選手たちは、どれくらいの分数で漕ぐのでしょうか?
「吉見トレーナー」 500mを大体1分40秒を切ればなかなか速いですね。1分35秒を切れば速いと思います。ただ、大切なことはタイムよりも、まず引き方です。ちゃんとした引き方で、ある程度の力を発揮して休む、発揮して休む。それを繰り返すことで2000メートルでも引けるようになります。それが休まずに、いって返ってだと休む暇がない。
それだと伸びないんですよね。また、腰が曲がった姿勢で腕だけの力で引いているので、本来の理にかなったフォームで引かないと逆に効果が半減してしまうんです。やっぱり、やり方が分からない、分かっていても柔軟性がなくてきちんと腰を立てて座ることが出来ない。腰が丸くなってしまう。そういう子は引けないですね。まずは、タイムを速めるよりもフォーム改善を徹底して行ったほうがトレーニングの効果はしっかりと出ますね。
――エルゴメーターは短い時間で、持久力や筋力が高められる機具なのですよね。
「吉見トレーナー」 そうですね。1時間ダラダラ走るなら、15分だけと決めてエルゴメーターを使う。実際に40分の持久走と、エルゴメーターを10分漕ぐのでは同じ強度の有酸素運動ができますので。それだけ能力がある機械なので、正しいフォームで筋力や持久力を高めていってもらいたいですね。それがエルゴメーターのいいところだと思います。
【今回、取材にご協力いただきましたランクアップジャパン の代表・吉見一弘氏のプロフィール】
硬式野球の強豪チームのトレーニングを指導し、高い実績を残している。
また吉見氏が運営するジムでは、野球のみならず、あらゆるスポーツでパフォーマンスアップを目指すアスリート達が、全国各地から集まっている。