今振り返っても豪華だった第9回AAAアジア野球選手権の投手陣。数少ないNPB組の生き残りとなった野田昇吾に期待!
鹿児島実のエースだけではなく、高校日本代表として活躍した野田昇吾
2020年がスタートし、埼玉西武の中継ぎ左腕・野田昇吾(鹿児島実業出身)は人気声優・住村はるかさんとの結婚を発表し、大きく話題になったが、野田といえば、高校時代から小柄ながら小気味よい快速球で活躍した速球派左腕という印象が強い。中でも第9回AAAアジア野球選手権の活躍は目覚ましかった。この時の高校日本代表はまさに豪華な顔ぶれだった。
吉永健太朗(日大三-早稲田大-JR東日本)引退
原 樹理(東洋大姫路-東洋大-東京ヤクルト)
釜田 佳直(金沢-東北楽天)
歳内宏明(聖光学院-阪神-香川OG)
松本竜也(英明-元巨人)
北方悠誠(唐津商-横浜DeNA-ソフトバンク-BC群馬・愛媛MP・BC信濃・BC栃木-ドジャース傘下)
野田昇吾(鹿児島実-西濃運輸-埼玉西武)
プロ入りせず引退した吉永もプロ志望届を出せば指名は間違いない本格派右腕だった。しかしNPBで残っているのは原、釜田、野田の3人のみ。改めてプロの厳しさを痛感する。
野田は167センチの小柄を強気なピッチングと切れの良い快速球で補う投手だ。高校2年秋は明治神宮大会決勝まで進出するが、まだこの時は常時130キロ中盤・最速138キロ程度だったが、一冬で大きくパワーアップし、センバツでは141キロ、夏には144キロまでスピードアップしていた。
そして日本代表入りしたアジア選手権で最も素晴らしいピッチングを見せたのは、チャイニーズタイペイ戦。2対1と1点リードで迎えた4回裏、一死三塁の場面で登板。野田は素晴らしい正捕手・近藤健介(横浜-北海道日本ハム)のミットに目掛けて強気にインコース勝負。ストレート中心のピッチングで、二者連続三振を取り、ピンチを切り抜けたのであった。
その後、野田は9回途中まで無失点の快投。勝利に貢献した。試合後の取材、野田は「ピンチの場面で登板するのは大好きでした」と答え、強心臓ぶりを発揮した。
その強気なピッチングは西濃運輸を経てプロ入りしてからも生かされている。
プロ1年目から中継ぎで22試合に登板。さらに2017年には38試合を投げ、防御率1.98と好成績を残し、第1回アジア プロ野球チャンピオンシップに選出され、初めてトップチーム入り。
2018年は自己最多の58試合登板、19ホールドを記録し、1歩ずつ階段を上っていた。その快投の裏には強打者にも臆しない強気なピッチングだった。
しかし2019年は23試合、防御率3.66と思うようなピッチングができず、二軍暮らしが続いた。
野田にとって期する思いがあるだろう。今季の野田の一投に注目だ。
(記事=河嶋 宗一)
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