今季は上沢直之、玉井大翔が投手陣を支える、日本ハムのドラフト下位指名組
高校時代の上沢直之(専大松戸-日本ハム)
ペナントレースも残り40試合を切った。優勝争い、順位争いだけでなく個人タイトル争いにも注目が集まってくる。
セ・リーグの打率ランキングを見ると佐野恵太(DeNA)がトップを走り、村上宗隆(ヤクルト)らと争っている。その佐野は2016年ドラフト9位という下位指名だった。アマチュア時代の低評価を覆し、プロの世界でタイトルを獲得できるか注目が集まっている。
さてこんな佐野のように、ドラフト下位指名から躍進を遂げた選手は多くいる。各球団(前身球団含む)のドラフト下位指名(6位以下/育成を含む)から、想像以上の成績を残した選手を振り返ってみたい。
今シーズンの日本ハム投手陣を見ると、ドラフト下位指名からの躍進者がチームを支えている。先発では上沢直之(専大松戸高/2011年6位)がそうだ。昨シーズン途中に打球直撃による骨折で1年ほど実戦から離れたものの、今年は見事に復活した。ここまでチームトップの8勝をマークしている。
中継ぎ陣では玉井大翔(新日鉄住金かずさマジック/2016年7位)がチーム2位となる40試合に登板。入団1年目は24試合の登板にとどまったものの、2年目からは3年連続で40試合以上に登板している。昨シーズンからは僅差の場面でも多く登板し、今シーズンはすでにチーム2位の21ホールドポイントをマークしている。まさにブルペンには欠かせない存在となった。
野手陣ではレギュラーではないが、杉谷拳士(帝京高/2008年6位)が貴重なバイプレーヤーとして65試合に出場している。その他では横尾俊建(慶応大/2015年6位)もドラフト下位指名から出番を多く勝ち取ってきた。
過去を見ると捕手にドラフト下位指名選手が多い。田村藤夫(関東一高/1977年6位)、高橋信二(津山工/1996年6位)そして現在コーチ兼任でプレーする鶴岡慎也(三菱重工横浜クラブ/2002年8巡目)もそうだ。
その他の野手では鵜久森淳志(済美高/2004年8巡目)、工藤隆人(JR東日本/2004年9巡目)、今浪隆博(明治大/2006年大社7巡目)と移籍後に結果を残した選手が多い。また東映フライヤーズ時代だが、投手から野手へと転向し1218試合に出場した岡持和彦(立教高/1969年6位)も下位指名からの躍進だった。
現在の日本ハムはFAでの獲得は基本的に行わず、ドラフトで指名した選手たちを育て上げていく方針をとっている。近年は育成ドラフトでの指名も解禁し、すでに樋口龍之介(BC新潟/2019年育成2位)が支配下登録を勝ち取った。今後も育成ドラフトを含めた下位指名選手からの躍進を期待したい。
【日本ハムドラフト6位以下の主な選手】
※育成指名含む
※前身球団含む
岡持和彦(立教高/1969年6位)※東映フライヤーズ
田村藤夫(関東一高/1977年6位)
芝草宇宙(帝京高/1987年6位)
高橋信二(津山工/1996年6位)
鶴岡慎也(三菱重工横浜クラブ/2002年8巡目)
鵜久森淳志(済美高/2004年8巡目)
工藤隆人(JR東日本/2004年9巡目)
今浪隆博(明治大/2006年大社7巡目)
杉谷拳士(帝京高/2008年6位)
谷元圭介(バイタルネット/2008年7位)
上沢直之(専大松戸高/2011年6位)
横尾俊建(慶応大/2015年6位)
玉井大翔(新日鉄住金かずさマジック/2016年7位)
(記事:勝田聡)