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半数以上が引退し残るはわずか8人 山口俊、平田良介ら87年世代ドラ1の現在地

2020.05.16

 野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。今回は高卒15年目、33歳を迎える87年世代だ。

陽岱鋼、T-岡田は1000安打達成 平田良介も達成間近

半数以上が引退し残るはわずか8人 山口俊、平田良介ら87年世代ドラ1の現在地 | 高校野球ドットコム
T-岡田選手(オリックス)

 87年世代でドラフト1位指名を受けたのは、高卒12人、大卒4人、大卒社会人3人の計19人。彼らの主な通算成績は以下の通り。

<2005年高校生ドラフト>
片山博視報徳学園・東北楽天) 2球団競合
206試合 8勝16敗 48ホールド 264.1回 228奪三振 防御率3.13

辻内崇伸大阪桐蔭・読売) 2球団競合
一軍公式戦出場なし

陽仲壽福岡第一・北海道日本ハム・読売) 2球団競合
1277試合 104本塁打 476打点 140盗塁 打率.271
※現・陽岱鋼、1987年1月生まれだが87年世代とみなす

山口俊柳ヶ浦横浜・読売・ブルージェイズ) 単独指名
427試合 64勝58敗 112セーブ25ホールド 1080.1回 1053奪三振 防御率3.35

村中恭兵東海大甲府・東京ヤクルト) 単独指名
199試合 46勝55敗 6ホールド 805.1回 600奪三振 防御率4.30

柳田将利青森山田・千葉ロッテ) 単独指名
一軍公式戦出場なし

鶴直人(近大付・阪神) 単独指名
117試合 9勝8敗 6ホールド 227.2回 126奪三振 防御率3.80

炭谷銀仁朗平安・西武・読売) 単独指名
1227試合 37本塁打 297打点 打率.214

平田良介(大阪桐蔭・中日) 単独指名
1100試合 101本塁打 453打点 40盗塁 打率.273

岡田貴弘履正社・オリックス) 外れ1位 ※登録名はT-岡田
1088試合 170本塁打 583打点 25盗塁 打率.261

荒川雄太日大高・ダイエー・埼玉西武) 外れ1位
一軍公式戦出場なし

鈴木将光遊学館・広島東洋) 外れ1位
6試合 0本塁打 0打点 打率.182

<2009年ドラフト>
古川秀一清峰日本文理大・オリックス) 単独指名
63試合 0勝2敗 5ホールド 62.1回 53奪三振 防御率4.48

福井優也済美早稲田大・広島東洋・東北楽天) 外れ1位
117試合 32勝37敗 568.1回 433奪三振 防御率4.54

戸村健次立教新座立教大・東北楽天) 外れ1位
107試合 17勝25敗 1ホールド 378.1回 222奪三振 防御率4.35

二神一人高知・法政大・阪神) 外れ1位
27試合 0勝3敗 40.2回 37奪三振 防御率5.31

<2011年ドラフト>
十亀剣愛工大名電日本大・JR東日本・埼玉西武) 単独指名
198試合 51勝47敗 3セーブ13ホールド 842.1回 574奪三振 防御率3.94

安達了一榛名上武大・東芝・オリックス) 外れ1位
886試合 33本塁打 260打点 103盗塁 打率.239

武藤好貴札幌藻岩・中京大・JR北海道・東北楽天) 外れ1位
85試合 4勝4敗 1セーブ8ホールド 105.1回 63奪三振 防御率4.96

※球団名は入団時

 この世代の出世頭は、横浜から巨人を経て今季からブルージェイズ移籍を果たした山口俊だろう。大卒、社会人まで含めても64勝、112セーブはともにトップの数字だ。通算奪三振率も高く、先発、抑えで活躍を見せてきた。今後の活躍次第では、100勝100セーブも見えてくる。

 陽仲壽(ドラフト時)、炭谷銀仁朗、平田良介、岡田貴弘(T-岡田)らはいずれも1000試合出場を達成するなど、長くレギュラー格として活躍してきた。陽と岡田は通算1000安打を達成し、平田もあと17本に迫っている。炭谷は高い守備力と強肩を武器に、1年目から一軍出場を続けてきた。

 村中恭兵は2度の二桁勝利を挙げるなど、先発左腕として輝きを放った。しかし近年は登板数が減り、昨季戦力外通告を受け退団。今季は新球団である琉球ブルーオーシャンズに入団した。片山博視、鶴直人はいずれも中継ぎ投手として輝きを放ったシーズンもあったが、一軍に定着することはできなかった。片山は現在BCリーグの武蔵ヒートベアーズで兼任コーチとして現役を継続している。

 鈴木将光は6試合で2安打、ドラフトの目玉だった辻内崇伸や、柳田将利、荒川雄太は一軍公式戦出場なしでプロ野球生活を終えた。

 大卒組では、済美から1年の浪人の末、早稲田大を経てプロ入りした福井優也が活躍を見せている。1年目から8勝をマークするなど、主に先発投手として32勝を挙げた。近年は登板機会が減り、昨季は楽天へと移籍。今季は復活をかけたシーズンとなる。戸村健次は2015年に自己最多7勝を挙げるなど、通算で17勝。ここ2年間は未勝利に終わり、昨シーズン限りで現役を引退した。

 古川秀一、二神一人は主に中継ぎ投手として一軍でも登板したが、いずれも未勝利に終わり、古川は2015年、二神は2016年限りで現役生活を終えた。

 大卒社会人では安達了一、十亀剣がチームの主力として活躍を見せている。1年目から50試合に出場した安達は、2年目から遊撃レギュラーに定着。2016年にはキャンプ前に難病の潰瘍性大腸炎も経験したが、シーズン中に復帰し118試合に出場。昨季は故障のため出場が減ったが、今季も遊撃のレギュラーとして期待がかかる。

 十亀剣は1、3年目こそ中継ぎ登板がメインだったが、主に先発投手としてここまで51勝をマーク。二桁勝利こそ1度だけだが、毎年コンスタントに勝利を挙げている。リーグ3連覇を果たすチームで、若い投手陣を引っ張っていきたい。武藤好貴は2015年に60試合に登板し4勝と、中継ぎ投手として輝きを放ったが、右ひじ痛などもあり翌年以降は登板数を伸ばせず、2017年シーズン終了後に戦力外通告を受けた。

 19人がドラフト1位指名を受けた1987年世代だが、現在もプロ野球(NPB・MLB)選手として現役を続けているのはわずか8人。半数以上がプロ野球を去ったことになる。年齢的にも、現役を継続している選手の方が少ない世代となってきたが、現役を続けている選手は一線級の選手ばかり。彼らの活躍を今後も楽しみにしたい。

記事:林龍也

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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