愛産大三河は、最悪のことは考えたくはないけれども…という思いだが
愛産大三河ナイン
4月5日までの間では状況を見ながら、トータルで3回ぐらいは練習試合をすることが出来たというのは一昨年夏に2度目の甲子園出場を果たした愛産大三河だ。3月2日から学校自体は休校となっていたものの、同校では強豪のアーチェリー部含めて、学校長からも部活動は状況を見ながら、活動はOKということが許可されていたからというところもあったようだ。
とはいえ、4月の非常事態宣言が発出されて以降の活動はまったく停止ということになった。
「(練習が)始まったら全力で動けるように、その準備だけは各自の責任で準備しておきなさい。この状態だと体力は落ちていくだろうから、体力だけは落ちないように維持する努力はしておくようにという指示だけは伝えました」
櫻井春生監督は電話でそう、現在の状況を語ってくれた。ただ、体力維持のためのメニューなどに関しては特にこれをしなさいということを示していくということはあえてしていないということのようだ。このあたりは、自分から動いていこうという意識を大事にしていくという指導をしている愛産大三河らしいところと言ってもいいのかもしれない。
「新入生に関しては、入学式の時に一応、ちょっとだけ会ったことはあったんですけれども、それは推薦などで入ってくる、あらかじめわかっている子たちだけです。一般入試で入ってきて、それから入部してきてくれる子に関しては、まだ何もわかっていません。もどかしいと言えばもどかしいですけれども仕方ありません。誰かがどこかで感染してしまって、それが広がってしまったとしたら、どうしようもないですから」
と、歯がゆさは隠しきれない様子だった。
それでも、櫻井監督としては、「自分としては、最悪の事態は想定しないようにはしたいと思っている」という。それは、それを示すと、どこかで選手たちにも感じ取られてしまうからというところでもあるようだ。
それでも、5月の連休明けで、すぐに練習可能な環境になるのかというと、その保証はない。まして、愛知県の場合は一早く公立校は5月いっぱいまで休校ということが打ち出されている。多くの私学もその方向性に従っていく可能性は高い。
愛産大三河の場合、学校そのものは岡崎市郊外の丘の上にあるとはいえ、もちろん生徒たちが集まるようになれば、いわゆる密も発生してくる。通学による他者との接触も否定出来ないだろう。そうなると感染リスクも出てきてしまうことは否定できない。
「他の部活でいうと、オリンピック選手も出している強豪のアーチェリーなんかは、学校へ出てこない限り練習なんかは出来ないわけですよ。毎日撃たないと、すぐに感覚がおかしくなるらしいですからね。そう思うと、野球だけではなく、皆が窮屈な思いをしていると思います。私もそうですけれども、グラウンドを離れていることで何も見えないというのは、正直なところ辛いですね」
それでも、再開された時にはこういう取り組みをしたい。こういうことを試したいという思いは育てている。そのための準備として選手たちにはとにかく体力だけは何とか維持しておいてほしいというのが願いである。
「夏がある前提で考え続けないかん」
自分にも言い聞かせるように語ったその言葉は、これまで頑張ってきた選手たちに何とか報いてあげたい、その場を失わせたくないという思いからのものでもあるようだった。
記事:手束 仁
関連記事
◆コロナで次々と進む高校野球のIT活用 都立新宿はLINEで「個別指導塾」を開催
◆コロナで次々と進む高校野球のIT活用。愛知の新鋭・豊野はZoomで結束を深める
◆県立高松商(香川) 結束のキーワードは監督発信の『あの』ポーズ!