通算37本塁打の村上宗隆、14本塁打の清宮幸太郎 99世代ドラ1の現在地
野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで今回は、世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。
3回目の今回は、プロ入りして2年が経過した1999年世代の高卒選手を見ていく。
清宮世代から村上世代に変化か
2017年高卒ドラフトの選手たち
99世代からドラフト1位でプロ入りしているのは以下5名。この世代までは高卒選手のみになっている。
<2017年ドラフト>
清宮幸太郎(早稲田実業・北海道日本ハムファイターズ) 7球団競合
通算134試合 14本塁打 51打点 打率.202
中村奨成(広陵・広島東洋カープ) 2球団競合
一軍公式戦出場なし
村上宗隆(九州学院・東京ヤクルトスワローズ) 外れ1位・3球団競合
通算149試合 37本塁打 98打点 打率.228
安田尚憲(履正社・千葉ロッテマリーンズ) 外れ1位・3球団競合
通算17試合 1本塁打 7打点 打率.151
吉住晴斗(鶴岡東・福岡ソフトバンクホークス) 外れ外れ外れ1位
一軍公式戦出場なし
今季で3年目を迎える99年世代の選手たち。高卒スラッガーが豊作だった世代だが、ここまでは村上宗隆が大きくリードしている。2年目の昨季に大ブレイクを果たし、全143試合に出場、36本塁打、96打点で新人王を獲得。高校時代の実績では同期の清宮幸太郎、安田尚憲に遅れを取っていたが、プロ入り後は一気に逆転した。
その清宮は1年目、5月のデビューから7試合連続安打を放つなど好スタートを切り、7本塁打と上々ルーキーイヤーだった。しかし2年目は故障にも苦しみ成績を伸ばせなかった。普通の選手なら高卒2年目で14本塁打は立派な数字と言えるが、そのポテンシャルからするとどうしても物足りなく感じてしまう。まずは故障をしない身体を作り、飛躍につなげたいところだ。
村上、清宮からするとやや遅れを取っているように見える安田だが、イースタン・リーグでの成績は順調に伸ばしており、昨季は19本塁打、82打点の二冠に輝いた。3年目の今季、一軍でのブレイクに期待がかかる。
広陵時代、夏の甲子園で1大会最多記録となる6本塁打を放った中村奨成だが、プロ入り後は苦しんでいる。ファームでの出場数こそ39試合、83試合と伸ばしているが、打率.201とプロの壁に当たっている。捕手と言うこともあり育成に時間はかかるだろうが、1学年上の坂倉将吾が一軍の2番手捕手の座を手にした今、うかうかしていられない状況だ。今季はまずファームで攻守に存在感を発揮したい。
サプライズとも言える1位指名だった吉住晴斗。1年目はファームでの登板もなし、2年目の昨季はウェスタン・リーグ12試合に登板して防御率5.31。近年のソフトバンクは高卒ドラ1投手をじっくり育成する傾向があり、吉住の育成も急がないということだろうか。数年後のローテーション定着を期待したい。
一般的には投手の方がデビューが早く、野手の方が時間がかかるものだが、この世代は逆転現象が起きているようだ。これからも村上が世代を引っ張っていくのか、それとも清宮、中村が意地を見せるのか。今後も楽しみに見守りたい。
記事:林龍也
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