友永、大田、角とタレント揃いだった2008年の東海大相模。忘れられない「一塁ファールフライからのタッチアップ」
大田泰示と友永翔太
2019年限りで中日ドラゴンズを退団した友永翔太(東海大相模出身)。プロでは通算7安打しか打てず苦しい時代を過ごしたが、高校時代を知るものからすれば、友永でも活躍できないのかとプロの厳しさを実感した。
高校時代を知っているものからすると、「友永翔太」ではなく、「内田翔太」という印象しかない。毎年、野手のタレントが多い東海大相模だが、2008年の世代は粒ぞろいの選手が多いイメージだ。
まず筆頭は大田泰示(北海道日本ハム)だろう。当時はリリーフとしても投げていた大田は145キロ前後の速球を投げ込み、打者としては軽々と本塁打にできる選手だった。
また角晃多(BC武蔵監督 元千葉ロッテ)も巨人の中継ぎとして活躍した角盈男氏の次男として評判で、エースの大城昌士(西部ガス)は大城卓三(巨人)、大城建二(トヨタ自動車)の兄で、大城昌士は投手としてだけではなく、俊足強打と野球選手としても能力が高く、素質自体は卓三・建三の双子コンビよりもすごかったという評判だ。
友永は1番サードとして活躍。超俊足で、足を生かしたアグレッシブなプレーが印象的だった。その中で特筆すべきプレーが、一塁ファールフライのタッチアップだ。
それはある練習試合のこと。二塁ランナーの友永は相手チームの一塁手はモーションが大きく、送球が弱いという欠点を見抜いていた。打者が打ち上げた打球は一塁ファールゾーンの深めの飛球となった。捕球するとどうしてもモーションが大きくなってしまう。それを逃さず三塁に陥れた走塁を見せられた時は身震いがした。
その後、友永翔太として活躍していて、「あの内田翔太か!」と驚いた記憶がある。
粒ぞろいだった2008年の東海大相模世代だが、苦労を重ねてここまできている。最後の夏は優勝候補として注目されながら決勝戦で敗退し、卒業後では、大田も巨人時代は長く苦しみながら、北海道日本ハムに移籍してからブレイクし、1億円プレーヤーとなった。角もロッテ6年間で一軍に昇格できず戦力外。その後、BC武蔵へ移籍し、3年間プレーし、2018年から監督となった。監督2年目の2019年は右サイドの松岡洸希が埼玉西武3位に指名を受け、初めてプロ野球選手を送り出したことは感慨深いだろう。
友永は苦しんだが、11月30日、ワールドトライアウトで見せたスピード感溢れるプレーは健在だった。今後はどちらを選ぶにしても、ぜひ輝きを見せてほしい。
(記事=河嶋 宗一)
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