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オリックス・バファローズ平井 正史一軍投手コーチ 四国高校野球指導者たちに『山本 由伸育成メソッド』を伝授

2019.11.30

オリックス・バファローズ平井 正史一軍投手コーチ 四国高校野球指導者たちに『山本 由伸育成メソッド』を伝授 | 高校野球ドットコム
回転数の出る指のかかりについて説明するオリックス・バファローズ平井 正史一軍投手コーチ

 2019年11月30日(土)愛媛県松山市の「にぎたつ会館」において四国各地から監督を中心とした指導者が集い「令和元年度 第5回四国地区高等学校野球連盟監督会並びに監督研修会」が開催された。これは2012年1月21日に同所で開催された四国地区高等学校野球連盟監督会準備会を契機とし2015年からの正式発足で今回で四国4県持ち回り2周目を迎えるものである。

 そして今回は監督会からの「NPB出身選手からの指導を」という要望に対し「四国の高校野球のためになるなら」と平井 正史オリックス・バファローズ一軍投手コーチ(宇和島東〈愛媛〉出身・1993年同球団ドラフト1位)が球団協力の下で男気を見せ、全国的にも画期的な形での「NPB現役コーチが高校野球現役指導者に接する」研修会が実現することになった。

 現役時代は高卒2年目でパ・リーグ最優秀救援投手・最高勝率・新人王を獲得するなど、オリックス・バファローズと中日ドラゴンズで計21年間活躍し一軍リーグ戦569試合登板。コーチとしても今年のパ・リーグ最優秀防御率・「第2回WBSCプレミア12」でセットアッパーとして大車輪の働きを見せた山本由伸(都城〈宮崎〉卒3年目)など多くの高卒投手を育成してきた平井コーチは「投手における効果的な指導法」と題した午前の講演会ではこれまで蓄積した理論と逸話を惜しげなく披露。

 「僕は宇和島東の2年夏に松山商6点差逆転負けされ、上甲(正典)監督に『誰のせいで負けたんだ』と言われ悔しかったのが、(3年時・春夏連続甲子園出場)の原動力になった。実は練習が終わって家に帰った後も10キロくらい毎日走っていました」という高校時代の秘話や「遠投は3日に1回入れて自分の球筋を見るようにしていた。4年前にプエルトリコに1ヶ月コーチ研修に行ったことがあるが、プエルトリコの選手たちはキャッチボールから高めに抜けるようなボールは一切なかった。やはりキャッチボールは重要だと思う」というプロでの経験に基づくキャッチボール論。

 加えて「プロとしてコントロールのない投手は難しい。コントロールとはストライクゾーンの四隅に投げることではなく『アウトを取れる=(相手打者の)バットを振らせる』こと」というオリックス・バファローズでの共通認識。そして「試合での経験が一番大事ですし、技術的には下半身の安定。自分に妥協しない『俺はここまでやってきた』という気持ち。コントロールとは気持ちのコントロールも含まれる。ただ今の時代は身体の負担もあるので、やはり下半身の安定とシャドーピッチングを毎日することが重要になると思うし、球速も伸びてくると思う」という現代的な球速アップ法など、多岐にわたる話に指導者たちはノートを取りながら一心に聴き入っていた。

 さらに平井コーチは山本由伸についても言及。「彼の一番いいのは気持ち。どんな場面でもどんな状況でも『絶対に抑えてきます。任せてください』と言う。そして彼はキャッチボールから楽しそうにやるんです」と彼の成長に野球への執着心・探究心が源流にあることを明かしている。

 午後からは済美球技場に会場を移し、実際に中予地区高校生投手陣に対し指導実践も行った平井コーチ。午前・午後合わせて3時間余りの研修であったが、長らく投手力の強化が大きな課題となっている四国地区高校野球にとって実に有意義な時間となった。

(記事=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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