侍ジャパン初選出の高梨雄平(東北楽天)!左サイド転向後からの生き方を学ぶ
川越東高時代の高梨雄平選手(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)
2月20日、沖縄・那覇市内で3月3、4日に開催される『ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018「日本vsオーストラリア」』に出場する28名が発表された。
その中で、初の侍ジャパン選出された高梨雄平(東北楽天ゴールデンイーグルス)について、今回は迫っていきたい。
高梨は、昨年プロ1年目ながら46試合に登板。 左サイドから投じるストレートとスライダーを武器に、1勝14ホールド、防御率1.05、43.2回を投げ、48奪三振の成績を収めた。
高梨の投球は、プレートの一塁側を踏んで、インステップ気味に投げ込まれるため、その軌道は左打者から背中越しにくるような軌道となり、相当打ちにくく感じる。このストレートを武器に、強打者揃いのパ・リーグの各打者を抑えていった。
その高梨の高校時代(川越東)を振り返ると、2年秋から3年夏まで3季連続連続でベスト4進出を果たした。
当時の高梨は、サイドスローではなく、最速143キロのストレートを投げ込むオーバースローだった。
さらに早稲田大入学後も、1年秋に5勝、2年春に4勝を挙げ、その6月には大学選手権優勝を経験。また投手ながら、1年秋は打率.385、2年春には打率.500を記録するなど、打撃センスの高さも発揮。
2年生まで通算11勝を挙げていた高梨だが、3年春以降、ケガに苦しみ、未勝利。JX-ENEOS入社後も、思うようなピッチングができない状態が続いていた。
転機となったのは社会人2年目の夏。サイドスローに転向し、再起を図る。サイドスローに転向した姿が東北楽天スカウトの目に留まり、ドラフト9位指名で入団。
転向したばかりの球速は130キロ前半で、コントロールも高いわけではなかった。それでも、東北楽天は戦力になると見込んで指名に至った。
高梨は、プロ1年目では、フォーム固めを行い、常時140キロ台中盤まで計測できるレベルまでに進化。1年目からの飛躍につながった。
高梨にとってサイドスロー転向はラストチャンスでもあった。もしかすると、社会人2年目の夏に転向の決断をしなければ、スカウトの目に留まるきっかけがなかったかもしれない。また、入団後も左の中継ぎとして、必死の努力を続けた高梨から学ぶべき点も多い。
これまで侍ジャパンの代表選手で左のサイドスローといえば、2013年のWBC代表の森福 允彦(巨人)。なかなかいないタイプの投手だけに、好投を続ければ、2019年のプレミア12、2020年の東京五輪の代表選出にも期待がかかる。まずオーストラリア戦でどんなピッチングを見せるのか、楽しみだ。