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「外野席の有料化」と「バックネット裏の全席前売り&指定化」この変化に望むこと

2018.01.25

「外野席の有料化」と「バックネット裏の全席前売り&指定化」この変化に望むこと | 高校野球ドットコム

 今夏の第100回全国高等学校野球選手権記念大会の第1回運営委員会(委員長=八田英二日本高等学校野球連盟会長)が昨日(24日)午後2時から行われ、大会予算案のほか、①「来場者の安全対策」、②「大会日程の詳細(日別に試合数や開始時刻)」が承認されました。

 史上最多56校が出場する大会日程の詳細については一番下の表を見ていただくとして(後日また取り上げます)、今回は来場者の安全対策についてを取り上げます。

 安全対策は大きく分けて2つ。「これまで無料だった外野席の有料化」と「中央特別席(バックネット裏)の全席前売り&指定化」です。
2つに共通することとして、まずは表をご覧ください。

「外野席の有料化」と「バックネット裏の全席前売り&指定化」この変化に望むこと | 高校野球ドットコム

 このように3年前の2015年(第97回大会)以降、早朝の開門時に来場するお客様が激増しています。特に午前6時30分ごろの開門時に来場しているお客様が5,000人以上という日が、2014年(第96回大会)までは大会期間中に1、2回しかありませんでしたが、2015~17年(第99回大会)は7回もしくは8回ありました。

 このような日は早朝から夕方まで満員状態が続き、とくに無料である外野席への入場を待つお客様の列が非常に長くなり、混雑によってトラブルが起きたり、転倒事故が起きる危険が高まっています。開門時の来場者数が最も多かったのは、2017年の第99回大会4日目(8月11日祝日)の12,600人でした。

この時のカードは、
①広島広陵vs中京大中京
横浜vs秀岳館
興南vs智辯和歌山
大阪桐蔭vs米子松蔭
です。

 この日は球場正面の入場券売り場だけではなく、無料である外野席の外周にも大勢のお客様が列を作り、危険回避のため、内野席よりも15分早い午前6時15分に外野席が先に開門されました。このような措置は史上初だそうです。

 こういったデータからも、雑踏事故防止などの観点から新たな対策が必要になり、ここ数年検討されてきました。主催者によれば、昔になりますが、過去に外野席を有料にしていた時期もあるそうで、まったく初めてのことではないとのことです。

 因みに春の選抜高校野球はこれまで満員通知が出ることがないため、現状通りをしばらく続けます。日本高等学校連盟の竹中雅彦事務局長は、「今後夏と同じようなことにならない限り、春は今まで通り」と話しました。

 夏の外野席の料金は今後検討を重ねられ、4月の選手権大会運営委員会をメドに発表される予定です。日本高等学校野球連盟と朝日新聞社によると、試案ながら500円程度を考えているとのことでした。

 もう一つ、「中央特別席の全席前売り&指定化」には、遠隔地に住むお客様も入場券を購入しやすいようにすることや、指定席入場券を持つお客様の来場時間帯を分散させ、球場全体の混雑を緩和する狙いがあります。

 上記の表からもわかるように、近年は阪神電車の始発に乗っても中央特別席の入場券を買えないお客様がいて、球場周辺で徹夜するしかないという状況が何度もありました。取材をする限り、『球場前で徹夜する人を少なくしたい』という狙いも感じます。中央特別席も過去指定席だった時代がありますが、全席を前売りにするのは記録にないそうです。

 中央特別席の入場料金と前売りの販売方法も、4月の運営委員会をメドに決定されます。
また、中央特別席は試合途中で空席になっても、当日の再販売はしない予定と竹中事務局長は明らかにしました。

 最後に大事なことをもう一つ。

 外野席の有料化などでの新たな収益は、日本高等学校野球連盟と朝日・毎日両新聞社が協議している「高校野球200年構想」の事業費用に充てられます。野球の振興や選手育英、ケガ予防などの事業内容が検討されています。

 200年となると先が長いですが、今高校野球に関わっている全ての関係者の次の世代に引き継いでいくため、そして春夏の200回大会をちゃんと開催するためにも、今回の決定が有効だと将来の関係者に言ってもらえるように願いたいですね。

「外野席の有料化」と「バックネット裏の全席前売り&指定化」この変化に望むこと | 高校野球ドットコム

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(文:松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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