チーム転換期の宿命か。横浜が衝撃のコールド敗退
万波中正(横浜)
チーム転換期の宿命か。横浜が衝撃のコールド敗退
昨日、9月20日。秋季神奈川県大会の準々決勝で、横浜が鎌倉学園相手に痛恨のコールド負けを喫した。鎌倉学園は、チーム1つとして強豪・横浜に攻めていく姿勢があったのは事実だが、横浜の投手陣が計15四死球を与えてしまった、いわば自滅のような面が大きかったのもまた事実だ。
横浜のコールド負けは、2014年・秋3回戦の慶應義塾戦以来になる。同じく2014年の春季関東大会では、茨城の霞ヶ浦にも2対9でコールド負けを喫し、これが1970年春(神奈川工戦)以来となる44年ぶりのコールドだったために、これに続く年間2度目の苦杯の一報は、高校野球ファンを大きくざわつかせた。
この2014年秋のコールド負けは、横浜の名コーチとして長年活躍した小倉 清一郎氏の退任直後のいわばチーム転換期であった。渡辺 元智前監督との二人三脚でチームの栄光を築いてきた、まさに名参謀というべき存在が抜けた影響は、大きかった。
そして渡辺前監督も、2015年夏の終了と同時に勇退。その後釜として就任したのが平田徹監督だ。周知の通り、平田監督政権下でも、2016年夏、2017年夏と2年連続の甲子園出場を果たし、素晴らしい結果を残しているが、16年は2回戦で履正社に敗れ、今年は1回戦で秀岳館の前に屈している。いずれも超強豪相手のいわば注目カードだったといえ、全国屈指の強豪・横浜としては、多少の物足りなさも感じさせた。そうして起こったこの秋のコールド負け。
今年は1年生から経験を積んできたU18代表の増田珠、主将・福永奨がいないことが大きく響いている。この2人はリーダーシップを発揮して、チームをまとめ、もりあげたりするなど、チームが勝つために何ができるのか?それを熟知して、先頭となって、チームはまとめてきた。この夏、藤平尚真のような絶対的なエースがいなくても、甲子園出場できたのは精神的支柱だった2人の存在が大きかったといえる。
今年は万波中正、長南有航といった大型選手は残るも、まだチームとしては成熟していないことを印象付けた。選手の能力の高さが、必ずしも実績に結びつくわけではない。選手たちはそれを強く感じたはずだ。この代は平田監督が就任してから、初めて迎えた新入生で、ずっと平田監督の指導スタイルに揉まれてきた選手たちなのである。
この秋は平田監督、選手たちにとっては勝負をかけた大会だった。結果は屈辱のコールド負け。来年は100回大会を迎える記念の年。名門・横浜はチームとして大きな転換期を迎えようとしている。