打順間違え、ルールを知れば出来る色々な対応
打順間違え、ルールを知れば出来る色々な対応
東東京大会・都雪谷vs自由ヶ丘学園(7月9日)、関東一vs堀越(7月14日)で「打順を飛ばす」という場面がありました。両試合とも、守備側の高校からアピールがなかったため試合は続行しましたが、どのような対応策があったのでしょうか?
実は、「打順飛ばし」は、審判からは指摘はされません。公認野球規則では下記のように定められています。
【6.03b原注】
審判員は、不正位打者がバッターボックスに立っても、何人にも注意を喚起してはならない。各チームの監督、プレーヤーの不断の注意があって、はじめて本条の適用が可能となる。
つまり、アピールをしないとそのままゲームが進みます。
一方、守備側が「打順飛ばし」を認識していると、アピールをするかどうかの状況を見て決めることができます。更に、アピールするタイミングで適用されるルールが変わるため、どのタイミングでアピールすると、試合の状況で一番良いかを決めることができます。では、各タイミングでどのようなルールが適用されるのでしょうか?まずは、下記の公認野球規則を確認してみましょう。
公認野球規則
(b)打順の誤り
(1)打順表に記載されている打者が、その番のときに打たないで、番でない打者(不正位打者)が打撃を完了した(走者となるか、アウトになった)後、相手方がこの誤りを発見してアピールすれば、正位打者はアウトを宣告される。
(2)不正位打者の打撃完了前ならば、正位打者は、不正位打者の得たストライク及びボールのカウントを受け継いで、これに代わって打撃につくことは差し支えない。
(3)不正位打者が打撃を完了したときに、守備側チームが〝投手の投球〟前に球審にアピールすれば、球審は、
(A)正位打者にアウトを宣告する。
(B)不正位打者の打球によるものか、または不正位打者が安打、失策、四死球、その他で、一塁に進んだことに起因した、すべての進塁及び得点を無効とする。
【注1】
(3)(5)(7)項でいう、〝投手の投球〟とは、投手が次に面した打者(いずれのチームの打者かを問わない)へ1球を投じた場合はもちろん、たとえ投球しなくても、その前にプレイをしたりプレイを企てた場合も含まれる。 ただし、アピールのための送球などは、ここでいう〝プレイ〟に含まれない。
【注2】
不正位打者の打球によるものか、不正位打者が一塁に進んだことに起因した、すべての進塁及び得点を無効とするとあるが、進塁だけに限らず、不正位打者の打撃行為によるすべてのプレイを無効とする。すなわち、不正位打者の二ゴロで一塁走者が二塁でフォースアウトにされた後、アピールによって正位打者がアウトの宣告を受ければ、一塁走者のフォースアウトは取り消される。
(4)走者が、不正位打者の打撃中に盗塁、ボーク、暴投、捕逸などで進塁することは正規の進塁とみなされる。
(5)不正位打者が打撃を完了した後、〝投手の投球〟前にアピールがなかった場合には、不正位打者は正位打者として認められ、試合はそのまま続けられる。
(6)正位打者が、打撃順の誤りを発見されてアウトの宣告を受けた場合には、その正位打者の次の打順の打者が正規の次打者となる。
(7)不正位打者が〝投手の投球〟前にアピールがなかったために、正位打者と認められた場合は、この正位化された不正位打者の次に位置する打者が正規の次打者となる。
不正位打者の打撃行為が正当化されれば、直ちに、打順はその正位化された不正位打者の次の打者に回ってくる。
簡単に言えば、本来の打者以外が打席に立っているのを認識している場合、不正位打者が打席に立っている内にアピールすれば、その時点で本来の打者に変更させることができます。
一方、認識している上で敢えて不正位打者の打席が完了するまでアピールせずに、不正位打者のプレー完了後にアピールするという選択肢もあります。このアピールのメリットは、不正位打者に本塁打を打たれようが、タイムリーヒットを打たれようが、アピールの時点で、不正位打者をアウトに出来るだけでなく、そのワンプレーで入った得点も無効にできます。
※該当打者が打席に立っている内に、行われた盗塁、ボーク、暴投、捕逸などの進塁は正規の進塁とみなされて無効にはできない点に注意が必要です。
※該当打者の打撃完了後、次の「投手の投球」前に球審にアピールしなければ当ルールが適用されません。
今回の2試合では、アピールがないため試合が続行されました。もちろん状況を見て故意的にアピールをしていないということも考えられます。 ルールを把握することで、試合展開に影響を与える場面でメリットのあるアピールができます。そのためにも、球場内のスコアボードだけでなく、スコアブック上の打順をチーム内で共有し合うことも大事なことです。
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