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タイブレークは、高校野球次の100年へ向けての転換点となるのか?

2017.06.14

タイブレークは、高校野球次の100年へ向けての転換点となるのか? | 高校野球ドットコム

タイブレークは、高校野球次の100年へ向けての転換点となるのか?

 日本高校野球連盟の技術・振興委員会が昨日(13日)に行われ、「選手の障害予防の検討」と「U-18日本代表一次候補の選考」をテーマに話し合われました。

 技術・振興委員会は日下篤委員長(元育英監督)をはじめ、11名がメンバーです。

 U-18日本代表一次候補については16日に発表されますので、今日は「選手の障害予防の検討」について書いていきます。
「選手の障害予防の検討」。わかりやすく言えば、昨日の会議で話し合われたのはタイブレークを全国大会などで本格的に導入するかどうかです。

 技術・振興委員会後に、日本高校野球連盟の竹中雅彦事務局長が報道陣の取材に応じました。

 そのなかでまず、
「タイブレーク云々の前に、投手に一番効果があるとされている投球回数の制限と球数制限。これについてどうお考えですかと委員の方に話を聞きました。皆さんの意見は、効果が一番あるというのは共通している。だが、高校野球の現場では導入するのは今の所は難しい。その理由は、色んな学校がある中でこういうことをやってしまうと、部員数の多い学校と少ない学校で格差が広がってくるでしょう。他のスポーツもそうなんですが、高校野球は、同じ土俵で戦う。ですので、できるだけフェアな条件でやらせていくのが高校野球なんじゃないでしょうかという意見が大勢を占めました。そういうこともあり、将来的な投球回数制限、球数制限を検討しつつ、今の段階では導入は難しいというのが結論です」。

 そう話した上で、タイブレークの話になったそうです。結論から先に言えば、

【技術・振興委員会として、来春の選抜大会から、全国大会でタイブレーク制度を導入してはどうか提案すると決まった】

とのことです。

 日本高校野球連盟では、5月17日に行われた評議員会の時に、47都道府県の高校野球連盟の理事長が全て集まったこともあり、アンケートを配布しました。

1現在タイブレークを導入している大会は何でしょうか?
2導入している所は、10回と13回のどちかから実施しているのか?
3これまで実際にあった事例は?
4投球回数、球数制限、タイブレークについてフリーに、忌憚のない意見を書いてください。

という4つが質問です。

[page_break:アンケートの回答は?]

 回答を総合すると、

春季大会で34都道府県がタイブレークを実施
秋季大会は県大会前の地区予選で1県がタイブレークを採用しているとのことでした。

次に、タイブレーク開始から終了までの平均回数。
34都道府県は平均1,3回。
関東大会や近畿大会など全国9の地区大会では平均1.4回
とのことでした。つまり、ほとんどが2イニング目までいってないことになります。

最後にフリーに忌憚のない意見を書いてくださいという項目です。
タイブレーク制度を導入すべき:38 
やはり最後までやらせてあげたいので時期尚早:2
特記事項なし:7

 この中でタイブレーク制度を導入すべきという38地区の中でも色んな意見があったそうです。中でも、導入するとしても、甲子園大会だけにして、地方大会はそれぞれの裁量に任せてほしいという意見が多かったとのこと。それもあり、まず全国大会でのタイブレーク導入を提案するという結論に達しました。

 「これまで反対意見だった都道府県の連盟も、今はやむを得ないという声に変わってきた。野球のルールは時代とともに変わってきた部分がたくさんある。今の状況を考えると、ここらで変えるべき時期にきているのではないかという声が多いです。ただ本心では、みんな最後までやらせてあげたいという気持ち」と竹中事務局長。

 それと、U-18ワールドカップでは今年から、延長10回からノーアウト一、二塁からタイブレークがスタートし、かつ“継続打順”という方式に変わったそうです。
「国際ルールに合わせていくという意味では、継続打順とノーアウト一、二塁からスタートという方式が良いのではないか」と竹中事務局長は私見を話します。

 さらに、過去5年の春と夏の[stadium]甲子園[/stadium]の延長戦の統計をとり、「12回までで試合が終わっているのが約8割。そう考えると13回からというのが意見として多かった」と話してくれました。

[page_break:今後はどうなるのか!?]

 今後の流れとしては、来週行われる審判規則委員会で、高校野球特別規則23の改訂について話し合われます。ここで全国大会のタイブレークを何回からするのか、1イニング目を任意打順にするのか選択打順にするのかなどのシチュエーションを考えます。

 その後は8月に、もう一度各都道府県の意見を踏まえて、技術・技術振興委員会で話し合われます。そして、9月以降に行われる選抜と選手権の両運営委員会での承認、11月の理事会での承認を経ると、正式に来春の選抜からのタイブレーク導入が決まります。ただ、もちろんですが、反対意見が出て承認されない可能性もあるとのこと。そうなれば、もう一度、技術・振興委員会から考え直す可能性もあります。

 取材を進める限り、甲子園大会の日程をすぐに延ばすというのは、阪神タイガースの日程が絡むこともあり難しいということが伝わってきます。また、サスペンデッドは3年前の軟式大会で延長50回まで進んだ事例があり、その後に高校野球特別規則でサスペンデッドは適用しないということになりました。そんな中で最善ではないが、次善の策として検討されているのがタイブレークです。

 難しい問題で色んな意見もあるでしょう。ただ、大会のルールを作るのは運営側の仕事です。プレーする選手やチームはそのルールの中で野球=試合をやります。

 高校野球次の100年へ向けての転換点になるかもしれません。どうなっていくか推移を見守っていきましょう。

(文:松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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