練習量だけではなく、部員同士でコミュニケーションを!早稲田実業が鴨川合宿で結束をさらに深める
和泉実監督が掲げたボードを見る
早稲田実業の選手たち
早稲田実業が部員全員で鴨川合宿を行った理由とは?
早稲田実業は22日から28日まで千葉県鴨川市でキャンプを行ったが、部員全員(63名)が参加している。率いる和泉実監督はこの合宿の意図を話してくれた。
「この合宿は野球どうこうというよりも、野球部全員で動く時間を過ごしたかったのが目的ですね。理由としては、神宮大会決勝まで試合をしたので、さらに試験がすぐあって、どうしても野球部の活動がレギュラー中心で回っていて、うちは部員が63人いますが、全員で動く機会が少なかったんです。
この合宿は部員全員でやり切ること。だからメニュー、宿舎も同じです。個々のレギュラーの練習量は少なくなっている部分はあるかもしれないですけど、1年生が2年生のレギュラーとしっかりと話をする機会はこの合宿で初めてという部員もいるということでしょう。部としては部員同士がコミュニケーションを取ることをすごく大事にしています」
実際に練習を見ていてもミーティングのときは全員が集合、そしてノックをやる前には、マウンド上で野手全員が集まってやることを確認。ノック中では1ポジションあたり、5~6人が守っている姿が見られた。
ずっとレギュラー中心で活動してしまうと、控え選手との距離が出てしまうからだ。指揮官は部員全員に目が行き届くように意識している。これは早稲田実業に限った話だけではなく、たとえば、大阪桐蔭は秋の公式戦が終わってからの練習試合では、レギュラーだけではなく、今まで出場できなかった選手たちにも出場機会を多く与える。
また福島の強豪・聖光学院は、12月の土日は2年生vs1年生の紅白戦を行っている。この意図について、斎藤智也監督は「選手の実力は試合が一番分かります。そこで良い選手を見出す目的もありますが、試合に臨む心構えを全員に学んでほしいという考えがあります。試合で結果を出すというのは大変です。結果を出さなければ生き残れないプレッシャーはありますし、結果を出すための準備など、生半可ではありません。ただ打ち克っていかないと公式戦では結果を残せません」
高校野球は、夏の大会終了後を境にチームが入れ替わっていく。その中でチームの強さを維持するには、部員全員が何事においても上達に向けて意欲的に取り組むことができるか。指導者はそれができるために試行錯誤をしている。
この合宿により早稲田実業のチーム力がより一層深まることを期待したい。