元PL学園監督・中村 順司氏が中学生に指導! 「野球の基本はキャッチボール」
中学生に指導する元PL学園監督中村 順司氏
■元PL学園監督中村 順司氏が中学生に指導。「野球の基本はキャッチボール」
日本プロ野球選手会が振興している「キャッチボールクラシック」の大阪予選会が、8月4日、大阪府枚方市の[stadium]ひらかた東部スタジアム[/stadium]で行われた。クラシックに先立って、SSK主催の野球教室が開催され、キャッチボールを中心に、基本の習得を元PL学園監督で名古屋商科大学野球部総監督の中村 順司氏が指導した。
■キャッチボールの重要性
参加したのは、大阪府全域の中学生18校約200名。「キャッチボールをしっかり身につけることで、大学、社会人と野球を続けていくことができます」とキャッチボールの重要性を語る中村氏は、「試合では、ボールを取って投げる時の動きにつながるので、必ず足を動かしてキャッチボールをしてください」とアドバイス。正対してしっかりと捕る。右利きの選手は右足を出して捕る。円運動のチカラで直線で放してやる、グラブ紐はしっかり結ぶことで手とフィットするなど、一つひとつ具体的なポイントを加えながら、実施していった。また、守備練習でも、「歩きの中での捕球と送球という基本は変わらない」と説明。
参加した中学生たちは、「歩きながら捕ることは、前も先生に言われたことがあって思い出した」、「普段していないことだったので、うまくできなかったけど、明日からやってみたい」、「キャッチボールって肩慣らしの準備体操だと思っていた」など、キャッチボールのやり方を学んだだけではなく、野球のプレー全ての基本につながるキャッチボールの重要性を教わった。
■PLのキャッチボール
「PL学園の選手たちは、キャッチボールが上手でした。キャッチボールは、相手の捕りやすい、捕った後に投げやすいボールを投げるのが基本です。キャッチボールができていると、大学、社会人と息の長い選手になります。典型的なのは宮本慎也ですね」と語る中村氏は、まもなく開催される夏の選手権大会に向けて、「各都道府県の代表としてね、予選を勝ち抜いてこられたから。その地域の代表として頑張って欲しいな、という気持ちです。そして予選で戦ってきた選手たちの気持ちも代表して欲しいと思います」とメッセージを寄せた。
中村氏の教え子で、桑田清原世代の一学年上の清水 哲氏が、恩師の野球教室を見学しにやって来ていた。清水氏はPL学園では桑田清原とクリーンナップを組み、3年時には春夏連続で準優勝。夏の決勝では9回に同点ホームランを放つなど活躍。しかし、大学一年時のリーグ戦で、セカンドベース上の交錯で首を骨折。現在も車椅子での生活を余儀なくされている。
中学生に指導する元PL学園監督中村 順司氏
最近、再会した甲子園で対戦した相手から、「試合前に、PL学園のキャッチボールを見て勝てないと思った」と告げられたと話すなど、昔話に花を咲かせていた。そんな清水氏に、恩師の野球教室の感想を聞くと、「僕はすごく新鮮な気持ちで見ていました。でも、生徒たちは先生の言いたいことをまだ完全に理解していないようで、もったいないですね。動きの中でするキャッチボールの意味。それに頭の高さ、目の位置が重要になるんですよね。軟式は独特で、バウンドが高い。だから守備の際にはとにかく前に出ること。そういうところがまだまだで、指導者の先生方が補ってくれればと思います。
とにかくキャッチボールは、野球の基本で、守備やバッティングにも通じるものがあるんですよね。僕は中村監督に厳しく指導を受けてきたから分かるんです。でも、今日は僕が補佐で付いたほうが、生徒たちには良かったですね」と笑いながら話してくれた。
■キャッチボールクラシック大阪大会
野球教室の後、学んだことを踏まえて、9名1チームによるキャッチボールクラシックを実施。7m離れて5名と4名に別れた2グループで行い、ボールを投げると列の最後尾に移動。常にキャッチボールをする相手が変わり、ボールを投げる相手の身長や利き腕、技術力も変わることで、どんなボールを投げればいいかを毎回考える必要があり、判断力を養うことにもつながる。
学んだのは、生徒だけでなく、指導者の先生も同様で、「試合に準じたキャッチボールをという点に、改めてその意味を考えさせられました」、「キャッチボールが野球の全ての要素となるということをもう一度練習でも確認したいと思います」など、野球の基本を再確認する場となった。
予選、敗者復活戦、決勝など3試合を最後まで勝ち抜いたのは、枚方市の桜丘中学校。2分間で115回と、この日の最高回数を記録。上位2チームが全国大会への参加出場権を獲得。12月4日には、山梨県甲府市でキャッチボールクラシック全国大会が開催される。