【平成27年度指導者講習会】ソフトバンクホークス・工藤公康監督が日頃考える選手への考え方、接し方を披露!
会場の様子
▲講演する工藤公康監督
12月5日、東京都高校野球連盟は海城高校講堂にて指導者研修会を開催した。今年はソフトバンクホークスの工藤 公康監督を招き、講演が行われた。
まず、工藤監督は現役を引退し、解説者をしていた3年間で野球界と、世の中での常識の違いを痛感したという。野球界では許されていたことが、一般社会では許されない。その違いを痛感し、
「野球選手である前に、社会人としてしっかりする」ことを選手に常々語り、ホークスでは無精ひげをはやしている選手には剃るように注意をし、長髪や金髪をチーム内で禁じるなど、選手に野球選手としての見られる意識を徹底して植え付けているという。
工藤監督は自身の野球人生を語り、小学校時代、一度は野球を辞め体操部に入部し、中学校ではハンドボール部に所属した後で野球部に入部するなど、野球一色の少年時代ではなかったと話し、体操が体の柔軟性を高め、ハンドボールを投げているうちに肩が強くなったと明かした。中学の野球部の顧問の先生が野球に関して初心者であったため、雑誌などに掲載されている選手の連続写真などでピッチングフォームについて研究するのが好きだったといい、子供のころから自分で考えるのが好きな子供だったという。
プロ入りした後、工藤監督はコーチに技術に関しての質問をしたときに幾つかの指摘を受けた後、「俺の言う通りにしろ」と言われたのがきっかけとなり、ますます自分で技術に関する理論を勉強するようになった。その理論を活かし、監督となった今、秋季キャンプで投手陣に「工藤班」を作るなど、「このトレーニングをやってどうなるのか、トレーニングをどうピッチングに活かすか」を重点的に選手たちに伝えている。
工藤監督は「選手の能力はみんな伸びる」との持論をもち、能力を伸ばすための技術を習得するために反復練習が欠かせないという。ソフトバンクホークスでは、コーチに「こうしなきゃ駄目だ」とは言わせず、より技術を磨くためにどうすべきかをしっかり説明させることで選手自身に今何が必要なのか、何を練習すればいいのかをしっかり理解させてから練習に取り組ませているという。
指導を受ける選手たちに不公平さを感じさせないために一人一人と向き合う工夫も欠かせないと話した。
講演の最後には「選手は全員弟、息子みたいなもの」と言い、最後まで選手への愛情を語ってくれた。自分がしてきた苦い経験を今の選手たちにはさせたくないという親心を感じることができた。
質疑応答の時間帯では、具体的な投手のトレーニング方法の話、プレミア12での投手起用に関する話など予定とされた90分はあっという間にすぎていった。
今夏の甲子園大会でベスト4に西東京代表の早稲田実業、東東京代表の関東一高の2校が進出するなど、飛躍を果たした東京都の高校野球。内容の濃い指導者研修のもとで、来夏はどのような活躍を見せてくれるのだろうか。
【高校野球ドットコム編集部】
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