【センバツ出場校分析】県立糸満高等学校（沖縄）

金城 乃亜（糸満）

【チーム構成の特徴】

秋季大会登録は23人。その内、右投げ左打ちは3人で、左投げ左打ちは5人いる。レギュラー格は5人が左打者。
全選手が沖縄県出身で、その内、学校所在地の糸満市出身が12人。

【ディフェンス面】
エースの金城 乃亜が10試合中9試合で先発。その内、7試合は左腕の安谷屋 正貴が二番手で登板している。秋はこの2人によるリレーが戦いのパターンだった。2人を含めた投手陣全体の1試合平均与四死球1.46は出場32校で最も少ない。相手に四死球を与えなかったのも4試合あり、これは32校で最も多かった。

エース・金城 乃亜の与四死球率1.63は32校の主力投手の中で6番目に少ない。それを上回ったのが安谷屋で、投球回数こそ少ないものの与四死球率1.16は主力投手の中で最少だった。2人に共通しているのが、被安打率が高いこと。沖縄県大会準決勝から九州大会初戦までは3試合連続で無四球だったが、いずれも二桁安打を浴びている。走者を与四死球ではなく、打たれて背負っていることがこの数字からわかる。ただし、九州大会決勝の九州学院戦は、9回裏一死満塁から押し出し四球で敗れている。四死球をほとんど与えていなかった投手陣にとっては痛恨となったことだろう。

打たれ強い投手陣を支えているのは守備。特に1試合平均許盗塁は0.10で、32校の中で健大高崎に次いで2番目に少なかった。唯一盗塁を許したのは、沖縄準決勝の首里戦。
1試合平均失策0.73は32校で7番目に少ない。特に三遊間はショート・池間 誉人の1個だけで、堅い守備であることが読み取れる。

【オフェンス面】
チーム打率0.343は出場32校中7位。全105安打に占める長打の割合は23.8%でこちらは19位だった。
注目は3番・大城 龍生で、打率0.632は32校の主力選手の中でダントツのトップ。二塁打6、三塁打2も光り、長打率は0.885。打点13もチームトップだ。
オフェンスデータでもう一つ目立つのが32校で最も多い1試合平均5.17犠打飛。中でも5番・太田 貴斗は犠打飛12を記録した。
また三振は32校で5番目に少ない1試合平均2.79。個人では2番・岡田 樹が三振0で、打率トップの大城もわずか1個だけだった。試合別で最も多かったのが九州学院・伊勢 大夢から喫した6個。全国の好投手相手に、三振が少ないというデータがどこまで発揮されるだろうか。

【戦い方から見える傾向】

夏の沖縄大会は7月20日の決勝で敗退。3日後の23日には早くも新人大会の予選があり、1試合も練習試合ができなかった。そのため新人大会では初戦で敗れるなど1勝2敗で終わり、新人中央大会に進出することができなかった。
8月前半は練習試合が少なく、チーム作りをしっかりしようとしていたことが窺える。中旬から練習試合を本格化した。その練習試合では投手が完投した試合がなく、全てが継投だった。
この姿勢は公式戦に入っても続く。10試合で投手が完投したのは、九州大会初戦の佐賀学園戦だけ。それも7回コールドゲームでのものだったため、9回までやっていたとしたら継投していたかもしれない。
コールドゲームは3試合、延長は2試合で、1試合あたりの平均イニングは8.70。

九州大会後の11月には関東へ遠征して横浜や横浜商大高などと練習試合を行っている。