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【宮城】宮城県高校野球連盟監督会にて二宮清純氏の講演が開催!

2014.02.10

 宮城県高校野球連盟(以下、宮城県高野連)の監督会が8日、硬式・軟式の野球部監督や部長、副部長など約100名が参加し、仙台市内のホテルで行われた。
 監督会理事長である名取北・谷藤 正樹監督が「今年も多くの意見、アイディアを出して、宮城県の高校野球のレベルアップ、マナーアップに生かしていければと思います」と開会のことばを述べてスタート。宮城県高野連・西尾 正人会長は「今年度は、夏の大会が[stadium]石巻市民球場[/stadium]から始まりました。被災地の復旧から復興へという熱い思いでスタートを切り、秋の大会では東陵高校が実績を基にして春の選抜出場を勝ち取りました。いろんな情報交換がこの場でなされるかと思います。本日の監督会が有意義な時間になりますことを願っております」と挨拶。続けて、東北地区高野連、宮城県高野連などから選抜大会に出場する東陵高校へ餞別(せんべつ)が送られた。

甲子園塾の受講報告をする志津川・松井康弘監督

 報告事項では、昨年11月22日から24日に開催された甲子園塾に参加した志津川・松井 康弘監督が受講の報告をした。甲子園塾の趣旨から、座学で学んだことなどをピックアップして話した。塾長である星稜・山下 智茂総監督には「松井」という名字から気にかけてもらい、朝6時からの散歩に同行した際には「お前は宮城だろ。宮城を野球で元気にしろ」と激励されたという。最後に「高校野球のトップの方々に教えていただける貴重な場所。刺激のある3日間で、仲間が全国に増えました。ここで学んだことを、現場で活かしていきたいと思います」とまとめた。

 明治神宮大会視察報告では、参加者を代表して東北学院榴ケ岡の佐々木 貴紀監督が報告した。シートノック前の様子、シートノックの様子、外野手の守備位置の深さ、本塁でのブロック、大学野球観戦と項目を分けて説明。佐々木監督にとっては、全国大会を生観戦するのは初めてのことで、「非常に勉強になりました。また、宮城県の高校も来ていて、今年は自分のチームも連れて行って選手たちに見せてあげたいと思いました」と話した。


 その後、宮城県高野連附属審判団を代表して鈴木新六団長から投手の三塁偽投禁止に関してなど、宮城県高野連の佐藤 秀之理事長から元プロ野球選手の学生指導資格回復についての確認がなされた。
 協議では次年度各支部監督会幹事選出について、元プロ・プロ野球選手による講習会のあり方についてなど5つの議案が説明され、これらに関しては監督会終了後に各地区で集まり、話し合いがもたれた。

講演するスポーツジャーナリスト・二宮清純氏

 休憩後、メインイベントであるスポーツジャーナリスト・二宮 清純氏による講演が行われた。二宮氏は「みなさんの仕事は大変だろうと思います。プロの監督でしたら、勝つことが一番。高校野球の監督は勝つことを前提にはしていますが、プロに行きたい選手、大学・社会人で野球を続けたい選手、高校で野球を止めてしまう選手、それぞれ目的が違う。束ねて同じ方向に向かうというのは難しい。加えて、高校野球は教育。バランスを取りながら難しい作業をされていると思います」と話し始めた。

 ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏、サッカー日本代表元監督のハンス・オフト氏、楽天の球団社長・立花 陽三氏がそれぞれ行った食事を通したコミュニケーションのエピソードや、マラソンの高橋 尚子氏、有森 裕子氏らを育てた名将・小出 義雄氏の選手指導法、選手の特徴を超一流・一流・二流・三流・四流とカテゴリーに分けてエピソードを交えて説明。さらに、高橋 尚子氏が金メダルを獲得したシドニー五輪で、ソフトボール日本代表が金メダルを獲得した北京五輪で、鈴木 大地氏が100m背泳ぎで金メダルを獲得したソウル五輪で、それぞれ見せた「準備力」を話した。

 最後にイタリアのサッカーの教本にあった言葉を紹介した。
「イタリアでサッカーの指導者だけではなく、ビジネスリーダーも読んでいるということで取り寄せました。読み終わった感想は、いい本だなという程度だったんです。ところが、最後の1行にぶっ飛びました。最後の1行の前がこうなっていました。『今、君たちは、この本を読んでリーダーとはいかにあるべきかということを確認したに過ぎない。せっかく最後まで読んでくれたお礼に一番、大切なことを教えてしんぜよう』。ほほう、どんな言葉かなと期待に胸を膨らませて最後のページをめくりました。すると、イタリア語でこう書いてありました。『il bello dorso』。美しい背中、凛とした背中、毅然とした背中、そんな意味だそうです。こんな解説がありました。子どもは親のどこを見て育っているか知っているか。それは顔ではない背中だ。生徒は教師のどこを見て育っているか知っているか。それは顔ではない背中だ。選手は監督・コーチのどこを見て育っているか知っているか。それは顔ではない背中だ。(後輩は先輩の――、部下は上司の――)。『il bello dorso』。良きリーダーたらんとする者は、先ず以て、良き背中を持ちなさい」。

閉会のことばを述べる仙台商・下原俊介監督

 質疑応答では、東北・我妻 敏監督、東北学院榴ケ岡・佐々木監督、一迫商・熊谷 貞男監督、気仙沼西・金森 信之介監督が質問した。様々な講演を行っている二宮氏だが、県高野連に呼ばれて講演したのは初めて。金森監督の「今日の講演に関してどのような準備をしてきたのか」という質問には、「今日に関しては準備をしていません。楽しみにして来ました。野球部の監督さん、部長さんということで、私にとってはある意味、ホームグラウンド。いろんな話をしても分かってもらえるだろうと。今日は楽しい感じでした」と笑顔がこぼれた。
 懇親会では、監督同士の交流はもちろんのこと、二宮氏に積極的に質問しに行く監督も多数おり、充実の会となったようだ。

(文・高橋 昌江

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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