大塚 尚仁選手 (九州学院)

大塚 尚仁

球歴:九州学院

都道府県:熊本

ポジション:投手

投打:左 / 左

身長:174.0 cm

体重:70.0 kg

学年:卒業

寸評

 U-18世界選手権で最も株を上げたのが九州学院大塚 尚仁ではないだろうか。選抜までは最速で135キロ前後がやっとの投手だったが、ひと夏で5キロ前後スピードアップし、常時140キロ前後の速球で世界の強打者を封じてきた。左の中継ぎ候補として面白い一人で考えていた。指名したのは東北楽天。楽天は辛島航のように左の技巧派を戦力として育て上げているように、意外にも森 雄大より早く出てくるかもしれない。 (投球スタイル)   彼の持ち味は左スリークォーターから投じる対角線に切れこむ球筋だ。その球筋は打ち難く、左打者から遠ざかるように感じる。一年からその球筋で勝負していたとはいえ、威力不足で、打者からそれほど苦になる球質ではなかったが、一年経ってクロスファイヤーが売りに出来るレベルにまでなってきた。  彼の課題はストレートのスピード不足はU-18世界選手権で改善されていた。ストレートのスピードはコンスタントに140キロ前半を計測。高校生の左サイドハンドで、常時140キロ前半のストレートを両サイドの隅に投げ分けられる投手はいないだろう。  他の投手にはない異質の球質、軌道であった。U-18世界選手権の各打者の反応を見てほしい。多くの打者が「なんだあの球は!?」と腰を引いてボールを見送っていた姿には痛快さを覚えた。  完全に左打者特化の投手だろう。彼はインコースストレートを見せ球にして、踏み込ませないようにして、アウトローのストレートで見逃し三振。あるいはアウトコースを意識させ、インローにスクリューで落として三振を狙うこと。  彼の課題は右打者に弱いことだ。たまに彼はふっと浮いたところへ外角高めへ浮いたボールを投げてしまう。調子が良く、スタミナ、気力ともに充実している時は技術が安定しているので、高めへ浮かないのだが、疲れが溜まった時にその傾向が見られる。  彼のような左腕は如何にして制球力、横の角度を存分に活かした球筋を維持できるかがポイントになる。彼は対角線の軌道だけで飯が食えるような投手。その武器をさらに活かす武器を身に付けることがプロで活躍するカギとなるだろう。 (投球フォーム)  まず彼を見て良くなったのは腕の振りだ。腕の振りが物足りず、さらに体重移動も不十分で、技巧派投手として課題が多く、あまり受けるものはなかったのだが、この1年でしっかりと腕が振れる投手になり格段の成長を見せてくれた。  ノーワインドアップから始動する。右足を真っすぐで上げていき、左足は一本足で上げていく。足の上げのバランスは良く、軸足にしっかりと体重を乗せることができているであろう。  前足を一塁側へ落としていきながら、上手く前膝を送り込んでいきながら、重心を下げていき、インステップ気味に着地する。捻りが小さく、腰は横回転なので、横向きの変化球で勝負していく投手だろう。気になるのはインステップ気味ながら、踏み出し足のつま先が開いており、身体が開きやすい投手に見える。  右腕のグラブを斜めに伸ばしていきながら、開きを抑えていき、テークバックは内回りの回旋をしていきながら、テークバックは肘はそれほど畳まず、リリースに入る。本人が投げやすいように投げることができているので許容範囲だろう。  彼の球速が伸びたのは肘の角度を上げたこと。それまでは肘の位置が低く、腕の振りに無理があったこと。肘を支点として鋭く腕が振れるようになったことで、球速が速くなった。テークバックが小さいうえに、上半身と左腕が連動して、鋭く腕を振れることができるようになったこと。まずそこが一番だといえるだろう。
更新日時:2012.10.30

まとめ・今後のプロ生活では

 普通は135キロほどの左サイドハンドの成長曲線でいえば、大学経由が一般的。彼が夏の快投を続けている時に評価が高まっているのは眉唾ものだったのだが、実際に彼の投球を見ると、なるほど評価が急上昇するのも納得のボールであった。東北楽天之1位指名では森 雄大(東福岡)。スケールではもちろん森が断然上なのだが、一軍デビューは大塚の方が早いと思っている。というのも森は時間をかけていかないと大きな見返りが期待できない。大塚は森以上に打者にとって嫌な球筋なので、しっかりと体力を身に付けていけば、140キロ中盤まで届くだろうし、スクリュー系統の球筋を磨けば、右打者にも強くなっていくだろう。  森は左の先発、大塚は左の中継ぎ。楽天にとってはそこまで計算出来る左腕2人を指名出来たのは非常に大きかったのではないだろうか。高卒4、5年目ぐらいに二人とも1年間働ける土台を築いて、東北楽天の屋台骨を担う大きな戦力になることを期待したい。
更新日時:2012.10.30

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