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- 2011年夏の大会 第93回鹿児島大会
- 神村学園vs薩摩中央
神村学園の強さ
目の前で最大のライバルが敗れ去る。
「打倒・鹿実」を最大の合言葉に夏を迎えた神村学園にとっても、これはとてつもない衝撃だった。目先の目標が戦わずして消滅したことで、本来最大の目標であるはずの甲子園出場すら見失うことにもなりかねない。
この空気を察し、ナインに対して「鹿実の選手を見るな」ときつく言い聞かせながらダグアウトへ入っていったのは、他でもない神村学園・山本常夫監督だった。
「会場全体が異様な雰囲気に包まれた中で出て行くというのは、ちょっと嫌な感じがしましたね」
準決勝の鹿屋中央戦を制し、翌日の決勝に向けて気持ちの切り替えを図る選手たちだったが、どこか不思議な感覚のまま夜を迎えたのだという。1番打者・白澤隼人の証言だ。
「最大の敵と見ていた相手が敗退すれば、普通であれば安心するはずなのですが、逆に怖くなってきたんです。鹿実は強かった。でも、それに勝った薩摩中央は、ちょっと“ヤバいぞ”と」
そんな不安に駆られた白澤は、決戦前夜にたったひとりで夜のグラウンドに飛び出していった。「バットでも振っていなければ、やってられない」という心境である。白澤は練習場の外野部分を往復し、立ち止まってはバットを振り、バットを振っては再び歩き出すという行動を繰り返した。どれぐらいの時間、それを繰り返したかは分からない。ただ、気がついた時には、バットを持ったチームメイトがひとり、またひとりと闇のグラウンドに増えていた。
薩摩中央の先発マウンドに、鹿児島実を4-2でねじ伏せた大立役者・崎山 貴斗が上がる。打席には、眠れない夜を過ごした切り込み隊長・白澤が入る。
「当てにはいかない。とにかくいつもの仕事をするだけ。積極的に振り抜いて、今日も打線に勢いをもたらそう」
浮いたスライダーを振り抜くと、打球は凄まじい速さで右中間を真っ二つに割る。試合開始早々に白澤が放った余裕のスタンディングトリプルは、神村学園全体を覆っていた目に見えない呪縛を一瞬のうちに解いてみせた。
「これでいつもどおりの野球ができる」
ここで白澤は3番・坂口 湧希の投ゴロに飛び出し本塁生還はならなかったものの、白澤の一撃によって目覚めた打線が初回に2点を先制。4回にはその白澤、坂口の三塁打など7長短打を集め5点を追加。たちまち甲子園行きを決めてしまったのだった。
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| 神村学園 | 2 | 0 | 0 | 5 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 9 | ||||||
| 薩摩中央 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
神村学園:久保-久永
薩摩中央:崎山-富満
三塁打:白澤2、坂口(神)
二塁打:児玉、岩元(神)




















