Interview

読売巨人軍 村田修一選手 「結果を残すために良いルーティンを見つけることが大事」

2013.07.17

 球界を代表する長距離打者・村田修一選手。07年に初の本塁打王を獲得。08年には46本塁打を放ち、2年連続本塁打王に輝きました。2012年に巨人に移籍し、3年ぶりの日本一に貢献。今回は、そんな村田選手の打撃理論や、走ることの重要性、野球用具のこだわりについて伺ってみました。

村田修一選手が伝授する長打を打てるポイント

――まず、構えについて教えていただきたいのですが、村田選手が構えで大事にしていることはどんなことでしょうか。

村田修一選手(以下「村田」) 構える時は、あまり頭を動かさないことです。常に、姿勢をまっすぐ正して構えることを心がけています。自分の中の基準としては、球場にはライトポールがありますよね。そのポールに対して、真っ直ぐ立つようにしていますね。

――タイミングの取り方はどのように考えていますか?

村田 タイミングの取り方は、ネクストバットサークルで、投手を観察して、いつ足を上げればいいかを考えています。クイックで投げる投手にしろ、ノーワインドアップにしろ、投手それぞれ投げるタイミングが違いますので、打席に立ってから合わせられるように、打席に入る前に合わせるように心がけています。

――高校生の場合は初対戦が多いですが、どのようにしてタイミングの取り方を工夫していけばいいでしょうか?
ね。

村田 初対戦といっても、投手はブルペンで投球練習をすると思いますし、観察すれば、タイミングを合わせる練習はできると思いますよ。

――村田選手の“ミートポイント”とは?

村田 僕は、手が伸びきる前に当たればいいかなと考えていますね。手がちょっと伸びる前に当たると、押し込みができるので、少し肘が曲がる状態で当てるように心がけていますね。

――では、自分のスタイルを確立するためのオススメの練習法はありますか?

村田 長距離打者を目指すならば、ボールにスピンをかけて打つことは大事ですよね。そのため、ティー打撃の時に工夫してもらいたいことなのですが、普通ボールを捉える時は正面でボールを捉えていますよね。でも、長距離打者の場合、ボールの下を捉えるように練習していますね。僕の場合、ティー打撃をやるときは横からではなく、上に上げてもらって、ボールの下を捉える練習を行っています。

――村田選手の中で、今のバッティングが確立した時期というのはいつでしょうか?

村田 本塁打王を獲得した2008年頃ですね。個人的にはすごく良い時期でした。ちょうどその時期は、北京五輪と第2回WBCがあって、そこで、あまりいい成績を残せなかったんです。WBCでは、主軸として使ってもえるようにと、その意識で、練習を続けていたからこそ、バッティングの感覚も掴めたものだと思っています。

――村田選手がホームランを打つ上で大事にしているものとは何でしょうか?

村田 どんな状況でも強くバットを振れる構え。そして、気持ち、心の準備も大事にしています。

――強くバットを振るために、良いトレーニングや練習法はありますか?

村田 ロングティーは有効な練習法ですよ。僕は、高校の時から、プロ入りしてからもずっと継続してやっています。
打席に立てば、投手が投げるボールによる反発力で飛ばすことはできますが、遅いボールを飛ばすには、しっかりと打たないとなかなか飛ばないので、遠くへ飛ばす力を養うには有効的な練習です。

――そんな村田選手が、プロ入りしてから最も記憶に残っている1本はありまか?

村田 初ホームランも嬉しかったですけど、2007年に、佐々岡真司(元・広島東洋カープ)さんから打ったホームラン。(ホームランを打って)涙が出たのはあの1本だけですね。
佐々岡さんの引退試合だったんです。そこで、ホームランを打ってしまって、申し訳ない気持ちはありましたけど、あのホームランで一つ乗り越えられたものがあったと思います。

[page_break:走ることの重要性を語る]

走ることの重要性を語る

――長距離打者の印象も強い村田選手ですが、今年5月12日の横浜戦では見事に盗塁を決めましたね。

村田 僕は、盗塁を多くする選手ではないですけど、僕のことを警戒せず、クイックをしない投手もいるので、タイミングが合えば、いつでも走れるようにしています。

――盗塁以外でも練習などで、“走る”ことで、バッティングにおいても、プラスになる面はあったりするのでしょうか?

村田 体のバランスを整えるには、走るのが一番だと考えています。野球は片方で、投げて、片方で打つ。つまり体が偏るので、体のバランスは崩しやすいんです。走るには全身を使いますし、動作が偏ることがありません。だから、偏っている体のバランスを整えるには一番だと思います。
また、走ることで体のキレが出てきます。バッティングも、両足でタイミングを取りながら、腰で打つ動作が中心なので、キレがないと腰が回ってこないので、バットの出も調子が悪くなります。高校野球でも、よく『走れ』といわれますが、その通りだと思いますし、僕も当時からしっかりと走っていました。

――横浜でプレーされていた時代に、『全力疾走の重要性』をチームメイトにも伝えて、浸透させたという村田選手。なぜ、そのような提案を自らされたのですか?

村田 当時、チーム成績があまり良くなく、どうにかしなければならないと思っていました。それで、チームを引っ張る人間として、まずは出来ることをやらなくてはいけない。自分もやって、みんなでも徹底してやろうという話しをしました。その日から、どんな打球でも、全力で走ることを徹底しました。

――走力の重要性を感じている村田選手が選ぶスパイクは、どんなスパイクですか?

村田 僕は、毎年、ミズノプロのスパイクを選んで使っています。スパイクは軽さを重視していますね。軽いスパイクは、足の負担も軽減しますし、故障のリスク、疲労もたまりにくいですので、できるだけ軽いスパイクを履いています。

――用具関連で、グラブへのこだわりはありますか?

村田 グラブもミズノをずっと使っていますが、形は決まっていますね。サードは打球が強いので、ポケットに挟まってしまうことが多かったんです。それで、ネットを入れて挟まらないようにしました。今のグラブはとても、使いやすいですよ。

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[page_break:高校球児へメッセージ]

高校球児へメッセージ

――村田選手は、高校最後の夏は、県大会優勝を果たして、甲子園に出場しました。今、振り返って、勝てるチームに共通していることは何でしょうか?

村田 『運』も、結構大事な要素だと思うんです。甲子園に出るチームは、ここぞという時に、運が転がり込んでくるので、それを取り逃さないようにしていますし、その運を逃さないように、前もって準備していることが大事ではないでしょうか。

――そのために、高校球児への皆さんへのアドバイスはありますか?

村田 しっかり練習するしかないです。いつ訪れるか分からない運を逃さないようにするためには、気持ちを張って練習する。怪我をしたら、勝った負けたも言えないので。実際に甲子園に出るチームは、運で勝ったと思うような試合が2、3試合はあると思います。だからこそ、日々逃さないように、新チームになった球児の皆さんも含め、日々の練習を大事にしてほしいと思います。

――では、最後に村田選手が活躍するために、最も大事にしていることを教えてください。

村田 結果を残すために良いルーティンを見つけることが大事です。そのために、僕は日頃の練習の中で、見つけています。例えば、毎日打席に立つ時のルーティン、練習の中でも必ずやるルーティン、試合の前に臨むとルーティンと、練習をやりながら、結果を出せるルーティンを見つけることも大事だと考えています。

村田選手、貴重なアドバイスをありがとうございました!
日頃の練習こそが、最後の夏の大会につながっていくということですね。
7月、まだ勝ち上がっているチーム、新チームになったチームも、村田選手のアドバイスを参考にぜひ取り組んでみてください。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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