Interview

千葉ロッテマリーンズ 福浦 和也 選手

2013.05.05

第149回 千葉ロッテマリーンズ 福浦 和也 選手2013年05月09日

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 今年、千葉ロッテに入団して20年目を迎える福浦和也選手。高校は、千葉県の市立習志野高校で活躍。94年に千葉ロッテに入団し、その後、ゴールデングラブ賞(内野手)を三度受賞。2010年には指名打者部門でベストナインも獲得している。今年2000本安打達成を目指す福浦選手に、今回はバッティングにフォーカスして、お話しを伺いました。

毎打席フォームを変えて、バッティングを進化させる

――プロ野球界で長く活躍されている福浦選手ですが、福浦選手が考える打撃理論についてお伺いしたいと思います。まずは、バッティングにおいて最も難しいと感じるものは何ですか?

福浦和也選手(以下「福浦」) タイミングの取り方というのは、一番難しいところだと思っています。僕の場合は、投手の足が降りる時に、自分の足も上げて合わせていきます。ただ、今の投手は、投球間隔が短い投手が多い。時間が短いと、非常にタイミングが取りづらいので、クイックの対処法も考えていきたいと思います。

千葉ロッテマリーンズ 福浦和也 選手

――タイミングの取り方で工夫されていることはありますか?

福浦 まずは、相手投手を見ることです。投手が投げているところを観察しながらタイミングを合わせたり、プロ野球においては映像がありますから、そこでタイミングをあわせたりして、自分のタイミングの取り方を見つけています。

――では、福浦選手が『構え』においてポイントにしているところは何でしょうか?

福浦 僕の場合、左膝を内に入れたりします。左膝が前に出ないようにするためですね。また、足に力が入りやすいようにして、なるべく構えた時に肩が入らないようにしたり。
 トップの位置については自然に決まっている感じですね。振り遅れないところにトップが入れば、大丈夫だと思っています。ただ、トップを意識しすぎると上半身に力が入りすぎるので、なるべく意識をしないで、下を上手く使うことを意識していますね。

――打撃フォームにおいては、プロ入りしてからどのように変化しているのでしょうか?

福浦 “毎年”というサイクルではなく、毎打席で変えています。というのも、投手によって変わっていきますね。逆に、一年間同じフォームで打席に立てている人は素直にすごいなと思っています。

――毎打席で、フォームを変えるということは、一打席一打席、振り返られているからこそ出来ることですよね。

福浦 そうですね。ボールの軌道や、フォームの開きが速くなったか?など、ひとつひとつの変化を振り返るようにしています。次は、ここをこうしてみようかなと 自分で見つけて、次の打席はこうしようと毎打席考えていきます。あとは、実際のバッティング映像もあるので、それを見て振り返っていきますね。

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[page_break:ボールの内側の打つ意識を持とう!]

ボールの内側の打つ意識を持とう!

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――福浦選手は、引きつけて打つのが上手いイメージがありますが、どんな練習をすればそれができるようになるのでしょうか?

福浦 ティー打撃もそうですけど、ボールの内側を打つことですね。最後までボールをよく見て、ボールの内側を打ったり、あとはボールの下を打つなど。やっぱりボールを見て、しっかりと形をつくって、打つ練習は今でも大事にしています。

――では、カウントが追い込まれてからも、打てるようにするにはどうすればいいですか?

福浦 追い込まれたあとは、僕の場合は逆にボールをカットすることを意識することもあります。ファールが多くなると投手の球数が増えるので、次第に甘い球も増えていきます。打者はその球を捉えられるか、捉えられないかだと思います。
 それが出来るようになるには、やっぱりボールをしっかり見て打つこと。ホームラン打者は強く振ってもいいと思いますが、僕の場合、あまり大振りをしないようにしていますね。

「結果を振り返り、すぐに修正をします」

――なるほどですね。福浦選手は毎シーズン、安定した結果を残されていますが、結果を出すために大事にしていることはでしょうか?

福浦 先ほどの話にもありましたが、やはり『振り返る』ことが大事だと思っています。不調になった時や凡打をした時に、自分自身のチェックポイントを振り返るようにしています。
 凡打でも、自分が納得したスイングなら大丈夫ですが、スイングをしていて、おかしいなと思ったときは、試合が終わった時にすぐに修正を始めますし、ビデオで見直して、コーチの方に教えてもらうこともあります。実際に映像を見ることで自分の技術的な狂いが発見できることも多いですね。
 そうやって、改善点を見つけることで、次はこうしようとイメージできるんです。それができるだけでも、結果を残す上ではだいぶ違ってきますね。

――福浦選手が、これまでのプロ野球人生の中で、スタンドが盛り上がって印象に残っているシーンを教えてください。

福浦 自分の打席において、しびれたというのは2001年の首位打者を獲得した時ですね。小笠原道大さん(日ハム)と競っていて、もう細かい数字の争いだったんですよね。試合の結果によって、首位打者の状況もどんどん変わってきていて、やっと首位になった時は、ホッとした気分になりました。
 チームとしては、僕は、2005年のプレーオフで里崎が逆転打を打った時に、逆転のランナーが僕で、ホームへ還ったときの球場の盛り上がりは今でも覚えています。とても興奮したシーンでしたね。

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[page_break:勝負強さは全ては準備からやってくる]

勝負強さは全ては準備からやってくる

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――では、続いて福浦選手のマインド面についてお伺いしていきたいと思います。まずは、福浦選手が自らの強みだと感じているものは何でしょうか?

福浦 やはり精神力でしょうね。この世界では、気持ちが折れたら終わりですからね。技術的なことを話すと、守備においてボールを予測することです。こういうところへ打球が飛ぶだろう、だからこういうプレーをしなければならない。それは準備と経験によってできると思います。
 昔の自分は、守備が上手くなくて、飛んで来ないでほしいなと思うこともありました(笑)でも、そう思うと飛んでくるものなんですよね。だから準備をしっかりしないといけないと思います。

――では、その勝負強さはどこから来ると思いますか?

福浦 これは、もう『準備』ですね。代打で出ることもありますが、代打で出ても、打席に立つまでの準備をしっかりすること。あとは、当たり前のことのようですが、日々の練習をしっかりとこなすことですね。
 一球で仕留められる集中力をつけるには、準備をしているか、していないかなんです。代打は一打席勝負ですから、ファーストストライクから振れる準備を僕はいつもしています。準備方法としては投手を見たり、後ろでトレーニングをしたり。千葉マリン球場ではティー打撃をやるのですが、他の球場では素振りしかできないので、多めに振ったりしていますよ。

――試合以外の準備においては、日頃の生活の中で大切にしていることはありますか?

福浦 良い結果を残すためにはコンディションも大事ですが、やっぱりたくさん食べて、寝ることですね。興奮して寝られない日もありますけど、なるべく寝るようにしていますね。

――では、今年でプロ入り20年目を迎える福浦選手ですが、そこまで長く活躍できる秘訣は何だと思われますか?

福浦 そうですね、若いうちはある程度しっかりと練習をして、練習方法はいろいろなものがあると思うんですけど、とにかく考える力をつけることです。
 僕は、自分はこういう打者になりたい、そうなるためにはどうすればいいかというのをずっと考えてきました。
 実際の練習では、自分がやりたいように練習をしてみることも大事です。それが上手くいかないときは、考え方を変えてみるのも一つの方法だと思っています。

――ありがとうございます。では、今シーズンはどんな活躍をみせていきたいと思われますか?

福浦 去年は前半まで1位でしたが、最終的に5位に終わったので、優勝できるように、大事な場面で、ヒットを多く打って、チームの勝利に貢献していきたいと思います。

高校球児にメッセージ

――では、最後に高校球児たちにメッセージをお願いします。

福浦 高校3年間は長く感じる選手もいれば、短く感じる選手もいると思います。とにかく、悔いのようにがむしゃらに高校野球を楽しんでほしいと思っています。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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