Interview

北海道日本ハムファイターズ 陽岱鋼 選手

2013.04.11

第146回 北海道日本ハムファイターズ 陽岱鋼 選手 2013年4月18日

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 2月に行われた第3回WBCでは、台湾代表として活躍をみせた陽岱鋼選手。高校時代は、福岡第一でプレー。甲子園には届かなかったが、高校通算39本塁打の長打を武器に、卒業後は、北海道日本ハムファイターズへ入団。攻守ともに安定したプレーをみせ、2012年はゴールデングラブ賞も獲得。今回は、そんな陽選手にお話しを伺いました。

日本の野球への興味を持った少年時代

――陽選手は、高校時代は福岡第一高校でプレーしましたが、なぜ日本で高校野球をやろうと思われたのでしょうか?

陽岱鋼選手(以下「陽」) 兄(陽耀勲選手)が先に日本で野球をしていて、いつも実家に帰ってくる時に日本の野球の良さを語っていました。それで、日本の野球の憧れが増してきたんです。
 甲子園の存在は小学生の頃から知っていました。小学校の時に家族で一緒に集まった時に、父がテレビで甲子園を見せてくれたんです。印象に残っているのは、甲子園球場で打者が打った時に快音が球場全体に響いていたこと。あれだけ人が集まるのをみて、自分もあの場所に行きたいなと思いました。

北海道日本ハムファイターズ 陽岱鋼選手

――先日も、第3回WBCで活躍を残した陽選手ですが、改めて日本の野球の強みとは、どんなことだと思いますか?

 細かいところだと思います。日本の野球は、考えながらやらないと勝てないですし、そういった細かさは僕は好きですね。

――高校時代もその細かなプレーも学びつつ、長打を武器に、チームに貢献してきましたね。高校通算39本塁打。陽選手が考えるボールを遠くに飛ばすための体の使い方とは?

 芯に当てる技術もそうですし、低めの球を捌く(さばく)ためには、下半身の柔軟性が重要だと考えています。逆にいうと、柔軟性があると対応できるということです。
 自分は股関節が硬くて、前屈も出来なかったんですが、もっと柔らかくなれば、もっと打てると思って、股関節を柔らかくするために基本的なストレッチを続けました。
 時間がなくても、毎日5分でもいいので、ストレッチをやって、1ヶ月、3ヶ月と続けると変化が出てくるので、ぜひ硬い選手は取り組んでほしいですね。

――実際に高校時代に取り組んでいた打撃練習、またプロ入り後も行っている打撃練習を教えてください。

 高校の時は、打撃練習が終わって、自主練習でロングティーをやっていましたね。ロングティーは体全体を使わないと打球を遠くへ飛ばせないですし、この練習法はプロ入りしてからも継続して行なっています。
 とくに、ロングティーは下半身をしっかりと使っているのが分かるんですよね。下半身をしっかりと使えていると、打球を遠くへ飛ばすことができますし、上半身にしか力が入っていないと打球が遠くへ飛ばないんです。

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スイングスピードが出やすいフォームを素振りで探す

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――陽選手がバッティングで大切にしていることは、どんなことですか?

 僕はタイミングの取り方を重視しています。例え、独特なフォームでもタイミングが合えば打てるものだと考えています。
 僕の場合は、投手が投げる前から、体を動かしながら待っていて、そこから足を上げて、タイミングを計ります。
タイミングの取り方は、プロに入ってからの8年間、変化し続けてきていますし、打撃フォームも、先輩からいろいろとアドバイスを頂いて日々変えていきます。ただ、あまり難しく考えすぎず、シンプルにやることを一番大切にしていますね。

――自分に合ったフォームを見つけるために大事なこととは?

 バットスイングが速くできる打撃フォームこそが、自分に合うフォームかなと思います。とにかく振りやすく、スイングスピードが出やすいフォームにすることが一番。速いと思う形をまず取り入れて、そこから、どういうタイミングの取り方をすればいいのか考えていきます。自分にあったフォームというのは、毎日スイングをしていかないと見つからないです。

――毎日のスイングが大事なんですね。

 そうですね。スイングは、毎日やることが大事で、人から言われて嫌々やるのではなく、自発的に取り組んで、自分に合ったスイングが見つかるまで、スイングをしていくことが大事ですね。ただ素振りするだけでは意味が無いので、僕の場合は、投手を想定して振っていますよ。

チーム外野陣でゴールデングラブ賞を目標に!

「練習の時は難しいことを考えず自然体で」

――続いて守備についてもお伺いしたいと思います。陽選手は昨年ゴールデングラブ賞を受賞されましたね。

 僕は守備に対して、自信があったので、去年は絶対とってやろうと思いました。球団の方から『おめでとう』と言われて、とても嬉しかったですね。一昨年から獲りたいという気持ちがありまして、レフトの中田、ライトの糸井さんの3人で獲ろうと目標を立ててやってきたんです。3人でゴールデングラブを目指すのは、球界一の外野陣を目指すことでもありますから、今年も日本ハムの外野陣は継続していきたいですね。

――守備において大事にしていることは、どんなことですか?

 まずは気持ちの持ち方なんですが、自分の考えでは、練習の時はあんまり難しいことを考えないでやるほうがいいですね。練習の時は、自分が下手くそと思ってやったほうがいい。でも、試合に入ったらオレは上手いとやったら良いパフォーマンスにつながると思っています。
 練習内容については、プロ入ってからの内野練習は苦しかったですね。下半身を使う練習が多いので、きつかったですね。外野手は、前後の打球をしっかりと判断出来ればいいと思います。と、口で言うのは簡単ですけど、前後の判断をしっかりして捕るのは難しいですね。自分は、捕手のサインを見て、この打者はこのコースへ投げるとここへ飛びやすいなど、そういったことを想定しながらやっていくと、判断のスピードも高まっていくかなと思います。

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高校球児の皆さんへメッセージ

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――陽選手が最近の試合で印象に残っているゲームは?

 最近では昨年に中田、稲葉さんとの三者連続ホームラン(7月12日の千葉ロッテ戦)ですね。あの時は自分でも分かるぐらいハイテンションになりましたね。

「今年は打撃で上のレベルを目指します」

――そんな陽選手が、レギュラーを獲得するために工夫したことはありますか?

 スタメンで出場していないときは、とにかくコーチにアピールしたかったので、何か一つの行動から目立つようにしました。例えば、チームメイトが打った時は「ナイスバッティング!」、抑えた時は「ナイスピッチング」と声をかけてやっていきました。
 最初は恥ずかしかったんですけど、これが僕の仕事だと思ってやりました。あとはいつでも試合に出場できるように準備はしていましたね。やっぱり、ファンの皆さんに自分のプレーを魅せたいですし、アピールする姿勢はとても大事だと思います。

――では、今シーズンについてお話しを伺いたいと思います。春季キャンプでは、どんなことをテーマにして取り組んできましたか?

 もっと上のレベルを目指すために打撃を重点的にやってきました。他には、チームのために走塁、盗塁を増やしたいと考えて、取り組んできました。

――ありがとうございます。では、最後に高校球児の皆さんにメッセージをお願いします。

 僕の高校時代は、楽しかったこともありますし、苦しかったこともあります。でも、その中で、礼儀正しさを身に付けることも出来た。高校時代は、僕はとても真面目に取り組んでいました。だから、甲子園に行けませんでしたが、もっと練習していたら…という後悔はないです。
 また、監督さんの教えを聞きながら、真面目に野球に取り組んでよかったなと今振り返ってみても思いますね。それが今にも、生きていますし、感謝しています。
 だから、高校生の皆さんも、最高の気持ちで、最高の結果で、やり切るために、真面目に野球に取り組んでほしいと思います。

いつも前向きに、そして真摯に野球と向き合っている陽岱鋼選手。今シーズンも、さらに走攻守ともにパワーアップしていきたいと宣言してくださいました。今後の活躍に注目です。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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