Interview

阪神タイガース 鳥谷敬選手

2011.07.28

第74回 阪神タイガース 鳥谷敬選手2011年07月28日


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【目次】

仲間と心通わせた高校時代

最後の夏に憧れの甲子園を経験


長いシーズンを戦うために

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仲間と心通わせた高校時代

“良いことも悪いことも、本音を言い合えた”

――鳥谷選手は高校時代は、野手だけでなく投手も兼任していましたよね。

鳥谷選手(以下「鳥」) はい。投手の練習と野手の練習を両立させていました。とは言っても主戦の投手としてではなかったので、少し投げる練習が増えただけですが…。

――投手と野手の練習をこなすのは大変だったのでは?

「鳥」 投手の練習をするようになったのは2年生の春から3年生の夏の1年間ぐらいだったので、大変ではなかったです。元々、自分が2年生になってすぐに、3年生の投手が少なかったので自分が急きょ投手に抜てきされたんです。夏の県大会で何試合か登板したのですが、無理がたたって肩を壊してしまったんです。それほど重傷ではなかったのですが、しばらくまともに練習が出来ない時期もありました。それでも、治療をしながら冬場は走り込みに没頭して体を作って、春にはマウンドに立てるようになったんです。

――投手と野手、二足のわらじを履いて、3年生の夏、念願の甲子園出場を果たしたわけですが、どのような取り組みが生きたと思われますか?

「鳥」 技術的に何がどうだったとか、どのトレーニングが良かったとか、今振り返るとなかなか浮かんでこないんです。夏の県大会…特に3年生にとっては最後の大会。県大会が開幕する直前から学校の施設に全員が泊まり込んで試合に臨んだことが大きかったかもしれません。

――合宿の中で、何かが培われたとか?

「鳥」 うちの高校(埼玉・聖望学園高)は寮生活でなく、全員が自宅から通学していたんです。だから、どれだけ猛練習をしたり、ミーティングで話し合いをしても、終わればすぐ解散していたんです。それが、大会期間中は練習が終わっても、みんな一緒に寝食を共にして、同じ時間を過ごす。それがチームに一体感を生んだような気がします。

――どういう時に、一体感を感じましたか?

「鳥」 試合が終わって、その試合を振り返る時です。いつもなら試合後に球場外でミーティングをして解散していましたが、みんなで泊まり込みをしているので、学校に戻ってからみんなで“あの時はこうだったな”とか、長い時間話し合えたんです。良いことも悪いことも、本音を言い合えたことが良かったと思います。

――心を通わせて、試合を重ねるたびに、強くなっていけたのでしょうね。

「鳥」 夏の県大会は、負けたら終わりですからね。みんなで一緒にいると楽しくて、それが1日1日積み重なっていくうちに県の決勝まで勝ち進んで。技術はいきなり夏前にグッと伸びて変わるっているのはまれだと思うのですが、一体感って、何かきっかけがあれば突然生まれるものだと思うんです。

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【目次】

仲間と心通わせた高校時代

最後の夏に憧れの甲子園を経験


長いシーズンを戦うために

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最後の夏に憧れの甲子園を経験

“勝負の厳しさを教わったような気がします”

――また、この夏の時期前は一番厳しい練習をしていたのではないでしょうか?

「鳥」 そうですね。この時期は、実戦練習がほとんどでした。走り込みやトレーニングなどの体作りのメニューは、冬の間にみっちり積んできたので、この時期はボールを使った練習ばかりでしたね。どんな練習だったかは…具体的に言うと、通常よりもノックの本数などが多かったですね。ミスをせずに、どれだけ多くのノックを受けるとか…。

――何十個連続でアウトを取る、というような内容ですか?

「鳥」 そうですね。ただ、もしミスをしたら罰として、全員でホームベースからセンターまで走らないといけなかったんです。それは結構キツかったですね。特に、ミスはミスでも、同じミスを何度も繰り返したり、消極的なミスをするとよく怒られました。積極的に攻めた結果のミスなら仕方がないのですが、考えていれば防げたミスは試合でも一番あってはいけないこと。とにかくこの時期のノックはいつもより一層集中して受けていました。

――甲子園では残念ながら初戦の日田林工(大分)戦で3対5で敗れましたが、初めて甲子園に立った時の印象は覚えていますか?

「鳥」 それが、特別な印象は覚えていないんです。そもそも自分は高校に入った頃は、それほど甲子園に行こうっていう意識は高くなかったんです。学校も当時は甲子園に出たことがなくて、県大会ではベスト8とかベスト4ぐらいまで勝ち進むような学校なので、甲子園をそれほど身近な目標にしていなかったんです。でも、やっぱり高校野球をやっていくと、だんだん甲子園という舞台を意識しはじめて…。そんな中で叶った甲子園でした。ただ、引いたクジの日程が後半で、開幕後にずいぶん時間が経ってからやっと甲子園に立てたと思ったら、試合があっという間だった…という感じでした。

――以降、早大、阪神タイガースと常に第一線で活躍されていますが、高校時代の経験は、今振り返るとどのような2年半だったと思われますか?

「鳥」 小学校、中学校と楽しく野球をやってきたので、高校から勝負の厳しさを教わったような気がします。うちの高校の練習は、それほど特別な練習をしていたわけでもなく、淡々としていたけれど、試合になると上へ勝ち進む厳しさや負けたら終わりの夏の大会など、感じるものが違いました。でも、あの独特の厳しさを経験してきたからこそ、今に生きる部分は多いと思います。

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【目次】

仲間と心通わせた高校時代

最後の夏に憧れの甲子園を経験


長いシーズンを戦うために

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長いシーズンを戦うために

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――当時から主に遊撃手としてチームを引っ張って来られましたが、体のケアや試合での動きを注視するにあたり、身につけるもの、道具等にも気を配っているのではないでしょうか?

「鳥」 人工芝と天然芝の球場で試合をすると、試合後の疲労感に差があるんです。ホームの試合はそれほど感じないのですが、特にビジターの人工芝の球場は足腰にかかる負担が全然違います。そういう時に、SKINSのハーフタイツを履いていると、疲労がかなり軽減されます。今まで履いてきたものの中で履き心地は抜群ですし、特に守備で細やかな動きをする時もこれという違和感がないんです。

プロ野球は試合がほぼ毎日あるので、大事なのは試合後に体に疲労を残さないこと。でも、履き始めてからは、疲労感を感じたことはほとんどないですね。お陰で、試合後に“明日も頑張ろう”っていう気持ちにもなりますし、この心地良さが気持ちを整えられている気がします。

――長いシーズンを戦っていくうえで、重視していることはありますか?

「鳥」 野球選手って、シーズン1年間を戦い終えて初めて、個人がどうだった、チームがどうだったって考えられると思うんです。だから今は、その終わった時の自分の最高の姿をイメージしながら、後ろを見ずに進めば、そのイメージに近い姿になれると思います。人間なので、調子が良い時と悪い時はあります。それでも、どれだけ良い姿に近づけられるかが大事だと思います。

――最後に、これから夏の大会を戦う全国の球児にメッセージをお願いします。

「鳥」 自分は3年生の夏は甲子園に行かせてもらったのですが、県大会の決勝までの3試合をすべてサヨナラ勝ちしたんです。野球は9回の3アウトになるまで分からない。これは野球だけに言えることではないのですが、練習でも何においても最後まであきらめないこと。最後まで力を出し切れば良い結果は待っているので、最後の最後まで気を抜かずに全力で戦って欲しいですね。

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(文・インタビュー:沢井史)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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