Interview

遊学館高等学校 土倉将、山中将誉選手

2011.07.25

第73回 遊学館高等学校 土倉将、山中将誉選手2011年07月25日


 春季北信越大会で優勝を果たし、この夏も石川大会2連覇を狙う遊学館。エース土倉将と主砲の山中将誉を擁して、石川大会を順調に勝ち上がっている。

4番・山中将誉に聞く打撃論

“外の球が届かず打てないので、
後ろで引きつけて”

――長打力が自慢の山中選手ですが、普段のバッティング練習で工夫している点は?

山中選手(以下「山」) インパクトの瞬間に、前のヒザを止めることですね。前足のヒザは絶対に崩さず、動かさないようにしています。そうすると、ボールが見えた軌道と同じ軌道でバットが振れる。前のヒザがぶれると、目線もぶれて正確な上体で打てないので、そういう点を最近は常に意識しています。

――ボールを捉えるポイントの位置は?

「山」 ポイントを前だけにして打っていたら、外の球が届かず打てないので、後ろで引きつけて打っています。そういう練習をしていくことで、外の球を当てにいくんじゃなくて、しっかりと踏み込んで打てるので、体が向いている方向であればどこでも捉えることができます。

――外の球を打つことを苦手にしている選手も多いですが、すぐに習得できるものでしょうか?

「山」 やはり習得するまでには時間がかかりましたね。先ほどお話ししたポイントで練習を重ねていくのですが、僕は中学時代は、外の球を全く打てなかったけど、山本先生の指導のもと練習をやってたら、引きつけて打つことが出来るようになった。中学時代の頃のように、片手でボールを当てるだけじゃなくて、レフトオーバーとかレフトへのフェンスオーバーのバッティングに変わりました。

 それが出来るようになったのは、3年生の春の県大会前ですね。これが習得できてからは、どこのバッターにも負けないようなバッティングができるという自信につながりました。これは僕だけでなくて、チーム全員が徹底してやっていることです。

――ここ最近も調子が上々の山中選手ですが、何かきっかけとなるものはあったのでしょうか?

「山」 実は、春の大会では3割いっているか、いっていないかの打率でした。最近も6月までは全然打てなくて、結構不安でしたね。それでも、不安だったけど、不安になっている暇もなかった。山本先生からのバッティング指導もあって、先ほどの「右のヒザを止める」。これを意識してから、下半身から上半身につながるようなバッティングに変わって、きれいなスムーズなフォームで打てるようになって、調子を取り戻しました。

――冬の間もずっと取り組まれていた「骨盤の動き」も、ここで生かされたのでしょうか?

「山」 そうですね。バッティングでも骨盤を使うので、ここが硬かったらやっぱり動きもスムーズに出来ないと思うんです。あと変化球もあるじゃないですか。真っ直ぐを待っていて変化球とか、変化球を待っていて真っ直ぐとか。それに対応するために、低めのボールきた場合は骨盤を落とすとか、そういう動きにもつながっているので、冬場意識して取り組んだことはかなり大きな効果として出ていますね。

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スローガンがチームを強くした

“「1回も負けちゃいけない」”

――遊学館は春季北信越大会で優勝しましたが、今年に入ってからチームもまとまってきているようですね。

「山」 そうですね!一番は『不敗神話』というスローガンを掲げてからですね。これは、春の県大会前から掲げました。去年のスローガンもよかったけど、去年のチームを超えないと今年も甲子園にいくってことは出来ないと思うので、「1回も負けちゃいけない」という理由で、部員たちで考えて『不敗神話』を今年は掲げました。

――1回も負けちゃいけないということは、プレッシャーにはならなかったですか?

「山」 最初は負けられないってことで、すごいプレッシャーになりましたけど、それがだんだん効いてくるんですよね。チームが徐々に変わっていくんです。負けられないってプレッシャーより、むしろ負けないっていう自信につながっていく。そうすると、負けている時でも「負けられないんだ」っていう気持ちにつながって、あれを掲げているのと、掲げていないのでは全然違うんですよね、チームが。あのスローガンのおかげで、春は勝てたっていうのもありますね。

――それでは山中選手から、この夏へ懸ける思いを教えてください!

「山」 甲子園へ行くことは通過点だと思うので、甲子園に行って全国のピッチャーを打ってこそ遊学館の野球だと思っている。石川大会では、石川の釜田投手や星稜の西川投手と対戦するかと思いますが、全然点が取れなくて投手戦で勝つんじゃなくて、打線も点を取る勝ち方をしていきたいです。

――チャンスの場面に強くなるための考え方とは?

「山」 いいあたりをする時というのは、後々考えてみると、やっぱり何も考えてないんですよ。
何も考えてなくて来た球を打つ。多少は読んでるけど、ここはこう来たからあれを狙おうとかじゃなくて、ピッチャーのボールだけに集中して来た球だけを打つっていう意識でやってるときは打てる。そこにいろんな思いが入ってくると打てなくなるっていうのはありますね!
夏の大会では打順的にもチャンスがいっぱい回ってくると思うんで、そういうチャンスの場面で結果を残していきたいです!

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エース土倉将の意気込み

“自分の投球をすれば、絶対に負けない”

――北信越大会で優勝したあとは、土倉投手自身では、どんなことをテーマに持って取り組んでいたのでしょうか?

土倉選手(以下「土」) 要所で三振を取ることが、その時の自分に1番足りないことだったんですが、北信越大会終わってから1ヶ月間、肩を休めてその分球威も増していると思うので、そういう部分を利用して三振を狙っていきたいですね。

――夏の大会、自分のここを見て欲しいという投球はどんなところでしょう?

「土」 ストレートと変化球の低めへのコントロールと、決め球となるツーシームですね。とにかく低めに集めてバッターの心理を読みながら、要所での三振もそうですが、内野ゴロも多く打たせていきたいと思います。

――最後に夏の意気込みをお願いします!

「土」 自分の投球をすれば、絶対に負けないっていうことをこの春の大会を通じて分かったことなので、自分の投球を夏の大会の全ての試合で出来れば、自分たちは絶対に負けることはないと思います。

 この夏、すでに4強入りを決めている遊学館。投手も兼任する山中は、2試合に先発し、準々決勝の日本航空石川戦では本塁打を放つなどチームを牽引。土倉もまた準備は万端だ。
不敗神話――その物語はすでに始まっている。

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(文・インタビュー:編集部)

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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