第29回 信濃グランセローズ 今久留主成幸監督2009年02月18日


第29回独占インタビューは信濃グランセローズ・今久留主 監督です。PL学園・明大・プロ野球選手・フロント・スカウト・GM・監督と様々な角度から日本の野球を見られている方です。「今回は独立リーグの意義」「成功する選手の共通項」などを中心にお話を伺ってきました。少しでも皆さんの選択肢の一つに独立リーグが置かれることを願うと同時に、また目標設定をし、それをクリアする為の練習に取り組む方法など、みなさんのヒントになれば幸いです。


BCリーグ・独立リーグの意義

挨拶は心を開く作業。社会にでると人とコミュニケーションとらないといけないわけですから、心を開く挨拶は大事ですね。

スタッフ(以下「ス」) まずはBCリーグ3年目ということですが、だいぶ地元の理解が得られえてきたのではないでしょうか?

今久留主監督(以下「今」)  そうですね。1年目が、一番エネルギーが必要でした。例えば球場に関しては今まで既存の団体さんが既存のスケジュールで組んでたところに試合を入れさせてもらった。そういうところで僕らが何をしたいのか理解してもらわないと、所有者である行政、軟式野球連盟、高校野球連盟、少年野球連盟などいろんなかたがたのところで調整していかないといけなかったので、1年目は労力が必要だった。2年目以降はおおむねご理解いただいて、今年は比較的「頑張れよ」ということで。野球に関しては、優勝は逃してますけど、どういうことをやっていきたいかというのは少しずつ、ご理解いただいている道の途中です。

 私は、四国アイランドリーグを見たこともあるんですが、選手自身が町でPRしたりしていて、身近な球団という感じがしました。信濃グランセローズでもHPで拝見するといろんな地域イベントに参加している。そういうのは地道に?

 そうですね。僕横浜でスカウトやってた時に、最近、長野ではTDKが廃部になったり、日産が休部になったり、話題になりましたが、日本の企業スポーツが縮小していく傾向にあるのを感じていました。

今、グランセローズとか、四国とか頑張り続けることで、今まで企業スポーツが担っていた、高校生や中学生、小学生に、頑張れる場所の担い手として・・こういう部分が必要になってくると凄く感じています。一般の経営者の方もその辺を少しずつ理解してくれているのかなと思いますね。

 なるほど、今後独立リーグの担う役割というのは、地域に根ざして、企業スポーツの受け皿になるというのも重要な役割としてあるのですね。

 そういうところも担っていければ一番いいのかなと・・一般的に考えて高校野球の部員数は右肩上がりで、大学も地方大学の経営努力で部員数はあがってきています。だからそこまではいけるんですよね。

そこからというところで、200あった企業チームが3分の1になって、今はクラブチームが増えてるけど、今までひたむきにやってきたものを支えるだけの環境ってなかなかないですよね。河川敷でやったりだとか。僕らはたまたまいろいろな先輩に恵まれて野球をやってて、先輩たちが築いた土壌の中でやっている。これからの将来の人たちの環境はどんどん悪くなっていくような気がします。

 せっかく競技人口が高校、大学と増えてきているなか、もったいないですよね。

 僕は地域に根ざすことによって、地域の方々、行政の方々、発信してくれる地方メディア一体でしっかり何かをやっていくことが、地域スポーツの活性化につながるのではないか、そういう役割を果たしたいと思っています。

 ヨーロッパではけっこう地域スポーツが活性化してますよね。

 今までは自分の会社に対する帰属意識で、会社の為に都市対抗に出るというのがあった。このチームの選手の意識としては、地域の方々のためにやっていて、地域の方がたにご理解いただいている。選手達には、野球をやらしてもらえるのは、皆さんの支えがあるからだと言っています。そこを忘れると、僕らのリーグは成り立たないと思います。メインスポンサーが数社で何千万お金を出すよりも、みなさんでできる範囲のことでお願いしますという形で、寄付を募っています。こういう形が一番、時間はかかりますけど、理解していただいたときには強固なものになっていくのではないかなと思います。大きいメインスポンサーだけだったら、1社抜けちゃうと影響が大きいですから。総合地域スポーツクラブ・・地域のみなさまが第一という趣旨で。

 今回3名の選手がBCリーグからNPBに入ったというのは今後に地域の野球少年にも影響を与えるのでは?

 長野県内1,2年目、各市役所や球場関係者に協力を仰ぐときに話をしたのが、どうしても地方都市の子供たちは、野球選手ってブラウン管の向こう側の存在なんですよ。壁って本当は薄いんですけど、いつも見る側だと遠く感じてしまう。首都圏の子供たちというのは、球場に行けばあそこまで遠くに飛ばした人がホームランキングだっていうのは身近にあるわけですよね。目標設定をするうえでもやりやすい。でも、地方の子供たちって、いくら東京ドームで看板に当てても、その距離感がわからないですよね。2次元だからわからないですよ。あんなに遠くに飛ばさないとプロ野球選手にはなれないんだってどこかあきらめの気持ちを感じてしまう。

でも、それを実際に生で見ることによって、あそこまでは飛ばしたいだとかイメージできるし、あれだけ早く振らないといけないとか、あれだけ身体が大きくならないといけないだとか、身体は小さいけど、あんなふうに打ったらあんなに飛んでいくとかを自分のフィルターを通して、見ることは伸びていくうえで必要なことだと思います。

BCリーグというのは、年々選手のレベルも上がってきて、ここからNPBにいける選手が増えていくように努力します。そしてそこで触れ合った子供たちが一緒に野球教室をやったお兄ちゃんが東京ドームで試合に出ているだとか、あの時試合に行って見たお兄ちゃんが甲子園球場でホームランを打ったとかっていうことがあると、長いスパンで考えると、長野の野球の土壌を豊かにする役目を担えると思います。

また、いろいろなことを総体的にみて、長野の方々は非常に理解してくれているし、そういう視点で物事を見てくれるひとが非常に多かった。

球場の使用や改修に関しては非常に協力的に。1試合しかやらない球場があるんですね、長野県内で。1試合やるためには、興行だからお客さんの安全を確保しなければならないし、選手のために土も入れ替えなくてはいけないし、結構お金もかかるんですよ。最初行くと、地方の財政的にそれはできない、1試合のためにそんなにできねーよってなっちゃうじゃないですか。でもそこで、BCリーグの1試合なんだけど、残りの364日はこの地域の人たちが使うんだから、僕たちが最初は悪者になると思うんですけど、必ず子供たちや草野球をやってるおじさんたちもグランドよくなったじゃないかって。それで人が出入りするとグランドって元気になるんですよね。そうしたら、あそこでやろうぜってなり、地域がスポーツに関わる時間ってかなり増えると思うんですよね。

 活性化につながりますよね。

 なので、「これは無駄な投資ではないと思いますよ。」と話をすると、みなさん趣旨はわかりましたと協力をしてくれる。長野県内の方々は非常に先見力があるように感じましたね。実際に3年目となり、少年野球の関係者が、グランセローズが試合やるようになってから、「グランドよくなったよ、ありがとな。」と言ってもらえたりする機会も結構あります。「子供達があそこでやるのを楽しみにしてるよ。」とかね。

 やはり、プロが使っている球場でやるっていうのが子供たちにとっては一種のステータスですもんね。

 そこは僕たちが、新日鉄堺の全盛期のころ、新日鉄のグランドで練習できた。そこのゴミ箱に捨ててある割れた木のバットを持って帰ってというのが日常にあると原体験になるんですよね。そういう意味で今後やり続けていく必要があると思います。

 話はそれますが、ベイスターズもシーレックスという形で神奈川県に根ざして活動していますけど、そういうのもにも影響を受けたということは?

 当時の社長は先見力というか、野球の歴史・プロ野球界の流れというのを凄く勉強してこられた方でした。こういう歴史があり、こういう日本人の考え方があって、おそらくこういうふうになっていくんだろうなっていうのを次々とやってきた方です。ただのアイデアだけではなく、今までの歴史の上にどう成り立っていくのだろうかというのをすごく考えてらして、僕も勉強になりましたし、ためになってますよ。

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