リアルすぎる『ドラフトキング』作者・クロマツテツロウ先生との特別対談！独立のドラフト事情を語る

　近年は多くのファンからも注目されるようになったドラフト会議。これまでに数々のドラマを生んできた野球界にとっての大きなイベントだが、このドラフトを題材に現在集英社のグランドジャンプで連載をしているのが、クロマツテツロウ先生の『ドラフトキング』である。

　現在単行本は8巻まで販売している人気漫画で、主人剛・郷原眼力（オーラ）をはじめ個性豊かなキャラクターがドラフト、スカウトをテーマにした物語が展開される。

　今回は、非常にリアリティーがあることでも有名な『ドラフトキング』の作者・クロマツ先生と、独立リーグ四国アイランドリーグプラスに所属する徳島インディゴソックスの球団社長・南啓介氏が対談。ドラフトをテーマに様々なお話をしてもらった。

クロマツ先生

ーー最近はドラフトが注目されていますが、クロマツテツロウ先生はなぜドラフトをテーマにした作品を始めたのでしょうか。
クロマツ先生：はじめは違う作品の野球漫画をやっていたんですが、そちらを編集さんに読んでもらっていて、野球をテーマにした新しい作品を作るときに、前々からやりたいと思っていたスカウトを題材にしたものを提案して、作品になりました。
　スカウトだと高校野球はもちろん、大学や社会人などいろんなカテゴリーに携わることが出来ますしね。

ーーたしかに！スカウトを中心にいろんな選手たちを題材にできますね。では、そんなドラフトやスカウトに携わっている球団スタッフに、お伺いたいことが沢山あるんじゃないですか
クロマツ先生：そうですね…独立でも外国人とか無名な選手、高校中退した選手が独立に行きますよね。あれってどうやって獲得するんですか？

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：基本的にはトライアウトに参加してもらって、そこでアピールした選手に声をかけるか、もしくは前々から声をかけて入団してもらう2パターンですかね。

クロマツ先生：なるほど。じゃあ声掛けするために全国各地に行って選手を見ているんですか？

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：私たちのチームは前々から全国を対象に選手を見に行くことをしていましたが、リーグ全体を見渡すと、ここ2、3年で全球団同じく全国を見るようになったと思います。

クロマツ先生：今って手軽に計測してすぐにデータが取れるじゃないですか。全てをデータで判断するというのは僕はあまり好きじゃないんですけど、それがあるとスカウトって要らないのかなって思うんですけど、実際のところはどうなんですか？

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：たしか計測出来れば一番だと思いますよ。けど私たちのチームもそうですが、高校から独立と各カテゴリーでそこまで計測できるチームはあまり多くなので、私は主観を大事にしています。

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徳島インディゴソックス球団社長・南啓介

クロマツ先生：見ている分には面白いんですけど、結局は試合でどれだけパフォーマンスを発揮できるからですもんね！ちなみにどっちが見やすいとかあるんですか？

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：私自身が野手だったので、どうしても野手に目が行ってしまいますね。ただ今の野手って、170センチくらいで良い選手っていうのはたくさんいるんですけど、プロを目指すなら絶対的な体の大きさとかスピードは欲しくなりますね。

クロマツ先生：豆タンク系といいますか・・・

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：足が速くて肩も良い。それでバッティングもそこそこ打てる選手が沢山いるんですけど、それくらいの選手はたくさんいるので、だったら180センチを超えるような大型選手の方に目が行ってしまいますね。やっぱり身長は絶対的なところで、努力だけではどうしようもならないところですから。

クロマツ先生：プロでも動ける大型選手が増えていますもんね。実際に僕も漫画を描いていると、身体の大きいキャラクターが増えてきて、「いかん！」と思っているところなんです(笑)

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：けど、投手の方は逆に小さくても注目される投手は増えてきていますよね！

クロマツ先生：実際に山岡泰輔投手（瀬戸内出身）のトレーニングの様子とか取材で映像を見たことがあるんですけど、身体能力が凄すぎて。172センチくらいですけどバネ星人なんかなって思うくらい柔らかいですし、実際に投球フォームを見ても物凄い湾曲していますし。これも一種のフィジカルですよね。

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：中日の山本拓実投手（市立西宮出身）なんかも167センチと小さいけど、プロの世界で生き残れるようになってきましたからね。

クロマツ先生：そういうところは野球界にとっては明るし、面白いですよね。バッターもそうなってくるともっと面白くなりますけどね。

最後は2人のポーズ写真

ーー先生のお話を聞いたり、作品を読んでいると、かなり現場に行かれていることを実感するのですが、その辺りはどうでしょうか。
クロマツ先生：マンガ的にリアルは大切にしている部分ですが、何より現場に行くと球場の雰囲気を味わえたり、スカウトの人にお話とかを聞く機会があれば同じ空気を吸えるので、凄くいい刺激をもらえます。作品の構想はどんどん膨らんでいってくれることが多いので取材は大切にしています。

ーー現場に行って様々なエピソードを聞いてきたかと思うんですが、一番新鮮だった内容などあったら教えてください。
クロマツ先生：今回の独立の話はまさに新鮮です！社会人野球の世界だと、NPBを目指している選手ももちろんいますが、一企業チームとして大会に勝つことの方が大きかったりするので、あまり選手がスカウトを意識した具体的なお話は聞けないですが、独立リーグの場合はNPBに行くか、引退しかないので、もっとガツガツした他にはない雰囲気がありそうで面白いですね。

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：だから野球を続けたいと思う選手には合わないかもしれないです。実際に私たちのチームだと9割くらいはプロに行きたいと思って毎日過ごしているので。

クロマツ先生：けどそういった雰囲気ならば楽しいんじゃないですか？

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：確かにプロに行ってくれたら嬉しいんですけど、ケガとかコントロールできない部分も多いので、無事にシーズンが終わるまでは心配です。

クロマツ先生：ちょっと実際に見に行ってみたいな…

徳島インディゴソックス球団社長・南啓介：是非来てください！その時に活躍した選手に、お肉とかプロテインをあげたらすごく喜ぶと思いますので(笑)

クロマツ先生：わかりました。準備しておきます！

ーーでは最後にメッセージをもらってもよろしいでしょうか。
クロマツ先生：これからもどんどんマニアックなアマチュア野球シーンを書いていきたいと思います！ファンの方があまりにドラフトについて詳しいので、負けないように頑張ります(笑)

（記事＝田中 裕毅）

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