Interview

センバツで見たかった世代屈指の剛腕・高橋宏斗(中京大中京)。なぜ圧倒的な投球をテーマにしているのか?

2020.03.11

 

 今世代を代表する剛腕・高橋宏斗中京大中京)。最速148キロを誇る速球と鋭いカットボールを武器に、昨秋の公式戦12試合に先発し、8完投、6完封。防御率1.68と圧巻の成績を残した。センバツ注目右腕として取り上げられていたが、残念ながら中止が決まった。

 高橋はこのセンバツまでどんな思いで臨んでいたのか。

神宮大会後も慢心せずにレベルアップ

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高橋宏斗(中京大中京)

 暖冬とはいえ、まだ気温が低い1月下旬。しかし高橋の投球はそれも忘れさせるようなピッチングだった。キャッチボールから147キロ左腕・松島元希相手に速球を投げ込み。そしてブルペンに入ると、剛速球とキレのある変化球を次々と投げ込む。

 まさに本人がテーマにしている「圧倒的な投球」が垣間見える投球だった。その投球は高橋の高い自己分析、そして行動に移せる姿勢にある。

 2019年秋、明治神宮大会優勝。巧打者揃いの明徳義塾打線を完封するなど、自信を深めるものとなったが、打たれる場面もあり、もう一度、自分のピッチングを見つめ直した。

「神宮大会が終わってから一から見直すところがありましたので、神宮大会を見つけた課題を1つ1つクリアしている状況です。投げ終わりのバランスを修正していますが、投球の幅を広げたいと思っていて、ストレートの質を高めたいと思っています」

 さらに年末では台湾遠征を経験。日本ではなかなかいない振りの強い打者と対戦をしながら、ピッチングを確かめてきた。日本に帰っても精力的にトレーニングを続け、1月から気温が高い日はブルペンに入り、最速150キロを計測。オフともいえる1月の段階で、これほどのボールは投げることができるのは、普段のキャッチボールの意識の高さにある。18.44メートルをベースに、投球練習と同じようにストレートを投げ込む。
「投手によっては変化球を投げる投手もいますが、僕の場合、キャッチボールではストレートの回転を確かめるために投げています」

 自信が投げ込むストレートについて、感触の良さを感じながらも、
「まだ回転数は2100なので、さらに高めていきたいです」

 プロの一軍投手の回転数は2200~2300。そのレベルを持っていきたいと考えている。またピッチング練習を見るとキレのある変化球を次々とコントロールしている。高橋は、「カットボールについては、神宮大会よりも二段階ぐらい上がっています」と自信をのぞかせる。

[page_break:なぜ圧倒的なピッチングを求めるのか?]

なぜ圧倒的なピッチングを求めるのか?

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高橋宏斗(中京大中京)

 選手によって他人について興味はなく、自分がやるべきことに集中する選手はいるが、高橋の場合、ライバルを意識しながら、自分の行動に映す選手だ。高橋は意識している選手について、「中森俊介明石商)」と答える。
「ライバルとしてみるのもそうですけど、勉強になるところもあるので、見習っています」

 また昨年の世代ナンバーワン投手・奥川恭伸星稜-東京ヤクルト)について触れてみると、
「奥川さんは本当に別格な方で、比べることもできないぐらい素晴らしい投手です。ただあの方に追いつけるような実力はつけていきたいと思っています」

 優勝候補に取り上げられ、厳しいマークを受ける中でも、自分たちは挑戦者として臨むつもりだった。
「自分も神宮大会優勝したことで、相手から意識されていると思うんですけど、自分のピッチング。つまり圧倒的なピッチングをしていきたいです」

 圧倒的なピッチング。これは高橋が高校卒業後の進路を決めるうえで重要なポイントとなっている。それができて、自分はどのステージに進むのが最善なのか決まってくる。

 そのために常に研究は怠らない。尾張旭市出身の高橋は学校まで電車で1時間半かけて通う。
「その時間も無駄にしたくないので」と語るように野球に関する読書をしたり、千賀滉大(蒲郡出身)の投球フォームや、自身の良いときと打たれるときの投球フォーム動画を見て、反省を繰り返している。

 センバツへ向けてこう意気込んでいた。
「自分たちにとっても初めての甲子園なので、そこは受け身にならずチャレンジャーという気持ちをもって、両打者のインコースを攻める投球を特徴としているので、そこはぶらさず勝ちにこだわってやっていきたいです」

 しかし3月11日、残念ながら中止となってしまった。これまで中京大中京のグラウンドを訪れると、高橋がストイックに練習に取り組む様子は見て取れたし、野球の会話になるとイキイキと話していた姿を思い出す。

 また気持ちを整理して、夏に向かってほしい。まだ圧倒的なピッチングを証明できるチャンスは残っている。

(記事=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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