Interview

関東最速右腕・勝又温史 「未熟さを知った2年秋」【前編】

2018.06.25

 今年の関東地方で、最速右腕として名前が挙がるのが勝又温史日大鶴ヶ丘)だ。狛江ボーイズから日大鶴ヶ丘入りし、1年秋に142キロ、2年夏には147キロと順調にスピードアップ。そしてこの春、最速150キロを計測した。右投手では関東最速右腕へと成長した。

 ここまで右肩上がりに成長しているように見える勝又だが、これまでの野球人生を振り返ると、かなりの苦労があったことが見える。まずは野球を始めてから高校2年生の秋までを振り返ってもらった。

本格的な投手専念は中学3年生から

関東最速右腕・勝又温史 「未熟さを知った2年秋」【前編】 | 高校野球ドットコム
最速は150キロを誇る勝又 温史(日大鶴ケ丘)

 ―― 小学校3年生の冬に野球をはじめ、「狛江ロッキーズ」に入団した勝又投手。当時はどんな選手だったのでしょうか?

勝又温史(以下:勝又): その時はファーストとキャッチャーやっていまして、そんなに野球を知らなかったので、指導者の方に言われるままに守っていた感じです。

 ―― どういうきっかけで野球をやろうと思ったんですか?

勝又: 小学校3年生まではサッカーをやっていて、3年生の時に友だちから「野球をやらないか」と誘われて始めました。

 ―― その後、勝又投手は狛江ボーイズに進みますが、ピッチャーになったのはいつからですか?

勝又: 本格的に始めたのは中学校3年生からで、遅いんです。というのも小学校6年生の時に試合で8連続フォアボールを出して、マウンドで泣きながら投げて。もうピッチャーはやりたくないなと思いましたね。あの時は。
 中学校ではずっと外野とキャッチャーをやっていて。それで監督さんから、中学校3年生になって「ピッチャーやってみないか」と言われて、もう時間が経っていたので「やってもいいかな」という感じで始めました。

 ―― でも投手はなかなかできるポジションではありません。肩の強さは最初から自信があったのですか?

勝又: ありました。小学生の時でも遠投は50メートル後半から60メートルは投げられて、中学校では90メートル以上だったと思います。

 ―― 中学校3年生の時、球速はどれぐらいか覚えてますか?

勝又: 最速136キロでした。

 ―― すごいですね。当時から今みたいな投げ方だったのですか?

勝又: そうですね。身体を全部使って速い球を投げるみたいな投げ方で。誰に教えられるわけでもなく、自然になっていました。やはり外野手をやっていたことで、体を大きく使う意識があったと思います。

 ―― 日大鶴ヶ丘に進むきっかけというのは何だったのでしょうか。

勝又: 自分が小学校5年生の時、日大三高が甲子園で優勝したんですけど、その時、西東京大会で日大三高と日大鶴ヶ丘が対決している試合を見て、もともと三高に進学したかった気持ちもあったんですけど、三高に入って強いチームでやるよりも、その試合を見て日大鶴ヶ丘がほんとに力負けしてない感じで試合をしていたので、ここに入って三高を倒したいなと思って入りました。

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エースとして臨んだ2年秋は悔いが残るピッチングに

関東最速右腕・勝又温史 「未熟さを知った2年秋」【前編】 | 高校野球ドットコム
昨秋の早稲田実業戦の勝又 温史

 ―― ベンチ入りは1年夏からで、どうアピールをしてベンチ入りが決まったのでしょうか?

勝又: 1年生の時は右も左もわからない状態で、ただがむしゃらにボールを投げ続けていました。ストレートが自分の武器で、それをいろんなチームに投げ込んで、自分が思ったよりは打たれなかったですね。本当にストレートしか自信がなかったので、1年秋には142キロも出ていました。

 ―― 下級生の時は当時のエースだった赤星優志投手と一緒にプレーされていました。赤星投手から影響されたことは結構あるんですか?

勝又: かなりありました。自分のお世話係を赤星さんがやってくださったので、赤星さんの真似をして練習していきました。

 ―― 日大鶴ケ丘は『お世話係』という役職があるんですね。

勝又: はい、一応自分は2、3年生の中でひとりだけ1年生でやらしていただいていたので。赤星さんが2年生の立場で自分のことをお世話してくださったので、お兄ちゃんみたいな感じでした。赤星さんから投手として学ばせていただくことが多かったです。

 ―― 2年の夏、ベンチ入り。振り返っていかがでしょうか。

勝又: 2年の夏は最速147キロまで速くなっていたんですけど、自分の投げている球が安定しなくて結構乱れていたので、投げるよりも打撃でチームに貢献したいなという思いがありました。打撃は自信がありましたし、好きでした。

 ―― そして2年秋はエース格という形になりましたけど、どんなピッチングでチームを引っ張っていこうと思いましたか?

勝又:まだ当初は引っ張ることができませんでしたね。9月に始まった一次予選では、自分たちの新チームが始まってすぐの秋の大会で、早稲田実業と試合をして自分が不甲斐ないピッチングをしてしまって。
 そして春では自分が「背番号1」を付けられなかったので、もう一度夏には「背番号1」を取り返したい想いが強いです。
 やはり自分の結果よりもチームの勝利のために投げていきたいです。

 ―― 早稲田実業の試合を取材していましたが、勝又投手は外野で待機してましたよね。もう出番が来るなと思って準備してたんですか?

勝又: (早く自分の出番が来い!)と思って守ってました。

 ―― そして5回途中で出番が訪れます。

勝又: 先頭バッターが野村(大樹)くんだったので、これは抑えるしかないと思いました。ストレートは走り自体は良かったんですけど、フォームもバラバラで自分のピッチングができずに終わってしまい、悔しかったです。またサイドスローで投げていたのは、フォームが固まらず、カウントを稼ぐためにはサイドスローの方がストライクを取れたためです。でも、サイドスローはこの秋限りです。

 独り相撲となってしまい、自分の未熟さを実感する大会だったと思います。

 後編では、2年冬の取り組みや、春季大会のピッチングの振り返りをしていただき、夏へ向けての意気込みを語ってもらいました。お楽しみに!

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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