Interview

徳島インディゴソックス・岸 潤一郎 独占インタビュー 僕が徳島で「プレイ」する理由

2018.03.23

 1年夏、衝撃の甲子園デビューでベスト4。以後、4度の甲子園出場。侍ジャパンU-18代表にも選出され、最後は高校通算26本塁打を放ち長崎国体優勝でフィニッシュ。明徳義塾高での岸 潤一郎は「華」に彩られた野球経歴を謳歌していた。
 それから3年。「KISHI・22」の背番号は、現在インディゴブルーの背中に宿っている。今季から四国アイランドリーグplus徳島インディゴソックスでのプレイを選択した岸。なぜ、彼は今、徳島の地で新たな野球人生を歩もうとしているのか?その真実が独占インタビューで語られる。

子どもたちとの触れ合いで感じた「野球がやはり好き」

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オープン戦初戦は1番指名打者で先発出場し岸 潤一郎(徳島インディゴソックス)

 ――独占インタビューは2013年8月以来約4年半ぶりになります。まず、今改めて明徳義塾高での日々を振り返って、岸投手にとってはどんな2年半でしたか?

岸 潤一郎(以下、岸): 甲子園も4回出させてもらいましたし、最後は長崎国体優勝。投手としての考え方、判断も学べました。これ以上ない、いい経験をさせてもらったと共います。そして馬淵 史郎監督からは「大卒1位でプロに行けるように」とも言われたので、そこを目標に拓殖大に進学しました。

 ――拓殖大でのデビューは「打者」でしたね。

岸: 入学後、右肩の状態がよくなかったので、最初は指名打者。その後は肩とひじが交互に痛くなる繰り返しでした。ただ、ひじの状態が少しよくなったので、2年生の時、6月に紅白戦で1イニング投げたんです。
 ところが、投げて2人目の最後に痛くなり、3人目で「これはアカン」と。じん帯は切れていなかったんですが、使い過ぎで伸びていて8月に手術。それでも自分自身としては「休養して頭の中を整理する時間」と考えて、マイナスには捉えていなかったです。「3年秋に戻れれば」と考えていました。

 ――ところが、ですよね?

岸: リハビリがうまくいかず。心の部分もうまくいかず。「自分が大人じゃなかった」と今は思います。

 ――結果、3年秋には野球部を離れます。

岸: 野球が当時は嫌でした。最初はボールを触るのも、バットを握るのも嫌でした。でも、根本的には嫌いじゃなかったんだと思います。
 その後、高校時代は独立リーグの存在も知らなかったし、徳島は高校時代に四国大会で唯一言っていない県にもかかわらず、徳島インディゴソックスの南(啓介)社長は僕がケガをしていることを知っていて「インディゴコンディショニングハウスでのリハビリからでもいい」という話がありました。また、両親に対しても「手術をさせてもらったのに野球を辞めるのは……」という想いもあった。それと僕は尼崎に戻った時、「甲子園サイエンスラボ」で子どもたちに野球を教えるアルバイトをしていたんです。

 ――「子どもが好き」は明徳義塾高時代にも、よく話をしていましたね?

岸: そこで子どもたちと戯れているうちに、「野球が楽しい。ノックを受けるだけで楽しい」という原点を思い出したんです。
 だから、今は先輩も後輩もいる中での野球がすごく楽しいんです。仕上がりはまだまだですけど、楽しみつつレベルアップしていきたいです。。

[page_break:「大人な勝ちにこだわる野球」を体現したい]

「大人な勝ちにこだわる野球」を体現したい

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背番号「22」の徳島インディゴソックス・岸 潤一郎投手

 ――徳島インディゴソックスでは投手登録ですが、2月26日のオープン戦初戦では「1番・指名打者」として先発。その後は一塁手でも先発しました。

岸: 投手復帰はひじの回復状態次第なので。僕自身は投手・野手のこだわりはありません。まずは野球が「プレイ」できることが面白い。1番打者・2番打者とかも好きです。
 「NPBに行きたいのか?」ということも聞く方もいると思いますが、NPBのレベルは普通に高いですし、今の自分のレベルだと「いけたらいいな」。まずは野球を楽しみつつ、その先にNPBが見えてくれば考えていきたいです。

 ――石井 貴監督をはじめ、首脳陣の方々はどうですか?

岸: 僕は今野手組の練習なので石井さんと話しをする機会は少ないんですが。一言で言えば「オモロイ方」。冗談もよく言ってます。
 駒居 (鉄平・ヘッドコーチ)さんもキャッチボールに付き合ってくれたり、バッティングのアドバイスもしてくださる。そして(橋本)球史(コーチ)にも走塁のことなど、いろいろ相談しています。インディゴコンディショニングハウスの皆さんも会話しながらケアをしてくださる。完璧です。

 ――NPBドラフト指名対象となるのは2019年から。ではこの一年、岸選手として「こんなプレイ」をしたいというものはありますか?

岸: 明徳義塾では1年夏から4番。しかも投手だったので「走る野球」をしていなかった。でも、徳島インディゴソックスでは走ることも含めて「大人な勝ちにこだわる野球」をしたいんです。無死や一死でランナー二塁であれば逆方向に打ってランナーを進めたい。
 あ、それと。最近では後輩から「岸さん、面倒見がいいですね」とか言われるんです。明徳義塾時代の僕を知っている奴は「ありえない」と言うでしょうね(笑)

  ――確かに(笑)

岸: 実際、後輩からアドバイスを求められる機会もあるんですが、そこでは「勝つための野球レベルが高い」明徳義塾での経験を伝えたい想いはあります。僕の中では「勝ちにこだわる・相手が嫌がる野球をする」馬淵 史郎監督の教え、考え方が8割。誇りに思っています。

――では、最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

岸: 僕は徳島インディゴソックスでは0からのスタート。「試合に出て当然」とも思っていませんし、実力があるとも思っていません。ここではまず状況を見て試合がいい展開になるように今までの経験や判断、打席に入る気持ちを活かし、描いた通りのプレイをしていきたいです。
 ですから、ファンの皆さんも「徳島インディゴソックス・岸 潤一郎」を応援してほしいと思います。

――貴重なお話、ありがとうございました。

岸: ありがとうございました!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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