Interview

山田健太(大阪桐蔭)「新世代大型二塁手」としてセンバツ連覇へ

2018.02.02

 3月23日に開幕する「第90回選抜高等学校記念大会」。出場36校中、ただ1校権利を持つ「センバツ連覇」を目指して戦うのが大阪桐蔭である。昨年の主力選手の多くは今年も健在。ドラフト候補としてもNPBのスカウトから熱い視線を注がれている。

 そこで高校野球ドットコムはその注目選手を1人1人独占徹底インタビュー。第1回では中軸を張る大阪桐蔭 山田 健太(2年)が登場する。昨春は打率.571を記録しセンバツ優勝に貢献した183センチ83キロの大型二塁手がここまで成長してきた理由とは?自身が目指す選手像も含めて語っていただいた。

成長の糧になった「1年秋の悔しさ」

山田健太(大阪桐蔭)「新世代大型二塁手」としてセンバツ連覇へ | 高校野球ドットコム
山田健太選手(大阪桐蔭)

――まずは中学時代の話を少し聞かせてください。山田選手は稲沢市立千代田中時代は東海ボーイズ(愛知)に所属していましたが、当時はどんな選手だったのですか?
山田健太選手(以下、山田)  2年生の途中まではサードなどをやっていましたが、あまり試合に出ることができなかったので、外野手へ転向しました。そこから4番を打たせてもらえるようになりました。

――では、大阪桐蔭に進んだきっかけは?
山田    全国制覇をしたかった気持ちが強かったので、そこに近いのは大阪桐蔭だと思って入学を決めました。

―― 実際、大阪桐蔭に入学してみた感想は?
山田    まず驚いたのはシートノックを受ける先輩たちの動きですね。スピード感が全然違ったので「凄い」と思いました。

―― 1年夏はベンチ入りできず、1年秋は高校から始めたサードでベンチ入り。この時は何をアピールしたのでしょうか?
山田 打撃です。フリー打撃で鋭い打球を打つことを心掛けたり、投手が投げるシート打撃でも、初球から積極的に打って結果を残し続けることを意識してやってきて、それがうまくいってベンチに入れさせていただくことができました。

―― ただ秋季大会を通してみると打率.241。近畿大会では初戦の龍谷大平安(京都)で無安打に終わり、準々決勝、準決勝では出場がなく、悔しい結果となりました。
山田 良い場面に回ってきて凡退することが多く、すごく悔しい気持ちになりました。なので冬場の練習では、「2年春は絶対に活躍したい!」という気持ちをもって1つ1つの練習に取り組みました。それがセンバツでよい方向に行きました。

[page_break:「日本一」で見えた次なる目標]

「日本一」で見えた次なる目標

山田健太(大阪桐蔭)「新世代大型二塁手」としてセンバツ連覇へ | 高校野球ドットコム
宇部鴻城戦で本塁打を放つ山田健太選手(大阪桐蔭)

―― 迎えた2年春。念願の甲子園球場に足を踏み入れたときの感想を教えてください。
山田 本当にすごいお客さんが入っていて、僕自身、そういう中でプレーするのは初めてでしたので、とても緊張をしたんですけど、1回打席に入り、守備につくと、緊張は自然とほぐれていました。

―― そして宇部鴻城(山口)とのセンバツ初戦では第2打席で甲子園初ヒットとなる中前安打。そして第3打席はレフトスタンドへ甲子園初本塁打を放ちました。
山田 打ったのは内角ストレートで、最初はいくかな?と思ったんですけど、うまくスタンドに入ってくれましたね。入った瞬間、観客がどっと沸いて、本当に驚きましたし、初ホームランが打てて嬉しかったです!

―― 続く2回戦の静岡戦(静岡)は池谷蒼大投手から4安打。この大会では屈指の好左腕だと思いますがどんな印象でしたか?!
山田 池谷投手はボールの切れ、スピードも速いですし、今まで対戦した投手では一番でした。4安打を打っていますけど、芯を外したポテンヒットばかりで、あまり満足はしていません。

 ―― 終わってみればセンバツは5試合すべての試合で安打を放ち、打率.571。チームも2度目の優勝を果たしました。

山田 うまく行き過ぎたと思うんですけど、結果を残せたのは秋の悔しさを忘れずに、冬の練習に取り組んできたから。そういう思いを持ってやってきて本当に良かったです。

――  日本一になって、入学前に山田選手が描いていた目標をまず達成したことになりますが、味わってみていかがでしたか。
山田 思いのほか全国制覇は早かったかなと。だから優勝直後は実感があまり沸きませんでしたが、僕の今までの野球人生の中では一番嬉しい経験であったことは事実です。

―― 甲子園春夏連続出場を果たした2年夏。自分自身のパフォーマンスはいかがでしたか。
山田 夏もレギュラーとしての試合に臨ませていただきましたが、うまくいかなかったことが多かったですね。

―― とはいえ、夏の大阪大会準々決勝・興国戦では、6回裏に逆転満塁本塁打を打って勝利に貢献しているように、ここ一番の爆発力は凄まじいものがあります。
山田 自分は「どうチャンスで打てるか」を考えて打席に立っているので、興国戦ではそこが良い感じで出せたと思います。

―― では、そういった場面で山田選手はどんな心がけて打席に入っているのでしょうか?
山田 1年秋、チャンスで打てなかった時にメンタル的な弱さを感じたので、その冬は自分に厳しくしながら、しんどい練習をしたんんです。

 そこを乗り越えたことで、精神的に成長できましたので、チャンスに回ってきても動じない心になったと僕は思います。

―― 夏の甲子園では2回戦で仙台育英に敗れ連覇は絶たれ、翌日に新チームがスタートしました。どんな思いで秋のシーズンに臨みましたか?
山田 仙台育英戦の悔しさを忘れずに全員が「新チームでは試合に出させてもらった2年生が中心となって頑張ろう。主将になった中川 卓也に1人で春の優勝旗を返させるわけにはいかない」という思いを想って秋の大会に臨みました。

[page_break:名手2人から学んだ守備技術/打撃を見直し、センバツ連覇を狙う]

名手2人から学んだ守備技術

山田健太(大阪桐蔭)「新世代大型二塁手」としてセンバツ連覇へ | 高校野球ドットコム
山田健太選手(大阪桐蔭)

―― そして、山田選手は秋からセカンドへ本格転向。これまでサードとは比べて動き方の違いは感じましたか?
山田 打球の見え方が全然違う。そこは非常に難しさを感じました。

―― それでも山田選手に対しては多くの野球関係者から「183センチという体型なのにグラブ捌きが軽快で動きも身軽」という声が聞かれています。
山田 そこは2人のコーチの存在が大きかったと思います。

―― その「コーチ2人」とは?
山田 1学年上の坂之下 晴人さんと大阪桐蔭OBの岩下 知永(元日本生命)さんです。

―― その2人からはどんなことを教わったのでしょうか?
山田 岩下さんは夏休みから結構来ていただきまして、「捕球時はグラブを立てる意識が強いと、手のひらが硬くなってしまってハンドリングが硬くなってしまうので、グラブの面を少し横に向けろ」など技術的なことを多く学びました。

 そのほかにも自分の今までにない考えを教えていただき、毎日が新鮮でした。実は岩下さんからグラブをもらって、秋の大会はそのグラブでプレーしたんです。

 坂ノ下さんには主にポジショニングを教わりました。まずボールが飛んでくるまでのポジショニング。そのために捕手が出すリードの球種、打者の傾向をすべて読んで、相手に悟られれないよう、打球が飛ぶまでの待ち方を教えてもらいました。

 これは本当に難しかったです。秋季大会の終わりごろにようやくマスターして、今はだいぶ上達したと思います。

―― 打撃の状態はこの秋、いかがでしたでしょうか?
山田 よくなかったです。悪いなりに修正できる術が自分にはなかったです。府大会までごまかしは利きましたが、近畿大会、神宮大会では通用しませんでした。

神宮大会では自分の打撃を見失っていて、打撃フォームが崩れていて、良い方向にもっていけませんでした。そこは自分の弱さだと思います。

打撃を見直し、センバツ連覇を狙う

山田健太(大阪桐蔭)「新世代大型二塁手」としてセンバツ連覇へ | 高校野球ドットコム
山田健太選手(大阪桐蔭)

―― 秋の大会が終わってからはどういう打撃修正に臨みましたか?
山田 ボールをシンプルに見ることを意識して、打撃練習を行いました。またスイング軌道はインサイドアウトを心掛け、コンパクトにバッティングすることを意識しました。

―― その結果、台湾で行われた親善試合で、17打数6安打、5打点と活躍を見せます。
「山田」 この大会では木製バットでしたので、「余計にごまかしが利かない場所だ」と思いました。

 台湾の投手陣は球速が速い投手が多かったですけど、そこで結果を残せたことは今後の野球人生を考えると大きな自信となりました。

―― では、山田選手は将来、どんな二塁手になっていきたいと思いますか?
「山田」 やっぱりプロ野球では山田哲人選手(東京ヤクルト)や菊池涼介選手(広島東洋カープ)のような二塁手が出ていますし、そういう選手たちに近づける選手になりたいと思います。

―― 2人の名前が挙がるということは将来的にプロは描いているのでしょうか?
「山田」 そうですね。いずれはその目標が実現できればと思いますし、また同学年の根尾昂や藤原恭大は1年からすごくて、刺激になりますし、彼らにも負けたくない思いはあります。

―― 今年は夏の100回記念大会の後にアジア選手権が宮崎で開催されます。その大会に出場したい思いはありますか?
「山田」 そうですね!頑張って選ばれたいです!

―― では最後に選抜へ向けての意気込みを教えてください。
「山田」 昨年、センバツ優勝した時の喜びはこれ以上ないない喜びで、人生で一番嬉しかったので、今年は春夏連覇へ向かっていきたいです。

 全国では強い学校が多くあると思いますが、自分たちは自分たちで相手は気にせずに挑戦者の気持ちを忘れずにやっていき、まずはセンバツ連覇を目標にやっていきたいですし、あの喜びをもう一度味わいたいです。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.03.28

大阪桐蔭、大会NO.1右腕に封じ込まれ、準々決勝敗退!2失策が失点に響く

2024.03.28

中央学院が春夏通じて初4強入り、青森山田の木製バットコンビ猛打賞も届かず

2024.03.28

【センバツ準々決勝】4強決定!星稜が春初、健大高崎は12年ぶり、中央学院は春夏通じて初、報徳学園は2年連続

2024.03.28

健大高崎が「機動破壊」以来、12年ぶり4強、山梨学院は連覇の夢ならず

2024.03.28

星稜・戸田が2安打無四球完封で初4強、阿南光・吉岡はリリーフ好投も無念

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.24

【神奈川】桐光学園、慶應義塾、横浜、東海大相模らが初戦白星<春季県大会地区予選の結果>

2024.03.23

【東京】日本学園、堀越などが都大会に進出<春季都大会1次予選>

2024.03.27

報徳学園が投打で常総学院に圧倒し、出場3大会連続の8強入り

2024.03.25

異例の「社会人野球→大学野球」を選んだ富士大の強打者・高山遼太郎 教員志望も「野球をやっているうちはプロを狙う!」父は広島スカウト

2024.03.08

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.03.11

立教大が卒業生の進路を発表!智弁和歌山出身のエースは三菱重工Eastへ、明石商出身のスラッガーは証券マンに!

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.01

今年も強力な新人が続々入社!【社会人野球部新人一覧】