Interview

【特別対談】高橋宗司さん×クーニンさん×河嶋宗一(高校野球ドットコム副編集長)VOL.3「それぞれの野球観」

2018.01.18

 高校野球ドットコム特別企画として、今、中高生に注目を浴びているこの二人をお呼びしました。今回対談していただくのは、強豪・青山学院大陸上部に所属し、2度の区間賞を受賞した経験を持ち、現在は市民ランナーとして活動する高橋 宗司さん。そして、野球ユーチューバ―として活動するクーニンさんの対談が実現。クーニンさんが設立したqooninTVは、現在ではチャンネル登録者数18万人を超えているほどの人気チャンネルとなっています。そこに高校野球ドットコム編集部副編集長の河嶋 宗一が参戦。3人の間でディーブなトークが繰り広げられました。

 1回目は2人の対談のきっかけや、高橋さんの野球の関わりについて触れ、第2回は、高橋 宗司さんに青山学院陸上部でのエピソード、長距離走の極意を聞きました。第3回はクーニンさんの高校時代から、ユーチューバーとして活躍するまでを話して頂きました。

甲子園での思い出

【特別対談】高橋宗司さん×クーニンさん×河嶋宗一(高校野球ドットコム副編集長)VOL.3「それぞれの野球観」 | 高校野球ドットコム
手前:高橋 宗司さん 奥:クーニンさん

河嶋:続いてクーニンさんの高校時代についてお話しを聞きたいと思います。クーニンさんは小松島(徳島)出身で、3年春には甲子園出場。当時はどんな思いで高校野球をされていたのでしょうか?

クーニン:挫折の連続ですね。僕もプロ野球選手になりたかったんで、高校野球で5割打とうと思っていました。でも2割から3割ぐらいしか打てなくて、理想と現実のギャップに苦しみました。

河嶋:中学時代は軟式でプレーをされていましたが、その時はどんな感じだったんですか?

クーニン:結構強いチームでした。巨人で活躍した條辺 剛投手のいる中学校で、県大会にもよく出るチームでした。僕もそういう環境に揉まれて頑張ってきたので、自信はあったのですが、高校に入ったら全然通用しなくて。守備には自信があったので、試合には出場することはできたのですが、打つほうでは活躍できませんでした。それに骨折もして、ちょっとつまずいた1年半でした。だから甲子園にいってもあまり喜べなかったですね。

河嶋:甲子園に出場して、開幕前には甲子園練習をされたと思います。グラウンドに足を踏み入れた時の気持ちを教えてください。

クーニン:当時、僕は若松 勉さんの伝記を描いた漫画を読んでいて、甲子園に出場したエピソードが描かれているのですが、そこで若松さんが、「右中間がすごく広い」と書いているんです。ほんまかいなと思ったら、本当に広かったんです。普通の球場の2倍の広さはあるなと感じましたね。

河嶋:ちなみに甲子園の土は持って帰ったのでしょうか?

クーニン:いえ持って帰ってないです。夏ではレギュラーになって、甲子園に戻ってやる!という気持ちでしたから。とはいうものの、コーチがスパイク袋に大量に甲子園の土を入れていまして、大会後、ちょっと分けてもらいました(笑)ちなみに春の甲子園と夏の甲子園で砂が違うのはご存知でした?

高橋:いえ知らないですね。

クーニン:選抜では雨が多いので、砂7:土3、夏は砂6:土4にしているそうです。これだけでもだいぶ違うそうで、かなり乾きやすいそうです。

[page_break:野球ユーチューバ―はどうやってスタートしたのか?]

野球ユーチューバ―はどうやってスタートしたのか?

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左から河嶋宗一副編集長、高橋 宗司さん、クーニンさん

河嶋:いろいろ勉強になります!クーニンTVを立ち上げるきっかけはなんだったんでしょうか?

クーニン:僕は高校卒業後スポーツライターになりたくて、新聞社、出版社を受けたんですけど、すべて落ちてしまいました。ライター歴がないといけないと思って、ゲーム会社に入り、ゲームについてライティングする仕事を2年ぐらいしました。そのあと、スポーツ系のマスコミに加入したのですが、そこが3か月で休刊に。
 そうなるとWEBディレクターをせざるを得なくて、ずっとその仕事をやっていたんです。でもその間もずっとスポーツ系マスコミの記者募集があったんですけど、そっちだと給料がかなり下がるんですよね。社会人としてどうなのかなと思って、スポーツ系マスコミにはいかず、ユーチューバ―を始めたんです。最初はいろいろやっていましたね。

河嶋:そういうスタートから、クーニンさんは名門校で野球をやられていたOBの方と一緒に動画で共演することになりますが、どういうきっかけから始まったのでしょうか?

クーニン:最初は同じ草野球で、花咲徳栄出身の選手がいて、花咲徳栄のことを話してもらったのが始まりです。その選手は明治大出身だったので、今度は明治大つながりから智辯学園出身の選手がきてくれました。また、草野球大会などもあって、そこで大阪桐蔭出身の選手がいて、番組出てくれとお願いしたり、またダイレクトメールで、「〇〇出身です。キャッチボールしませんか?」と誘われたりもして。もちろん行きましたよ。

河嶋:その話を聞くと、まさに夢のような感じですよね。

クーニン:本当にそうですね。僕は高校時代、大した選手でもなかったので。そんな僕が甲子園4回出て、大学全日本に出て、首位打者を獲るような選手と交わる要素なんてないじゃないですか。それはすべて動画を通して出会えたんですよね。

高橋:ドラマチックですね!すごい!

最近の高校球児は本当にレベルが高い

【特別対談】高橋宗司さん×クーニンさん×河嶋宗一(高校野球ドットコム副編集長)VOL.3「それぞれの野球観」 | 高校野球ドットコム
高橋 宗司さん

河嶋:野球好きの高橋さんにお聞きしたいのですが、結構生観戦されることはあるのでしょうか?

高橋:実はあまりないんです。自分も都大会の1回戦から見たいんですけど、一緒に見に行く友達もいないので、高校野球を生で見ることはないですね。だからSNSやテレビで視聴しますね。

クーニン:僕もテレビが一番良いと思います。センターカメラの方が一番配球や球筋が分かるんですよね。だから実際に球場にいくと、全然分からないですね。

高橋:そうですね。僕が野球場にいく時は、野球を見るというより、アトラクションを楽しむ気持ちです。

クーニン:僕も同じ感じです。僕が見ているのは、ポジショニングですね。選手の守備位置を見ながらいろいろ考えてたりもしています。

河嶋:クーニンさんはどの位置でご観戦されているのでしょうか?

クーニン:僕が甲子園にいったときはアルプス席や、バックスクリーンの近くからですね。ポジショニングはどこの席からも、分かりますからね。

高橋:ちなみにブルペンを見るとき、こんなすごい投手がいるのかと感じることはありませんか?

クーニン:それは大いに感じるといいますか、今の高校球児は僕らの時代よりも確実にレベルが上がっていますよ。高校生で140キロを投げられる投手がいっぱいいるじゃないですか。
 僕が現役だった2000年前半は、130キロ出たら速かった時代でした。2002年、選抜甲子園で準優勝した鳴門工のエースは130キロとドロップカーブのコンビネーションで勝負する投手でしたが、今の高校球児はそういうレベルじゃないですし、打者も本当に飛ばしますし、飛ぶボール使っているじゃないかと思っています。

[page_break:高橋宗司&クーニンの一押し選手は?]

高橋宗司&クーニンの一押し選手は?

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クーニンさん

河嶋:高橋さんはどういうチームが好きなんですか?

高橋:僕は選抜出場を決めた慶應義塾ですね。理由は坊主ではないからです。もちろん坊主も悪いわけじゃないですし、高校球児の坊主は他のスポーツと比べても体格もがっしりとしているから、似合っていてとてもかっこいい。細い陸上部と比べると、なおさらそう思います。

 でも慶應義塾みたいにスタイリッシュな学校が勝つと新しい風が吹いたと感じますし、そういう学校に頑張ってほしいなと思います。坊主ではないといえば、小豆島高校(香川)が選抜出場したとき、樋本 尚也主将が選手宣誓しましたが、樋本君は髪が坊主ではなく、短髪でしたよね。あれを見て、良い意味で高校生らしさを感じて新鮮さを感じました。

 あとは面白い投手を見るのが好きで、高校野球ではないんですけど、専修大のアンダースロー・高橋 礼投手(現・福岡ソフトバンク)が好きでした。僕はチームというより選手を見ますね。

河嶋:となるとドラフトは好きなんですね?

高橋:そうですね!

河嶋:クーニンさんは気になっている選手はいますか?

クーニン:僕は徳島出身ですので、埼玉西武3位指名の横芝敬愛 伊藤 翔投手(徳島インディゴソックス)が気になりますね。本当にすごい投手じゃないですか。中日の又吉 克樹投手になることを期待しています。

 また高校生ですと清水 達也投手(花咲徳栄)です。中日4位指名ですけど、150キロのストレートを投げられるうえにコーナーをビタビタに使う制球力がある投手なので、本当に良い投手だと思うんですよね。

河嶋:個性的なフォームですけど、コントロールは本当に良い投手ですよね。

クーニン:甲子園見ましたけど、コントロールがいいと思った投手は清水君です。

 高校生ではかなり精度が高いコントロールを持った投手だと思いますよ。昨年の甲子園では乱打戦が多かったですけど、それは真ん中に投げる投手が多かったからだと思います。清水投手はコーナーへきっちりと投げ分ける制球力がある。逆球も真ん中に行かないですし、うまくばらける。甲子園で出てきた投手の中でも安定感、制球力が素晴らしいと思いました。

 あとピークをうまく持ってきたという点では、中村 奨成君もしっかりと甲子園に合わせてきて素晴らしかったですね。

河嶋:では2018年度の注目選手を教えてください。

高橋:僕は先取りして追いかけるのが好きで、中学2年生にして最速145キロを投げる森木 大智投手に注目しています。

クーニン:僕も森木君ですね。

高橋:すでにお茶の間で話題になっている選手というよりも、ひそかに注目されていてすごいという選手が好きなんです。大阪桐蔭根尾 昂君は中学校の時から注目していて、凄くなるだろうと思っていましたから。

河嶋:そこまで目を付けているとはすごいですね。ありがとうございます。2018年度の高校野球も楽しみです!!

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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