Interview

根尾昂(大阪桐蔭)「近畿では二刀流として大暴れ!初舞台の神宮でも強烈な印象を残す」

2017.11.05

 大阪桐蔭の優勝で幕が閉じた近畿大会。この大会からMVPを選ぶとすれば、間違いなく根尾昂だろう。打者としては、13打数5安打4打点 5四死球。投手としては、準決勝の近江戦で、最速145キロのストレートとスライダーを軸に、16奪三振完封勝利。成績も文句なしだが、数字以上に1つ1つのパフォーマンスが強烈だった。

近畿大会の活躍をダイジェストで振り返る

根尾昂(大阪桐蔭)「近畿では二刀流として大暴れ!初舞台の神宮でも強烈な印象を残す」 | 高校野球ドットコム

 まず京都翔英戦から根尾のショータイムが始まった。7対0とリードした5回表、2ボールからの3球目。スライダーを逃さず、ライトスタンドへ飛び込む本塁打。打った瞬間、本塁打と分かる当たりだった。根尾はこの場面についてこう振り返る。根尾は「相手投手が変化球中心で、2球目までスライダー。完全に狙っていました。打った週間、ヘッドが走った感じだったので打つことができました」
 配球を読んでの本塁打。根尾の配球を読む能力はここにきてしっかりと磨かれていた。そして準決勝の近江戦。先発を言い渡されたのは、試合当日の朝。「エースの柿木蓮が投げない日だからこそ、自分がしっかりと投げたいと心に誓ったこの試合。根尾は初回からエンジン全開のピッチング。常時140キロ前半のストレートを計時。今年は大阪桐蔭は140キロ台の速球を投げる投手が多くいるが、平均球速の高さという点では根尾が一番。2回表には145キロを計測。さらには130キロを超えることもある、常時120キロ後半のスライダー、カーブのコンビネーションで、近江打線から16奪三振を奪い、完封勝利。この試合のピッチングについて根尾は「ストレート、スライダーが非常に良かった」と本人も手ごたえ十分のピッチング。こうして決勝戦へ駒を進めた。

 智辯和歌山との決勝戦では第1打席は中前安打、第2打席は左前安打を放ち、好調をキープ。そして第3打席では、右腕・池田からの9球目だった。縦に落ちるスライダーを振り抜いた打球は、ライトスタンド最深部へ。決勝点となる大会第2号本塁打で試合を決着をつけた。
「柿木が頑張っていたので、なんとしても先取点が欲しかった場面。あの打席では強くスイングすること。ストライクゾーンをしっかりと振った結果が本塁打へつながりました」と振り返った。

[page_break:二刀流だからこそケアとトレーニングを大事にしている]

二刀流だからこそケアとトレーニングを大事にしている

根尾昂(大阪桐蔭)「近畿では二刀流として大暴れ!初舞台の神宮でも強烈な印象を残す」 | 高校野球ドットコム

 投打で大活躍。二刀流としてこれ以上ない活躍を見せているが、身体へかかる負担は他の選手と比べて倍違う。だからこそ根尾は体へのケアとトレーニングに対して余念がない。「どこを重点的に鍛えるという限定したものではなく、とにかくすべてを鍛えてます」というぐらい求めるものは高い。トレーニングをより取り組むようになったきっかけは、今年の春、腰の怪我がきっかけだ。この期間、試合にも欠場。「あの時。何もできないことに歯がゆさを感じた時期でしたし、もうこんな思いはしたくないと思い、さらにトレーニングに打ち込むようになりました」と日々のメニューに向き合った。

 今大会の好調も、「日頃やっている強く振る。それが試合になって発揮できていると思います」と練習の成果を発揮できていることを強調した。だが、根尾はまだまだ自分の内容には満足していない。それはチームが勝つためには至らないところが多いと考えているからだ。
「今日に限っていえば、第4打席で凡退してしまった。今日は柿木が無失点で抑えたからこそよかったものの、もっと畳みかける攻撃をしなければなりません」と打ったことに満足するのではなく、チームの勝利に貢献できる打撃を数多くできたのか。ミスをカバーすることができたのか。根尾はそこまで神経を注ぎながらプレーをしている。

どこまでも謙虚で、隙を作らない根尾の意識の高さは、実に素晴らしいものがある。根尾をリードする小泉航平はマスク越しから見ても、非常に視野が広い選手だという。「いつも冷静で、周りが見えていて、本当に良い投手だと思います」
状況を整理し、何をすべきか判断出来る根尾のクレバーさは高校生離れしている。

 迎える明治神宮大会。根尾は一戦必勝を大事にしている。「優勝は頭にないです。負けてしまってはすべてパーになるので、目の前の一戦を勝つことを大事にしたい」
人生初の神宮球場でのプレー。近畿大会で魅せたパフォーマンスを発揮すれば、必ずや人々の印象に残り、大会の歴史に残るプレーヤーになっていくことは間違いない。

(取材・河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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