清水達也(花咲徳栄) 「寒空を切り裂く剛速球!甲子園優勝投手が戻って来た!」
9月5日、第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ5日目。スーパーラウンド進出を決めている日本は、南アフリカと対戦。12対0の7回コールド勝ちで、4勝1敗でオープニングラウンドの最終戦を飾った。この日は「復活」をテーマに選手たちのインタビューをしていきたい。2人目は清水達也(花咲徳栄)。この日は140キロ後半の速球と落差抜群のスプリットで南アフリカ打線を翻弄。クローザーとして期待される清水が状態を取り戻したのは大きな収穫となった。
代表投手陣最速となる148キロを計測!
清水達也(花咲徳栄)
今日のサンダーベイは最高気温14度、最低気温7度。しかも曇りと、日本で言うと11月の気候である。そんな中、南アフリカ戦、3番手で投げた清水達也(花咲徳栄)のストレートはまさに寒空を切り裂くような剛速球だった。2日前のキューバ戦、清水曰く内容は最悪だった。それもそのはず。気温が低く、雨が降り出しており、マウンドも緩い。しかも初登板で、自分のピッチングをするのは難しい。130キロ後半がほとんどで、140キロを超えたのはごくわずか。清水らしい投球はできなかった。
「もうあの時は最悪のグラウンドコンディションでしたね。いろいろ気になることが多くて、自分のピッチングができなかった」
しかし、今日の南アフリカ戦は違った。一死満塁の場面でマウンドに登った清水。先頭打者、ストレートで簡単に追い込んで、3球目。捕手・中村奨成が高めへ指示。投げ込んだストレートは、145キロを計測し、空振り三振。
「今日の中で最も良かったストレートです」と本人も手応えたっぷりのストレート。さらに続く打者も、140キロ中盤のストレートで追い込んだ後、最後は決め球の126キロのフォークで空振り三振。ピンチで二者連続三振を奪ったのだ。
9回表も、安定したピッチングは最後の打者にはインハイへこの日最速となる148キロのストレートで空振り三振。ようやく甲子園で見せてきた140キロ後半のストレートとスプリットで打者を翻弄する清水らしい投球である。
試合後、アベレージ(スピード)が5キロ違ったと伝えると、「何キロ出ていたんですか?」と質問を返す清水。この試合のスピードを伝えると、満足そうな表情を浮かべた。
「今日は雨とか、そういうことを気にせず投げることができたのは良かったと思います」
何も気にせずに投げる。これは投手の能力を引き出す上で大事なことかもしれない。
花咲徳栄からクローザーと投げる機会が多い清水。試合終盤でも冷静なマウンド捌きで、抑えることができる秘訣は何か。
「試合展開を見ながら、ブルペンで肩を作りすぎず、ばててしまうので、試合展開を見ながら作って、ベストの状態で1球目から投げられるようにしています」
この日は1球目から、しっかりとストライクゾーンへ投げ込み、140キロ~148キロの速球を投げ込み、しっかりと調整をしてきたのはさすがだ、そして今後の試合でも自分のピッチングするだけと実感している。
「世界一まで手の届くところまで来ていると思います。自分はピッチングに貢献して、世界一になりたいですね」
世界一を果たす上で、清水の投球は重要になる。ようやく、スーパーラウンドの前に甲子園優勝投手・清水達也が戻ってきた。
(取材/文・河嶋 宗一)