野村大樹の進化が止まらない!
早稲田実業の2年生スラッガー・野村大樹。迎えた決勝戦で2本塁打を放ち、チーム最多の5本塁打。4打数4安打5打点の活躍で、二季連続の優勝に大きく貢献した。今回は野村の進化の過程について振り返っていきたい。
なぜ反応で打てる選手になろうと思ったのか?
春の都大会から野村大樹の進化が止まらない。今大会5本塁打。しかも重要な場面で本塁打を打っており、勝負強さは恐るべしだ。
野村の打撃スタイルについて、配球を読みながら、打っていることを神宮大会のインタビューで紹介したが、今の野村は「反応で打てる」選手を目指している。
高いレベルで活躍するには、相手の配球を読むのは必要不可欠なこと。その上で、野村がなぜ反応で打てる打者になりたいと思ったのか?それは昨秋の明治神宮大会決勝の履正社戦がきっかけだ。
「あの試合、自分が狙い球に絞っていない真ん中付近の甘いボールを見逃し三振してしまって、そういう球を打てないと上のレベルに行けないと思いました。打てなかったのが本当に悔しくて、反応を打つ練習をしてきました」
野村は、直球を待って変化球を打ち返す、または変化球を待って速球を打ち返せる練習をしてきた。その練習法を野村の口から具体的に教えてくれた。
「うちの打撃練習では、2ストライクから投手が好きな球種を投げていいのですが、その時はガチンコ勝負。何を投げるか分かりません。狙っていない球でも甘いボールならば打つ。それができる練習を繰り返してきました」
この取り組みは結果として現れる。3月の選抜では9打数5安打を打ったが、「狙い球ではない球種を打ち返すことができて自信になった」と話す。そして都大会の本塁打も自分の狙い球ではないものを打ち返すことが多かったという。
そして日大三戦の本塁打も自分が狙っていたものとは違う球種だったが、「もともと高めが好きなので」と高めのストレートを打ち返し、レフト中段へ。野村は「去年より5メートル飛ばすことを目指して、下半身のウエイトトレーニングに取り組んできましたので、その成果が出て、うれしかったです」と笑顔を見せた。
日大三との打撃戦を演じ、勝利したことについて野村は、「自信になる一戦」と答えた。1年夏から4番打者として華々しい活躍。それは自身の課題を明確にして、ひたむきに取り組む姿勢が持ち続けていることだろう。
2万人が集まった東京決勝で2ホーマー。野村は清宮に並ぶスラッガーという印象を大きく植え付けた。5月20日から茨城で行われる春季関東大会では、野村大樹の活躍が清宮と同じくらい見逃せないものとなった。
(文=河嶋宗一)