Interview

履正社打線が東北No.1左腕・長谷川拓帆に与えた課題

2016.11.11

長谷川拓帆選手

 今年の東北地区ナンバーワンピッチャーとして推されるのが長谷川拓帆仙台育英)だ。左腕から投じる速球は常時140キロ超え、さらに手元で鋭く曲がるスライダー、スプリットのコンビネーションがはまったときは簡単に打ち崩せる投手ではない。東北大会準々決勝で強打の八戸学院光星に完封勝利。その後も安定した投球を続け、東北大会に優勝に貢献した。明治神宮大会初戦の相手は履正社。全国トップクラスの破壊力を誇る履正社に対し、3失点。長谷川は今回の投球についてどう考えていたのだろうか。

履正社の強打者・安田尚憲との対戦を振り返る

 6回まで被安打2、四死球8、3失点。強打の履正社打線に3安打に抑えた投球は見事だった。しかし仙台育英のエースナンバーを担う長谷川にとってこの結果は全く満足していない。

 今日、長谷川が一番反省していたのはコントロールだ。高めへすっぽ抜けたり、シュート回転するストレートが多い。コントロールが乱れていた要因はフォームの乱れにあった。この日は外回り気味で、右足の着地時にしっかりと左ひじが上がっていない。そのため押し出すような投げ方になっていた。

 それでも1回表、石田龍史に最速143キロを計測。その後も、常時135キロ~140キロの速球、120キロ前後のスライダー、120キロ前後のスプリットの精度も高い。潜在能力の高さは見せた。

 だが乱れたフォームはスタミナを消耗しやすい、球数がかさみ、100球を超えた6回表には、130キロ台中盤まで落ちてしまい、8番松原に左中間を破る適時三塁打を打たれ、3失点目。この回でマウンドを降りた。試合後、長谷川は自分の課題をこう語った。
「やはりストレートがシュート回転してしまうので、右打者に対してしっかりと攻められないのが課題です。それはフォームの乱れに一因があると思うので、良いフォームで投げられるようにしっかりと投げ込みで固めていきたい」
 この日の被安打3本はすべて右打者に打たれたもので、3失点も右打者の松原に打たれたもの。選抜へ向けて、右打者への攻めも1つの課題になっただろう。

 だが無安打に抑えた左打者への攻めは見事だった。この日、徹底マークしていたのが、高校通算42本塁打を誇る4番安田尚憲。安田に対しては内角を意識した攻めだった。まず第1打席はオール内角攻め。ストレートの四球だったが、これは餌まき。第2打席はインコースを意識させて、最後はスライダーで見逃し三振。第3打席もインコースを厳しくついて最後は二ゴロに打ち取り、安田に対しては2打数0安打1三振に抑え込んだ。
 「やっぱり良い打者なので、内角を強く意識させた攻めでいこうと捕手にも話をしていきましたが、しっかりと投げることができてよかったと思います」と安田の攻めに対しては手ごたえを感じている様子だった。

対戦した安田も、「内角に来たボールは本当に強いボールでしたし、内角にずっときていたので、第2打席はスライダーを見逃し三振になったのですが、すごく遠く感じました。ヒットは打てなかったですし、今日は相手投手にうまく攻められたと思います」と長谷川の投球を認めていた。
 良い部分、悪い部分もすべて出た神宮のマウンド。履正社という全国レベルの強打者と対戦して気づかされたこと、そして修正しなければならないポイントが明らかになった。

 来春、2学年上のエース・佐藤世那(現・オリックス)のように、強打者をねじ伏せる投球を見せて、IKUEIのエースとして躍動する姿に期待したい。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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