Interview

森山 恵佑選手(星稜-専修大)「野手ではなく、投手としてプロ注目だった高校時代」・前編

2016.11.02

 今年のドラフトで北海道日本ハムから4位指名を受けた専修大の森山恵佑主将。星稜高時代は投打二刀流で注目されるも、専修大には投手として入学、1年生のオフに打者に転向した。やがて稀有な長打力に磨きをかけた左のスラッガーは、今春のリーグ戦で、[stadium]神宮球場[/stadium]のバックスクリーンを越す「推定135m弾」を放った。逆方向にも長打が打てる大砲・森山選手にこれまでの道程についてお話しいただきました。

進路を決めた練習試合でのノーヒット・ノーラン

森山 恵佑選手(星稜-専修大)「野手ではなく、投手としてプロ注目だった高校時代」・前編 | 高校野球ドットコム

森山 恵佑選手(専修大学)

 森山 恵佑は春11回、夏18回の甲子園出場を誇る名門・星稜高の出身。ただある出来事がなければ、地元・富山の公立校に進んでいたという。

「中学3年の時、確か夏前でしたか、僕がいた桜井中(富山)と(星稜高と母体を同じとする)星稜中が練習試合をしたんです。星稜中はこの前年に「全中」(全国中学校軟式野球大会)で連覇を果たしている強豪。僕らの桜井中は1つ下の代は全国に行ったものの、星稜中と肩を並べるほどではなかった。ですから、練習試合とはいえ、とても勝てないだろう、そう思って臨んだんです。そしたら、たまたまノーヒット・ノーランを達成しましてね。

 そこでのピッチングが星稜高関係者に伝わったようで、声をかけてもらったんです。もしそこで、ノーヒット・ノーランを達成していなかったら、どうなっていたか…きっと今とは違う野球人生になっていたでしょうね」

 投手として甲子園に出場し、プロに行く―。そんな青写真を描いて星稜高の野球部に入った森山だったが、そこはレベルが高いところだった。スーパースラッガー・松井 秀喜氏(元巨人、元ヤンキース他)も輩出した名門は当時、森山の1学年上の投手には西川 健太郎(現・中日)と、専修大でも一緒だった大野 亨輔(現・三菱日立パワーシステムズ横浜)がおり、野手の1年先輩には北村 祥治亜細亜大トヨタ自動車)がいた。「周囲からは甲子園に出て当たり前と思われていた」(森山)名門は、練習も厳しかった。

「僕は小・中学校とずっと自分がチームの中で一番だったので、自分より上手い選手とプレーできるのは嬉しかったですね。刺激にもなりましたし、新たな向上心も芽生えました。練習は…星稜高は基本的に休みがないんですよ(苦笑)。休めるのは定期テスト前と期間中くらい。特に思い出に残っているのが、オフの走り込みですね。1日練習の時は、午後から100段ほどの階段がある小坂神社というところに“こもって”ずっと走り込みです。雪が深く積もっても、長靴を履いて走りました。一応、寒さ対策で軍手をはめていましたが、雪の中でも手押し車などをやったので、すぐにグッショリ。ほとんど意味はなさなかったです(笑)」

[page_break:上を見据えて野手に転向するも、当初は戸惑いの連続]

 夏の大会前に2週間ほど毎日行われる、星稜高名物の(「鬼ノック」、「けんかノック」とも呼ばれる)個人ノックもきつかったですね。内野のポジションに分かれて、連射砲のように次々と飛んでくるノックの打球を、1時間半くらいぶっ通しで追うんです。しかも、僕らの時の投手陣のノッカーは、山下 智茂前監督(現名誉監督)でしてね。終わるともう、放心状態でした」

上を見据えて野手に転向するも、当初は戸惑いの連続

森山 恵佑選手(星稜-専修大)「野手ではなく、投手としてプロ注目だった高校時代」・前編 | 高校野球ドットコム

森山 恵佑選手(専修大学)

 投手に重きを置きつつも、1年春から投打の二刀流で出場した森山。打撃練習は投手の練習の合間に、週に2、3度行う程度だったが、2年夏は4番・一塁手。県決勝では、好投手の石川金沢高・釜田 佳直(現・東北楽天)からホームランを放っている。そして2年秋よりエースになると、3年春は県優勝を果たし、北信越大会に進出。だが、優勝候補として臨んだ最後の夏は、決勝で遊学館高に敗れ、目標としていた甲子園出場は成らなかった。

「最後の夏は“絶対に甲子園に行こう”と同期とも誓い合っていたんです。でも叶わなかった。周りからも期待されていたので、本当に悔しかったですね。挫折感も味わいました。あの決勝は今でも思い出したくないですね。ですが、あの決勝が”野球は難しいもの“と教えてもくれました。結果的に目標は果たせませんでしたが、星稜高に行ってよかったと思いますし、星稜高野球部での2年半が、人間として大きく成長させてくれたような気がします」

 星稜高時代、最速144キロのスリークォーター左腕としてもプロから注目されていた森山だったが、プロ志望届は出さずに、東都リーグ最多32回優勝の実績がある伝統校の専修大へ。打者としても評価されていたが、投手として野球部の門を叩いた。しかし、1年秋のリーグ戦が終わると、野手に転向する。

「高校時代は一時期サイドから投げたり、上からも放りましたし、セットで投げたこともありました。いろいろ試したものの、結局、投手として“これ”というものが見つからず、それもあってプロ志望届を出さなかったんです。専修大に入った時はもちろん、投手で頑張ってみよう、という気持ちはありました。その反面、上に行くには投手としては難しいかな、という思いも…1年秋までは投手でしたが、プロに行くなら、と自分で見切りをつけ、野手に転向しました。

 とはいえ、高校時代は毎日バットを振っていたわけではないのでは、そもそもどのくらいスイングすればいいのか、その目安すらわからず…しばらくはティーやフリーで打った数をメモに残し、この週はこれだけ振って、試合ではこういう結果だった、と振った量と結果の関係をつかむようにしていました」

 野手への転向を決めた大学時代の森山選手!ここから再び、どのようにプロ注目選手へとなっていくのか?インタビューはまだまだ続きます!

(取材・写真/上原 伸一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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