Interview

東京ヤクルトスワローズ 小川 泰弘選手【前編】「長丁場のペナントレースでも力を発揮し続けるには」

2016.01.08

 プロ入り1年目の2013年には16勝をマークし、新人王に輝くと、その後も東京ヤクルトスワローズ投手陣の柱として活躍する小川 泰弘投手。
入団3年目となった2015年は、27試合に登板し、11勝8敗。5月からは一時、勝ち星から遠ざかるも、7月に入ると、「6連勝」を記録し、チームの14年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。2016年もチームのエースとして、さらなる活躍を目指す小川投手に今回は、「トレーニング」をテーマに、お話を伺いました。

ランメニューの重要性を感じた大学時代

小川 泰弘選手(東京ヤクルトスワローズ)

 毎日、おにぎりを10個食べていたという成章高時代、小川は2年秋にエースとして県大会準決勝までチームを導くと、翌春には、第80回選抜高校野球大会に21世紀枠で出場。初戦では、強打の駒大岩見沢を2失点に抑える好投で勝利する。これが成章にとって、春夏通じて初めての甲子園白星となった。

 3年生最後の夏は、愛知大会決勝まで勝ち進むも、大府に1対3で敗戦。[stadium]甲子園[/stadium]のマウンドに再び立つことはできなかったが、卒業後は創価大に進学すると、大学3年秋にはリーグ新記録の防御率0.12を記録。さらに4年春にはノーヒットノーランを達成し、4年間でリーグMVPを5度受賞するなど、順調に力を伸ばした。

 当時から、ランメニューが最も苦手だったという小川だが、それでも、走ることの重要性は十分に理解していた。
「大学に入ってからは走る量も増えました。ウエイトトレーニングも継続的に行い、体幹トレーニングや、股関節トレーニングも取り入れていく中で、自然と球速も上がってきたように感じます。あとは食べることも、運動量や練習量につながってくるので、高校の頃から食べるということも大事にしていました」

 そんな小川も、2013年に東京ヤクルトスワローズに入団後は、トレーニングに対する意識が少しずつ変わっていった。

「高校・大学時代は、ウエイトトレーニングを行うのも、ケガをしないための体作りとパフォーマンスアップのためと捉えていましたが、プロ入り後は、長丁場を戦うことが出来る体になるためのトレーニングという目的もでき、改めてトレーニングは重要なものだと考えるようになりました。入団した直後は、そのためにどんなメニューをすればよいか、右も左もわからない状態でしたが、ベテラン投手の館山(昌平関連記事)さんや石川(雅規)さんに聞いたりしながら、自分の中に取り入れていく作業を繰り返していきました」

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[page_break:疲労があってもトレーニングをやり続ける意味]

疲労があってもトレーニングをやり続ける意味

小川 泰弘選手(東京ヤクルトスワローズ)

 プロ選手の場合、主なトレーニングメニューの構成は、「オフシーズン」「キャンプ」「シーズン中」で変わっていくが、小川は昨年の夏、こんなことを経験した。

「入団1年目もそうでしたが、5月に入ると勝てなくなって、それが6月まで続いてしまった。いつも、この時期になると疲労がたまって、パフォーマンスが落ちてしまうんです。でも、この時は、ここでウエイトトレーニング、スクワットなどを『疲れた』と言いながらも続けてみました。そしたら、7月の後半になって、勝てるようになってきて、結果的に6連勝することができました。もちろん夏場になって疲れも軽減したのもあり、100%トレーニングが直結したとは言えないですが、疲労のある時期でもトレーニングを続けた積み重ねは間違いなく、結果に結び付いたんだなと感じました」

 シーズンを終えて11勝をマークした小川は、2016年に向けたこのオフの期間は、これまでとは違うアプローチで、トレーニングメニューを組み立てている。

「毎年5月になると疲れが出てきて、勝てなくなることが多かったので、疲れた時期でもパフォーマンスを出すには、シーズン中もそうですが、まずはオフの期間のトレーニング量というのが、関わってくるのではないか?と思いました。オフにトレーニング量を増やして計画的に取り組めば、もっとレベルアップできるんじゃないかなと。

 ウエイトトレーニングは、自分の許容範囲を超えてしまうと、体に負担もかかってパフォーマンスも変わってきてしまうこともありますが、この時期のトレーニング量がシーズン中のパフォーマンスに影響してくるのであれば、これまでとは違う結果を出すために、まずはオフの期間のトレーニングを例年以上に、しっかりと取り組んでみようと思いました」

 今オフは、ウエイトトレーニングのほか、体のバランスを整えるためのトレーニング。また100~200メートルのインターバル走など、シンプルながら、昨年以上に量を増やして、取り組みたいと話していた小川。
実際にキャンプに入れば、野球の動作に直結したトレーニングが増えてくる。例年実施しているメニューを小川が少しだけ教えてくれた。

【小川選手のハイパフォーマンスを生むためのトレーニング内容はこちら!】

(後編へ続く)


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【1月特集】2016年、自律型のチームになる!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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