Interview

オリックス・バファローズ 安達 了一選手【後編】 「『バスター&ラン』を成功させる極意」

2015.02.26

 前編では遊撃手としての守備の感覚的な部分を的確な言葉で説明してくれた安達 了一選手。後編では走塁面や「バスター&ラン」の極意について、高校球児の視点から語って頂きました。

盗塁はスタートを切る「勇気」

安達 了一選手(オリックス・バファローズ)

――安達選手は盗塁数も年々増やして(1年目から2・16・昨シーズンは29)います。盗塁時に心がけていることはありますか?

安達 スタートもそうですが、最後にスライディングする時の速さを意識しています。自分も遊撃手をやっていますから、スライディングが速い選手にタッチする難しさは理解できますし、審判の方へのインパクトもある。ですので、自分も意識するようになりました。

――それはいつくらいから意識しだしたのですか?

安達 昨年も意識はしていたのですが、行動するには難しい部分があったので。ここが今シーズン取り組んでいることですね。

――高校球児にとって「盗塁」は難しいものだと思います。榛名高・上武大・東芝と経験され、感じた中で安達選手から盗塁へのアドバイスがあるとしたら、何がポイントですか?

安達 自分も実際は高校生の時に盗塁をしてなかったんですよ。でも、盗塁はスタートを切る「勇気」だと思うので、それを克服できればなんとかなると思います。僕も盗塁にはアウトになる怖さがあったんですが「アウトになったら盗塁のサインを出した方が悪いんだ」と言われたことで、吹っ切れて、意外にいけることが判りました。ですので、盗塁は「勇気」だと思います。

――「勇気」というキーワードは球際の守備にも通じる部分ですか?

安達 そうですね。球際というよりは「勇気」を持って前に出ることはありますね。球際は「気持ち」じゃないですか(笑)。気持ちだと思います。

バスター&ランのコツは「切り替えの速さ」

――「つなぎ」が多い立場の安達選手ですが、バッティングについての考えはいかがでしょうか?

安達 自分はホームランを打つタイプの選手ではないので、バントとかバスター&ランのような「つなぐ」小技や、なんでもいいから塁に出ることは意識しています。

――打撃練習でも、かなりバスター&ランの意識でスイングをされています。

安達 そうです。試合中も「バスター&ラン」のサインはよく出ますから、そこは意識してやっています。

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[page_break:今季こそは「笑って終わる」シーズンに]

安達 了一選手(オリックス・バファローズ)

――バットの作りにもそういった意識はあるのですか?

安達 自分のバットはスタンダードだと思います。社会人時代から普通の形にしていますね。

――でも、バスター&ランは非常に難しいですよね?これを成功させるコツはありますか?

安達 とにかく相手にバレないように、バントの構えからバスターにどれだけ速く切り替えられるか。自分のトップの位置に早く持ってこれるか。これを自分では意識しています。これもコーチの皆さんから言われることですね。

――バスターに切り替えるのは投手がリリースに入ったときですか?

安達 それだと遅いですね。「投球動作に入ってから、なるべく早めに」ということは言われます。

今季こそは「笑って終わる」シーズンに

――さて、2015年シーズンが始まりましたが、今シーズンの残りはどういった働きを見せていきたいですか?

安達 そうですね。バッティングではつなぎ役として、守備では当たり前のプレーを当たり前にを意識して、なんでもいいから塁に出て、走っていきたいです。昨年は「泣いて終わった」シーズンだったので、今季は「笑って終わる」シーズンにしたいと思ってプレーをしています。

――その結果、最初に言われた「ゴールデングラブ賞」のようなものが残れば

安達 そうですね!

――今回は貴重なお話、ありがとうございました!

安達 ありがとうございました!

「グラブを握らない」守備意識。「スタートに勇気を持つ」盗塁。そして「トップの位置に早く持っていく」バスター。短い言葉にプロならではのアドバイスがふんだんに詰まった今回のインタビューであった。高校球児の皆さんの中には「つなぎ役」の言葉にやや嫌気がさす選手もいるかも知れないが、こう考えると「つなぎ役」は立派な「職人芸」。もしつなぎ役を任されても、誇りを持って1つ1つを理解し、前に進んでいってほしい。その努力を積み重ね、報われた暁には、安達選手のような「つなぎ役」で評価される人生が待っているはずだ。

(インタビュー・寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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