第285回 小坂 誠 ファーム内野守備コーチ(北海道日本ハムファイターズ)【後編】「守備の名手しか分からないプレッシャー」2015年03月29日

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小坂 誠ファーム内野守備コーチ(北海道日本ハムファイターズ)【前編】はこちらから!

【目次】
[1]常に実戦に即した練習を重ねて感覚を磨くことに努めた
[2]守備者としてのプレッシャーとの向き合い方
[3]成功に結び付けるための「失敗から学ぶ」ことの大切さ

 前編では、小坂コーチの守備を築いた原点について語ってきました。後編では小坂コーチがプロ入り後どんな考えで守備を磨いてきたかについて語っていただきます。また「守って当たり前」というプレッシャーの中、小坂コーチはどうやって戦ってきたのか。そして改めてプロのショートとして成功した背景を語っていただきました。

常に実戦に即した練習を重ねて感覚を磨くことに努めた

小坂誠ファーム内野守備コーチ
(北海道日本ハムファイターズ)

 小坂コーチの守備は、高校、社会人、そしてプロの世界と経験を積むことによって守備に対する意識が強くなっていく。何故なら、今までの考えでは通用しないと認識していたからである。プロでは通用しないと実感し、感覚を磨く為の反復練習を重ねたことで少しずつ技術力を上げることが可能になった。そのひとつがポジショニングである。

「あらゆる情報からポジショニングを考えます。例えば、右投手対右打者、右投手対左打者では打球の回転や軌道も違いますし、スイングの軌道と投手の配球を見ながらその打球を予測します。中には打球方向が顕著に出ている選手もいますので、そのような場合は予測が立て易いです。常に準備することは当然なのですが、投手でもゴロを打たせてアウトを取る技巧派なのか、奪三振の多い速球派なのかでも頭に入れておくべきだと考えます。

 投手が投げるタイミングに合わせ、打者のインパクトの瞬間にタイミングを合わせることに集中して素早く反応する準備をします。この作業は自分のところに打球が来なくても1球1球反応することを反復していました」

 ポジショニングの大切さは高校球児も実感していると思うが、ここまで考えることは出来ることだろうか。小坂コーチは
「意識すれば出来ることです。せめて、その打者の傾向でも頭に入れておくことが出来れば、自分自身の助けになります」
グラウンドに立っている守備者としてあらゆる状況を考えながら守備位置をとっていたことが理解出来る。

 当時のパ・リーグは松井 稼頭央(当時西武)2013年インタビュー2015年インタビュー、イチロー(当時オリックス)、村松 有人(元ダイエー)など脚の速い選手が多かった。そういう選手に対しても、小坂コーチは焦りなくプレーが出来ていた。どうやってプレーしていたのだろうか。

「今までもお話しましたが、脚が速い選手に対しても、慌ててしまいエラーをしてしまうことは、私もありましたし、そのような悩みを抱える高校球児の気持ちは痛い程理解出来ます。

 プロの世界では、1つのバウンドに対する判断ミスで、セーフになってしまいます。例えば、私が現役時代の人工芝はよく弾む特徴がありました。その弾むバウンドに対して待って捕球してしまうと打者走者を生かしてしまう確率は高くなります。自分のところに飛んで来た打球を弾む前の段階で捕球するのか、勢い良く前に出てショートバウンドの瞬間に捕球して直ぐに送球するか。そのくらい意識して練習から取り組むことで、実戦に繋げてきました。

 私の場合は練習の際、脚の速い打者走者を想定し、出来る限り前で捕球することで判断力を磨きました。バウンドが合わない場合はステップを使い半身で捕球する練習も反復していました。常にバウンドが合う訳ではないので、如何に脚を使えるかが大切になってきます。常に試合と同じ状況を想定しながら、反復練習に取り組むことが大切だと考えます」

 また、小坂コーチはダイビングキャッチしてからも直ぐに起き上がって投げられる選手だった。

「本来は打球方向を読んで、『正面で捕球することが理想』なので、ダイビングで捕ることは決して喜ばしいことではないのですが、プロ野球のスピードを要求される世界において『この打球は抜かせたくない』という強い意識から身体が反応します。直ぐに起き上がって投げなければアウトは取れませんし、メジャー選手のような、肩やリストの強さを持ち合わせた選手ではありませんので、アウトにするためには捕球後直ぐに投げることが必要になります。速さと確実性を身につけなければなりません」

 アウトにするために様々な場面を想定しながら、毎日の練習を積み重ね、守備力を磨いてきたのだ。

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プロフィール

小坂 誠
小坂 誠(こさか・まこと)
  • 北海道日本ハムファイターズファーム内野守備コーチ
  • 経歴:柴田―JR東日本東北ー千葉ロッテマリーンズ(1997~2005)―読売ジャイアンツ(2006~2008)―東北楽天ゴールデンイーグルス(2009~2010)(2011~2013コーチ)―北海道日本ハムファイターズ(2014~ファームコーチ)
  • タイプ:右投左打
  • 身長体重:167センチ63キロ
  • 生年月日:1973年7月2日
  • 獲得タイトル
    新人王(1997)
    最多盗塁(1998、2000)
    ゴールデングラブ賞(1999~2001、2005)
    月間MVP(1997.4)
  • 上記データは掲載時のものとなります。
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