印刷する この記事をYahoo!ブックマークに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加   

第15回 甲子園総括コラム~意図がある前進守備~2014年08月29日

【目次】
[1] セーフティーリードがなくなった高校野球で不変の守備位置
[2] 不用意な前進守備で涙をのむ
[3] 状況を確認したうえでの守備位置
[4] ビッグイニングを作られないために

セーフティーリードがなくなった高校野球で不変の守備位置

 両チーム合わせて5本塁打――。

 初回に満塁本塁打と先頭打者本塁打から始まった準決勝の大阪桐蔭敦賀気比の試合(試合レポート)に代表されるように、近年の高校野球の打力向上はめざましい。
今大会でもその準決勝で大阪桐蔭が5点差、1回戦で大垣日大が8点差を逆転するなど、セーフティーリードがなくなってきている。
150キロを超えるマシンで打ち込むことができ、食事や筋力トレーニングなどで身体つくるチームが増えてきた今、特に夏の大会はある程度の失点を覚悟して戦わなければいけない。確実に時代は変わっている。

 ところが、時代が変わっているにもかかわらず、変化していないものがある。

 それは、守備位置だ。

守備練習の様子

 これだけ打力上位になっても、走者が三塁に進むと何の疑問も持たずに前進守備を選択するチームが数多くあるのだ。それも、ベースとベースのラインを結ぶオンラインよりも前。中には投手のすぐ後ろに守るようなチームもある。

 8点差の大逆転が話題になった大垣日大藤代の試合(試合レポート)では、大垣日大が初回一死満塁の場面でかなり浅めの前進守備を敷いた。
そして、直後の5番・小林 慧太の打球はセカンド後方への当たり。併殺狙いの中間守備ならば確実にセカンドフライだったが、ポトリと落ちるタイムリーヒットとなり、先制点を許した。そこから、死球、サードの失策、ライト前安打、ランニング本塁打と続いて一挙8失点。大苦戦の原因を作ってしまった。

大垣日大の打線は全国でもトップクラス」

 藤代・菊地一郎監督がそう言ったように、大垣日大打線は力があった。チーム力を考えても、大垣日大の方が上。初回の1点ぐらいならば、はね返せる力はある。「1点ぐらいやってもいい」という余裕があれば、いきなりの8失点はなかっただろう。

 監督自身が悔やんでいたのが、武修館
八戸学院光星相手に3投手の継投で7回まで1対0とリード。金星が見えてきた8回表の守りだった。

 無死からレフト前安打の後、送りバントを三塁手がフィルダースチョイス。さらに投手前の送りバントの処理が遅れて安打にしてしまい、無死満塁のピンチを迎えた。
打者は3番の森山 大樹。ここで武修館内野陣は前進守備を敷いた。それも、セカンドとショートが投手のすぐ後ろに守る超前進守備。この後、森山の打球はショートゴロだったが、守備位置が前すぎてセンター前への逆転2点タイムリーになった。試合後、小林正人監督は言った。

「ノーアウト満塁で守備を後ろにしておけば、ゲッツーを取れた。(1点を守るのではなく)同点にしとけばという悔いはあります。あれはひとつ、勉強になりました」

  無死満塁の作られ方も、打たれたものではなく、バント処理のミスが2つ絡んでのもの。ミスで出した走者が複数いて、一人も返さないというのは、流れからしても簡単なことではない。
金星まであとアウト6つ。勝利が見えた場面だけに「1点もやりたくない」と思うのは仕方がないが、「無死満塁にしてしまったのだから、1点ならOK」という気持ちが必要だった。

第96回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

このページのトップへ

【次のページ】 前進守備で涙をのんだ戦い

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第2回 甲子園での躍進で認知された中京大中京、広陵の新ユニフォーム【「奥深い高校野球談議」ライター・手束仁×副編集長・河嶋宗一 】
第9回 香川県から発信する「高校野球200年構想」【四国発】
第705回 本命不在の参加校数最多の東東京を制するチームは!【大会展望・総括コラム】
第718回 岐阜の二刀流・中神拓都(市立岐阜商)「同じ岐阜県出身のライバルに負けたくない!」【後編】 【2018年インタビュー】
第716回 羽田野 温生(汎愛)打倒・大阪桐蔭に燃える公立の本格派右腕 【2018年インタビュー】
第86回 明徳義塾の一校独走を阻止すべく、高知と復活の兆しの土佐が食い下がれるか【47都道府県 高校野球勢力図の変化】
第498回 近大附(大阪)【前編】「エース頼みのチーム脱却へ 自ら動いた選手たち」【野球部訪問】
第711回 岐阜の二刀流・中神拓都(市立岐阜商)高校通算46発の多くは逆方向「逆方向本塁打の極意」【前編】 【2018年インタビュー】
第709回 知念 大成(沖縄尚学)「秋の状態を取り戻し、夏は100%の状態で頂点に立つ!」 【2018年インタビュー】
第708回 徳山壮磨(大阪桐蔭ー早稲田大学)「大阪桐蔭のエースへ。努力を継続した3年間」 【2018年インタビュー】
土肥義弘のケガをしない!勝てる投手育成講座
青山 【高校別データ】
明野 【高校別データ】
飯南 【高校別データ】
伊勢 【高校別データ】
岩国 【高校別データ】
岩国工 【高校別データ】
上野 【高校別データ】
宇治山田 【高校別データ】
近江 【高校別データ】
大垣日大 【高校別データ】
大阪桐蔭 【高校別データ】
海星 【高校別データ】
海星 【高校別データ】
春日部共栄 【高校別データ】
鹿屋中央 【高校別データ】
川越 【高校別データ】
神戸 【高校別データ】
健大高崎 【高校別データ】
桜丘 【高校別データ】
城北 【高校別データ】
水産 【高校別データ】
聖光学院 【高校別データ】
星稜 【高校別データ】
高田 【高校別データ】
津 【高校別データ】
敦賀気比 【高校別データ】
鳥羽 【高校別データ】
富山商 【高校別データ】
二松学舎大附 【高校別データ】
日本文理 【高校別データ】
日本文理大附 【高校別データ】
白山 【高校別データ】
八戸学院光星 【高校別データ】
藤代 【高校別データ】
武修館 【高校別データ】
三重 【高校別データ】
三重 【高校別データ】
四日市 【高校別データ】
インタビュートップに戻る サイトトップに戻る

インタビュー