Interview

第96回選手権千葉大会 ここまでの戦いを振り返る!!

2014.07.18

戦国千葉再び!

 シード校、ノーシード校の実力差が小さく、毎年熾烈な戦いが繰り広げられる千葉県。今年は例年以上に激しい戦いが行われ、まさに戦国千葉に相応しい年になっている。1回戦から激戦を振り返っていこう。

1回戦~2回戦 中央学院がBシード・千葉明徳に逆転勝利!

 千葉大会が本格的に開幕したのは7月12日から。
[stadium]千葉県野球場[/stadium]の第1試合、稲毛vs横芝敬愛の一戦は稲毛の先発・小澤 勇仁に注目が集まった。
小澤は右上手、右横手、右下手と3投法を使い分け、横芝敬愛打線を封じ、さらに自らサヨナラ打を放ち、2回戦進出を決めた。球速、変化球を磨くだけではなく創意工夫をし、投球フォームにバリエーションを加えながら、抑える姿は大きな参考になったはずだ。
2回戦で敗退したが、まだ小澤は2年生。今秋、来春、来夏もある。シード校、強豪私立を脅かす存在になるか注目をしていきたい。

 また多古千葉商大付と対決し、7回コールド勝ち。市立銚子東総工を強豪校に育てあげた迫屋監督が就任し、着実に強化している県立校。秋は上位進出の期待がかかるだろう。

 大会前から2回戦で拓大紅陵銚子商と激突することが大会前から話題に上っていた。
そして7月13日、両校の対決が[stadium]ゼットエーボールパーク[/stadium]で行われた。この対決にファンが一斉に詰め掛け、6000人以上も入場したカードになった。
試合は3対1と拓大紅陵が制し、3回戦へ駒を進めた。

 番狂わせは大会3日目の7月14日に起こった。
ノーシードの中央学院千葉明徳を破ったのだ。今年の中央学院春のブロック大会地区予選で敗退し、ノーシードとなったが、エース・石井 聖太(3年)が千葉明徳に立ち向かった。
千葉明徳もエース・畠山 滉平(3年)が登板。打線は最速138キロのストレートとキレのあるスライダーに苦しめられたが、7回裏に畠山を捉え、山本 隼(2年)の逆転2ランが飛び出し、さらに8回裏にも追加点を挙げ、千葉明徳を下した。
そして同日、大多喜がCシードの千葉敬愛を6対1で下し、シード二校が初戦敗退する波乱の幕開けとなった。

 そして7月16日はノーシードの市立船橋がCシードの検見川を下した。
市立船橋昨秋4強入りしており、実力は県内でも上位に入るチームではある。しかし、夏独特の雰囲気に硬くなり、本来の力を発揮することが出来ずに敗れるチームが多い中、勝利をモノにした市立船橋は地力の高さを実感させるゲームとなった。

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[page_break:3回戦~4回戦 成東がAシードを破る!]

3回戦~4回戦 成東がAシードを破る!

 3回戦~4回戦まで勝ち進んだチームは地力がある証拠である。ここから番狂わせが多くなり、一番面白くなる時期である。
3回戦~4回戦で敗れたシード校は

 Aシード 松戸国際
 Bシード 千葉英和船橋北
 Cシード 千葉学芸安房

の5校。
まずAシードの松戸国際を破った成東は15安打8得点で圧倒。松戸国際のエース・植谷 翔磨(2年)から13安打を記録し、打ち勝っての勝利となった。
千葉英和を破ったのは敬愛学園。1点ずつ追加して、点差を広げ、エース榊原 燿(3年)が強力打線の千葉英和に8安打を許しながらも、要所を締めて、完封勝利した。
船橋北を破った君津は8回裏に、6得点を入れて、コールド勝ちを記録。

 安房に勝利したのは渋谷幕張。千葉県を代表する進学校の1つだが、守備力の高いチームに育てあげた。相手打者の打球方向を予測しながらのポジショニング、球際の強さで、最少失点に切り抜け、2対1で勝利した。

 千葉学芸に勝利したのは千葉国分。0対1の9回裏に押し出しで同点に追いつき、最後は適時打でサヨナラ勝ち。エース山本 裕介(2年)を中心とした守り勝つチーム。
そして千葉国分は5回戦に、千葉県高校野球史に残すゲームを見せるが、この後ご紹介したい。

 3回戦~4回戦の熱戦を紹介すると、県立船橋がAシードの東海大浦安に3対5と善戦。右下手投げの薮崎 雅哉(2年)が膝の痛みをこらえながらも、力投を見せた。
さらに袖ヶ浦が、東海大望洋に0対2と善戦。
鎌ケ谷も強豪・市立船橋に0対1と善戦。鎌ケ谷のエース・兵藤 宏樹(3年)の力投が光った。

 そして千葉明徳を破った中央学院成田を8対6で破った。毎試合、タフな戦いを強いられながらも、勝利をモノにする実力は本物といえるだろう。

 拓大紅陵は4回戦で、柏日体に0対4で完封負け。監督生活33年目の小枝守監督の最後の夏が終わった。
試合後、[stadium]QVCマリンフィールド[/stadium]の入り口に500人のOB、ファン、父兄が集まり、帰りを待っていたという。小枝監督がどれだけ慕われていたかを物語るエピソードである。

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[page_break:5回戦 国分が千葉経済を破り、創部初のベスト8!!]

5回戦 国分が千葉経済を破り、創部初のベスト8!!

 ベスト8をかけた5回戦は3会場で8試合が行われた。
[stadium]千葉県野球場[/stadium]第1試合は柏日体が7回裏に5得点を入れ、逆転勝利。エースの白銀 滉大が7回から登板し、3回無失点の好投で、成東を下し、ベスト8進出を決めた。
第2試合は1点ビハインドの木更津総合が、8回表に3点を入れて逆転。9回表に1点を追加し、8対5とするが、敬愛学園が2点を追い上げる。何とかリードを守りきり、木更津総合が激戦を制し、3年連続ベスト8進出を決めた。
第3試合は流通経済大柏が8回、9回に1点ずつ追加。投手陣が守りきり、完封勝利で2011年以来のベスト8進出を決めた。

 [stadium]柏の葉公園野球場[/stadium]の第1試合、中央学院は5回まで4対3と接戦を演じていたが、後半に追加点を加え、10対3でコールド勝ちを決めた。
第2試合は東海大望洋の2年生右腕・原田 泰成(2年)が完全試合まであと1人という好投を見せ、渋谷幕張を7対0で下した。

 [stadium]QVCマリンフィールド[/stadium]の第1試合、専大松戸市立船橋に苦戦し、9回まで1対2と1点ビハインドだったが、9回に同点に追いつく。10回裏にサヨナラ勝ちし、3年連続ベスト8進出を決めた。
第2試合はAシードの東海大浦安が序盤に先制し、小刻みに点を追加。投げてはエースの平川 裕太(3年)が1失点完投勝利で、ベスト8進出を決めた。

 そして第3試合の千葉国分vs千葉経大付は激戦となった。
8回まで2対1の接戦。だが8回表に千葉国分が6点を入れて逆転。そこから点の取り合いになり、8対8で延長戦を迎えた。
9対9の延長12回に千葉国分が4点を勝ち越し、13対9でAシードの千葉経大付を下し、創部初のベスト8を決めた。千葉国分は春の県大会1回戦でコールド負けしたチーム。そこから3か月で、Aシードを破るチームに成長した。今年の千葉で、最も旋風を巻き起こしたといってもいいだろう。

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[page_break:ベスト8の見所]

ベスト8の見どころ

ベスト8の見どころに迫っていきたい。

専大松戸vs木更津総合

原 嵩 (専大松戸)

 専大松戸は投打ともに順調に調子を上げており、投げてはエース原 嵩(2年)、控えながら市立船橋戦で好投した速球派右腕・金子 直登(3年)の2本柱は健在。打線では大会2本塁打の渡辺 大樹(2年)、思い切りの良い打撃を見せる稲葉 魁(3年)を中心とした打線は強力だ。
木更津総合敬愛学園戦で、逆転勝利したように終盤での粘り強さがウリ。エース千葉 貴央(2年)が復帰登板を果たし、チームの士気は上がっている。試合終盤まで何かが起こる激しい戦いが繰り広げられそうだ。

東海大浦安vs流通経済大柏

 東海大浦安はエース平川の他に、右サイドハンドの一志 亮弥(3年)が控えており、一志の出来がカギを握っているだろう。打線は長打ではなく、1点ずつ加え、守り勝つ野球。今大会好調の菅谷 岳(2年)の活躍に期待したい。
流通経済大柏は俊足巧打の諸積 怜(3年)がどれだけプレッシャーをかけられるかだろう。出塁すれば、確実に盗塁を決める技術はあるだけに、1試合でどれだけ出塁できるかが注目だ。投手陣ではエース杉浦 彰悟(3年)を温存に成功し、中2日で準々決勝を迎えられるのは大きい。1点を争う好勝負が予想されそうだ。

柏日体vs中央学院

 柏日体は投手陣の層が厚く、エース・白銀 滉大(3年)の他に常時135キロ前後の速球、落ちる球で勝負する小谷 大輝(3年)、135キロ前後の速球を投げ込む田原 一輝(3年)が控える。状況に応じてどのように使い分けるか。打線では上位下位に切れ目がなく、また次の塁を奪う意識が徹底されており、無駄のない走塁で、相手守備陣にプレッシャーを仕掛け、点を重ねてきた。4番エポドロ ジョセフ(2年)が復調すれば、さらに得点力は増すだろう。

 中央学院はエース石井 聖太(3年)の投球がカギを握る。打線は俊足巧打の張替 亨(3年)、勝負強い一打を見せる中山 裕規(2年)、打撃好調の脇坂 康平(2年)が控え、ここまで投手力のあるチームから打ち崩して勝ち進んできただけに、普段通りの実力を発揮すれば、試合序盤から激しい点の取り合いが予想される。

国分vs東海大望洋

 激戦を制した千葉国分は連戦で強豪・東海大望洋を迎える。東海大望洋はエース宇津木総(3年)は荒れ球を武器にする右のサイドスローで、打ち崩すのは難しく、打線は長打力のある1番鈴木 将平(3年)を中心に打線の状態は仕上がってきている。千葉国分はエース山本 裕介(2年)、左腕の高橋 直弥(3年)が力投を見せてきたが、激戦を投げ抜いてきただけに、疲労具合が懸念材料。2人をカバーできるほどの打撃を発揮することが出来るか。

 選手層の厚さ、選手の消耗度を踏まえても、千葉国分が不利な展開だが、5回戦同様、奇跡を起こすことが出来るのか。

 7月11日から迎えた千葉大会。ここから4日間で3試合ととてもタイトな日程になる。この激戦を勝ち抜くのはどのチームになるのか。ますます見逃せない。

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(文=河嶋 宗一

◆ 第96回千葉大会
◆ 大会日程・結果ページ 
◆ 組み合わせはこちら(千葉県高野連HPより PDF)
◆ 大会期間:7月11日~7月26日
◆ 参加校数:170校
◆ 決勝球場:[stadium]QVCマリンフィールド[/stadium](千葉マリンスタジアム)
◆ その他の球場:[stadium]千葉県野球場[/stadium]、[stadium]青葉の森野球場[/stadium]、[stadium]習志野市秋津球場[/stadium]、[stadium]船橋市民球場[/stadium]、[stadium]市川市営国府台球場[/stadium]、[stadium]柏の葉公園野球場[/stadium]、[stadium]成田市営大谷津球場[/stadium]、[stadium]ゼットエーボールパーク[/stadium](市原臨海)、[stadium]袖ヶ浦市営球場[/stadium]、[stadium]長生の森野球場[/stadium]

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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