Interview

飯塚 悟史選手(日本文理高等学校) 【後編】

2014.10.21

 後編では、飯塚選手に選抜大会から夏の大会までの振り返り、そして目前に迫ったドラフト会議へ向けての意気込みを語っていただきました。

成長した姿を見せた選抜 さらに勝つ姿勢へこだわる

飯塚悟史選手(日本文理)がんばらんば国体2014 大阪桐蔭戦より

――春の選抜では、フォームをオーバーハンドに戻し、制球良くコーナーに投げる姿が印象的でした。実際、あの試合を契機に「投手・飯塚」の評価が上がったように思えますが…。

飯塚 春の選抜は、昨年より成長した姿を見せたいと同時に、ピッチャーで評価されたいという気持ちがありました。打者として評価されることも嬉しいですが、やはり投手としての評価が少なかったので、ちょっと嫌でしたね(笑)。

 結果、延長で負けてしまいましたが、勝ちにこだわる姿勢が、向こうの方が上だったのかなと思います。だから、もっともっと勝ちにこだわらないといけないといけない。試合終わって、準優勝した時のエースの伊藤 直輝さんから電話をもらって、『お前、いいピッチングだったけど、勝てないと意味がないから。勝たなきゃピッチャーの責任だから』と言われ、そうなんだと改めて思いましたね。

 ただ自分のピッチングとしては、すごく自信になった試合でした。ストライク取りたいときに取れましたし、三振が必要な場面で、三振が取れたり、内野ゴロも打たせられたし、高低を使えたのもよかった。でもチームは勝てなかった。まず勝たなきゃ次はないわけですから。

――春の県大会北信越大会では、圧倒的な強さで優勝しました。「勝利」というものへのこだわりを感じる試合が多かったように思えますが…。

飯塚  とにかく勝つことが大事だと思ってやってきました。春の大会でつまずいていたら、夏の大会での先はないと思っていたので、新潟の学校には夏の大会で『日本文理と対戦したくない』と思わせたい。とにかくどこの高校が来ても、コールドで跳ね返せるようなチームになろうと決めていました。

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[page_break:納得いく全国ベスト4]

納得いく全国ベスト4

飯塚悟史選手(日本文理)第10回 BFA 18Uアジア選手権 中国戦より

――迎えた夏の大会は、決勝を劇的なサヨナラで制し、優勝。甲子園でも並み居る好投手を敗ってベスト4へ進出しました。

飯塚 甲子園でのチームの雰囲気はすごく良かった。これからまだ1年あるんじゃないかと思うくらいでしたね。でも、それはこれまでやり残したことがなく、やるべきことをやってきたという自負があって甲子園に入ったからだと思います。

 5試合完投については、大会中は全く疲れを感じなかったです。とにかく楽しくてしょうがなかったですし、アドレナリンが出ていて、2、3週間ずっとそうでしたね。大会期間中はむしろ中1日とかが嫌なくらい。ずっと試合していたかったですね。さすがに終わって、ふっと一息ついたときに疲れがドッと出ましたけど(笑)。

――甲子園での自分のピッチングを振り返ってみていかがですか?

飯塚 初戦は四球が多かったのですが、2試合目以降は修正できました。ブルペンでよくても、いざマウンドに上がったら良くないことがあります。そのために自分のフォームのチェックポイントは5つくらいあって、そのポイントをしっかり通過できるように、試合の中でチェックして修正していました。

 
後は、試合を重ねるにつれて、初球のストライク率が高くなったのが良かったです。初球ストライクを取って、そこから配球を組み立てられました。甲子園ではインサイドに投げないと勝てないと思ったので、県予選の時より多く攻めました。インサイド振られても投げ続けたり、内角の変化球で釣ったりとかそういうピッチングができたことで、投球に幅がでましたし、自分自身もまた新しいピッチングを覚え、気付けたのは甲子園で学んだことです。

 昔は、当ててしまう怖さがありましたが、度胸がついて、そんなに当たらないだろう、際どいところにいっても避けるだろうという頭があったので、強気で攻められました。

 
結果として、準決勝は完敗で、悔しかったですが、宿舎に帰ってみると満足感があったのも事実です。やるべきことをやれたと思います。最終的な目標は全国制覇でしたが、ベスト4という結果には満足しています。

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[page_break:成長の要因は全員が目標に逸れることなくやってこれたこと]

成長の要因は全員が目標に逸れることなくやってこれたこと

飯塚悟史選手(日本文理)がんばらんば国体2014 大阪桐蔭戦試合後

――高校での自身の成長については、どう考えていますか?

飯塚 ピッチングとしては、昨夏から1つ2つと順を追ってステップアップできたと思います。でもそれ以上に、チームとして1つの目標に対し、全員が『やるぞ』と目標に向かってそれることなくやってこれたことが一番。
このメンバーで一緒にやることができて本当に良かったと思います。すごく楽しかったですし、すごくいいものを吸収できました。だからこそ自分も、ここで学んだことを生かして次のステップへいきたいですね。

――大井監督は飯塚君の成長をどう感じますか?

大井 中学の頃から見ていたけど本当によく成長した。何より気持ちが強くなった。彼は大人しいようで、実はものすごく気持ちは強いものを持っているんですよ。

 昨秋の北信越地球環境戦(試合レポート)だったかな。リードされた展開で一死三塁のチャンスで飯塚に回ってきた。
サードファールフライでしたが、ベンチに返ってくるなり『ちきしょー』って大きな声出して。俺もビックリしたよ。その後も『何とか追いついてくれ!あとは俺が絶対抑えるから』ってベンチから怒鳴ってるんだよ。

 それまでは、上級生がいたからあんまり出せなかったけど、自分たちの代になって出せるようになった。でもこういう気持ちを持っていれば、必ず伸びるって思いましたね。

――運命のドラフト会議まであと少しです。今どんな心境ですか?

飯塚 ドラフトは正直楽しみです。そこで自分の人生が決まると思うと、ドキドキよりも自分を必要としてくれるところはどこなのかなという楽しみの方が大きいですね。早くその舞台でやりたいなというのが本音です。どのユニフォームが似合うのかなと想像したりしています。
応援している球団は特にないですが、ロッテの涌井投手は、感情を表に出さずに淡々と投げているイメージがあるので、投げている姿が好きですね。自分もそういう投球を目指しています。

――将来どんな投手を目指していきたいですか?

飯塚 今は、高校野球を引退して、次のステージに進むための準備期間の間に、いかに体力を落とさずスムーズに移行できるか。無理に球速を上げようとかフォームを変えようとはせずに、上のステージで違った見方をしている人たちにアドバイスをもらいながらやれればいいと思っているので。
長く球界にいて、勝てる投手になりたい。そして目標にされる投手になりたいと思っています。

――最後に、甲子園を目指す高校球児にアドバイスをお願いします。

飯塚 実は僕は下級生の頃に、冬に作った体をうまく自分で使いこなせずに、春の最初の練習試合で変な負荷が掛かって故障してしまったことがありました。だから、体作りと並行して、自分の体をしっかり知って、無理なく使いこなすことが重要だと思います。

飯塚選手、ご協力いただきまして、ありがとうございました。考えて取り組むことが成長につながることが分かる3年間でした。まるで別人のような成長を見せた飯塚投手。ぜひ次のステージでも年々成長を遂げていく投手になることを期待しております!

(インタビュー・編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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