Column

チーム強化につながるマネージャーの役割を考えてみる

2017.02.04

遠藤友彦の人間力!

マネージャーの役割とは

女子マネージャー

 マネージャーがいるチームといないチームがありますが、公立高校であればマネージャーがいる方が多いと思います。私も全国のチーム指導の中で、女子マネージャーと話す機会も多くあります。

 選手からみて女子マネージャーはどういう存在なのか・・

「整理整頓してくれて助かる」「スポーツドリンクなどを作ってくれて感謝」

 男子野球部員のサポートをしている姿をよく見かけますが、女子マネージャーにチームを強くするためにどうしたら良いのかを伝えます。マネージャー自ら整理整頓をしている姿を見かけますが、「それはダメ」と言います。自ら良かれと思って行動していることが逆に選手を弱くしている・・マネージャーはいつも私の話を聞いて愕然とします。

 例えば、親が子どもをいつも起こしてあげるとします。すると子どもは自分で起きることができなくなり、親頼みとなります。子どもの部屋を片付ける親、子どもは自分で整理整頓ができなくなります。助ければ助けるほど、自分のことができなくなるのです。選手とマネージャーの仲も親子関係と同じです。

 自分のことは自分で行うことで選手は【発揮能力】を身に付けていきます。

 選手が乱したものをマネージャーが整えては「片づけ」をしていますが、選手がだらしなくなり、してはいけないと伝えます。部活では、技術習得だけではなく自分のことは自分でできるように大人への準備も大切なことです。

 マネージャーの役割とは何なのか・・

 選手が着ていた服を脱いでその場に乱雑に置いたときに「きちんとたたんで」と指摘します。選手は少々時間がかかっても、その場で脱いだものは整えてから次の動作に移るのです。マネージャーは選手ができていないことを指摘してその場で正させるのが役割です。チームを強くしようと思えば、手を貸すのではなく徹底的にチェックしてできているかできていないかを確認します。

 手間をかけるところは手間をかけて、効率化するところは効率化する。整理整頓は効率化をしてはいけません。ちょっと時間がかかっても選手自身がやるべきです。

 チームを強くする、選手を強くしていくことを考えていけば、マネージャーの動きも今までと違うものになります。選手が整理整頓をして何事にも敏感になり、「氣づける選手」になれば試合の中で対戦相手の小さな変化に氣づくかもしれません。

[page_break:女子マネージャーも技術的チェックをすることは可能]

女子マネージャーも技術的チェックをすることは可能

部分的に注視すれば女子マネージャーも技術チェックできる(写真はイメージ)

 当たり前の実践の指摘の他に、マネージャーはチームとしての技術基準を知ることも大事です。選手は自分のことを自分で見ることができないので、マネージャーが目安を知りながら技術チェックを選手にしてあげます。

 野球経験のない女子マネージャーが、技術的チェックができる?

 全体をみて悪い所を指導するというのは無理でしょうが、その選手が「俺はトップが後ろに入りやすいのでここまで入っていたら教えて」と良い悪いという境界線をマネージャーに伝えれば、そこを集中してみれば見えてきます。

できている
できていない

 部分的に注視すれば今までまったく分からなかった技術的なことも、選手にアドバイスをすることは可能になります。これは野球経験がなくても誰にでもできることです。

 私が指導しているチームは、マネージャーがイキイキしています。こんなこともあんなこともとできることが増えて、やりがいのある部活生活をしています。

 マネージャーが選手の技術チェックをするなんてチームは、全国にも少ないと思います。私が指導しているチームは行っていますが、目安を伝えればマネージャーは立派な戦力へと早変わりします。ノックの球継ぎや簡単な整理整頓のお手伝いをするだけの状態から、チーム部員としての戦力に大きく変わっていくのです。

 チーム強化していくなかで、選手ミーティングは重要です。しかし、ミーティングでは男子部員が中心となり発言も男子だけが・・というチームが圧倒的に多い。私からすると、積極的にマネージャーが参加しないのはもったいないと感じます。マネージャーは全体を見ようと思えば細かく把握することはできます。意外に見えづらいところも女子マネージャーは氣がついています。

 マネージャーが感じる様々なことを選手に伝えるべきです。

「まだまだできるのに妥協している姿をみて悲しくなる」
「全力疾走というチームルールがあるのに主力選手は手を抜いている」
「監督のいるところではやっているけど、指導者がいなくなれば適当になっている」

 マネージャー目線で氣がついたことは積極的に選手に伝えることです。氣がついていないから正せない選手もいますが、分かっていてごまかしている部員もいると思います。全体の場でストレートにできていないことは伝えて修正できる「風通しの良いチーム」が成果を残していきます。

 チーム指導をしていると、厳しく指摘する女子マネージャー(できてない男子選手が悪いのですが)に選手が圧倒されていることも見かけます。その選手のことを思って指摘しているのに逆切れして「わかっている」と返す選手もします。情けない光景です。

 技術以外の指摘をされているようでは勝てるチームには程遠い、マネージャーも含めて全員それぞれが当たり前の実践を大切にしながら土台を固め、技術向上をしながら勝負できるチームに近づいていけるか・・ですね。

<マネージャーの役割>
1)当たり前の実践を、指摘改善させる

2)技術の目安を知り、できているかどうか指摘する

3)ミーティングに参加し、積極的に発言する

 マネージャーがいるチームは、3つの役割をしているでしょうか。できていないのであればチームとして改善してマネージャーを戦力にしてください。

(文=遠藤 友彦


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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