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第34回 凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方 星野 明宏著 すばる舎出版2015年10月25日

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書評

凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方 星野 明宏著

 先日まで行われていたラグビーワールドカップでのJAPANチームの活躍は、本当に素晴らしかったですね。強豪南アフリカに逆転勝利、グループリーグで3勝を挙げたそのチーム力に、今までラグビーを見たことのない人たちまで熱狂させるほどの一大ムーブメントを巻き起こしました(あと五郎丸選手のお祈りポーズと!)。

 ラグビーのチームづくりは人を育て、組織をつくること。これは野球にも通じるものがあります。今回ご紹介するのは部員不足に悩む弱小ラグビーチームをわずか3年で全国出場するまでのチームに育て上げた静岡聖光学院高監督・星野 明宏さんの著書です。ラグビーは相手との接触を伴うコンタクトスポーツであり、体力差や体格差が野球以上に大きく影響し、番狂わせが起こりにくい競技の一つです。

 その中で強豪校と同じような練習を行い、練習量を積み重ねるだけでは、どうしても強いチームに勝つことが出来ない。そこで星野監督が考えたのは、「能力ではなく発想で勝負する」ということ。今おかれている環境の中で、選手一人一人が自分の特長を活かし、自分をプロデュースする技術を獲得することこそが「凡人がエリートに勝つための戦略」だと考えたのです。すなわち、

1)組織の中での「空席」の立ち位置を探す
2)「個性」を伸ばすのではなく、「特長」をつくり出す
3)凡人でも簡単にできる「発想術」で勝負する

 ということ。星野監督が考える発想の転換は、「あ!なるほど!!」と頭の中に「!」マークがたくさん出るような驚きの連続です。たとえば練習時間が短く、スタミナ不足が指摘されていたチームの弱点をどのように解決したのか。普通は練習時間が短いためにスタミナが不足するのであれば、スタミナを強化するためのランニングなどが考えられます。しかしスタミナ強化のためのランニングを行うと練習時間が足りなくなってしまう。

 そこで「一試合を通じて選手たちのスタミナが持たない状態」を「スタミナがなくても一試合を通じて疲れない方法を採用する」というふうに考え、体力を消耗しないための効率的な走り方を練習することにしたのです。この取り組みは一年もかからずに改善し、スタミナ不足による後半の失速を防ぐことにつながりました。

 このように解決策は一つではなく、解決の方程式を提示し、常識の枠をズラしたり、反転させた言葉を使うことによって思いもかけない方法が見つかると星野監督は述べられています。スポーツは違えど野球のチームづくりにおいても、行き詰まったとき、伸び悩んでいるときに読んでみると、ヒントとなる考え方が見つかるかもしれませんね。

(書評:西村 典子

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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